瓶に開口部はあるのに
何の変哲もない緑の葉っぱ。人間の高さから見れば、ひとつひとつは石ころみたいな大きさで、それが密集している。
時刻は暮れ方。
気づけば冬なんて通り過ぎてしまったみたいで、まだこの時間帯でも太陽は元気があり余っているようだ。
仲間みたいにかたまる葉っぱたちを、陽が照らしている。
すると、たちまち黄色に変わる。そこには眩しいくらいの輝きもあって、元々の姿からは想像がつかない。
見つめてみる。
そこには妬みとかそんな感情が湧いてこないような、不思議な空間だった。
足で陽を遮ってみる。
すると、なんだか落ち込んだみたいに見えた。
人は小さな動物より強い。
指一本でアリ一匹も死なせてしまうことができる。
けど、同時に、嫌な感触をもったものが、心のあたりに生まれる瞬間でもある。
それみたいだから、やめた。
けど、それでやめるほど私は綺麗な人間?
好奇心でまた隠した。
隠したのに、反抗することもないし、声をかけてくるわけでもない。
ほんとうは、アリだって人間の耳に入ってこないだけで、叫んでいるのかもしれない。
でも、人間が全力で叫んだのと同じくらい声を張っていても、私には届かない。
瓶のなかで、出口はすぐそこにあるのに気づかないで、ぐるぐる回り続ける蜘蛛を思い出した。
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