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何にも変えがたいもの

悩みは違っても、同じように友人も悩みながら生きてるんだなと感じれたこと、そして、それを友人が打ち明けてくれたことが嬉しかった。

どこかで見つけた言葉。
「自分の弱さを見せたほうが良い」ということ。

振り返れば、「弱い自分」をいつも隠していた気がする。
弱い自分が見つかってしまわないように、自分を変に着飾ってしまうことが多かった。

でも、この言葉も言っているみたいに「弱い自分」を見せることは、「私はあなたを信頼してる」というメッセージなんじゃないかと思った。
そうでなくても、「弱い自分」を見せることで、「私も皆と同じように出来ないことも沢山ある人間なのです」と互いに分かり合える瞬間のひとつになるのかもしれない。

友人からのメッセージを読み終えたとき、友人をすごく応援したいという気持ちと、心強さがあった。
悩んでるのは私だけじゃないんだな、と思えたからだった。

そのときふと、あの時の言葉を思い出した。
私も同じように悩んでいることを打ち明けようか迷った。
でも、これを打ち明けたら嫌われてしまうだろうか?

それでも、私はその友人を信頼しているし、たとえ受け入れてくれなくてもそれはそれだと思うようにした。

少し経ってから返信が来た。

自分を受け入れてくれる人のいることが、こんなにも、何にも変え難いことなんだと思えた。

それは、お金にも物にも変えられないもので、ずっと大切にしていきたいものだった。

私は兄とあまり話さない。
でも、この平行線のままでお互い大人になっていくことはなんだか嫌だった。
だって、私が姉と今は少しずつ打ち明けられているように、兄とも話がしたかった。

夜、兄は仕事から帰ってきて疲れている。
その時間に私は食事を終えたので、食器を洗って乾燥機に並べていた。

私の分だけでは半分くらいしか場所を占めないので、せっかく電気を使うなら兄の分までやってしまったほうが良いと思い、そのままにした。

そしたら、兄は勢いよく食器乾燥機の蓋を閉めた。
苛立っている様子で「片付けてよ」と呟いた。

私には、面倒なことをズル賢く避けてしまう良くないところがある。
だから、本当は自分はああいう言い訳を作って、食器を片付けるということを人に任せようとしていたのかもしれない。

それでも、こうして物を介して会話をするのは嫌だった。

「ごめん、でも言葉で言ってほしい」

ドキドキしながら私は言った。
もしかしたら、この言葉は彼の逆鱗に触れてしまうかもしれない。
そんな思いが私の不安を煽った。

「いや、乾いてると思ったから。片付けて欲しかった」

兄はまたもやボソッと呟いた。

こんな短い会話だけど、私はすごく嬉しかった。
まだ私と兄の間に気恥ずかしさはあるけれど。

いつかの目標は、兄弟間での気恥ずかしさが大分減って、一緒にコタツで食事をとりながら話をすること。
そういう仲に、少しずつでいいからなれたらいいな。

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