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素材を外注しつつ短期間で作ることについて(unity1week共有回#8より)

■はじめに

 こんにちは、サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれです。
 つい先日。5/28、unity1週間ゲームジャムの参加者同士の共有会があり、それに登壇しました。

 私は初参加でしたが、動画で登壇させていただきました。
 せっかくなので、その時の台本とスライドを置いて、ばばーっと流し見れるようにしようかな、という記事になります。
(画像を速度重視でリサイズしたのでガタガタですがご容赦ください)

 ぜひ他の皆様の話も聞いてほしいですし、上の動画から見ていただければと思うのですが、一応自分の分の動画だけのバージョンもアップロードしています。

■原稿

■全体の構成の説明
こんにちは、サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれと申します。

今回は、このような流れでお話させていただこうと考えております。
(目次)

■軽く自己紹介
まずは軽く、自己紹介から。

「ほんわかふわふわ」は、私「花倉みだれ」と
イラストレーターの妻「平和なべ」の
2人サークルです。

私、花倉みだれは主に企画と実装、その他色々を担当、
平和なべは2D素材の提供・作成、UIデザイン等を担当しています。

私の実装力はpublic static とifとSetActivとRandam.Rangeによって構成されています。
わりと本当にそれだけでゴリ押ししています。三角関数わからない系ゲーム制作者です。
u1w参加者の中では、下の下のプログラム力だと自他ともに認めているところではありますが、その割にはある程度はハッタリが効くゲームを作れているのではないかと思います。
(少なくとも自分はそれなりに満足しています)

それができているのはひとえに素材部分を人に任せているからだと考えています。
その人達の力が非常に大きい。

チーム開発よりもハードルは低いと思われる、素材外注開発について
私のケースを1つのものとして、共有できればと思いっています。

■今回作ったゲームについて
今回のunity1weekで制作したゲームはこちらになります。
回胴式遊技機……いわゆるパチスロをモチーフとしたミニゲームです。

■今回のゲームでの作業分担について
企画・実装は私、花倉みだれが
描き下ろし部分のキャラクター素材、その他UIデザイン等は平和なべが、
声素材は声優さんが、
BGMについては公募を行いました。

■趣味的個人開発と仕事的な開発での大きな違い
これは、私の観測範囲や偏見もあるかと思いますが、
趣味的な個人開発と、仕事的な開発で大きく違う点は、やはり締め切りの存在だと思います。

趣味的な開発の場合は「出来上がっているものに応じて、付け足して素材を作成する」という開発フローを取ることができます。
満足次第リリースできる、というやつですね。

これは結構な強みの1つだと私は思っています。
「見えてるものをよりよくする」というのは何より楽ですし、無駄が発生しないですし、
自分として満足できるまでやれるわけですから。

一方で仕事的な開発は、多分ですが「最も制作に時間のかかるリソース」の納品日に合わせてスケジュールが切られるのではないかと思います。
時々見られる、露骨な人称揺れなどは「あぁ、この声優さんのスケジュールに合わせて急いで録ったのにその後の色々で整合性とれなくなったんだな……」などと察したりしますよね。

■Unity1weekの場合は?
そこでunity1weekはどうなのかと考えると、基本的に後者的なフロー、仕事的なフローで制作せざるをえません。
締め切りがありますからね。

企画としては
「完全に完成していない状態から、完成品を想像して、それに応じたリソースを発注する」必要がでてきます。

■スケジュール
今回の想定していたスケジュールはこちらです。
初日に企画を固めて、2日目にドキュメントを作って依頼して、3日目以降実装とブラッシュアップをしつつ、終盤届いた素材を差し替えてデバッグしてPV作って完成です。
完璧なスケジュール!
いや、これでもボイス陣や絵師やデザイナーからしたら「ふざけんな!」 かもしれませんが、可能な限りの余裕を用意したいと思っていました。

ちなみに、実際のスケジュールはこうなってました。


■ターニングポイント
今回、外注をして良かったな感じたポイントはいくつかありますが、
その1つが1~2日目で企画をかなり固めることができた点です。

正直、ある程度勢いで走り出さなきゃいけない部分もありますが、
「全体で7日」というくくりだとなかなか走り出せなかったりします。

それが「それでも無理かもしれないけど、最低でも水曜日から頼んで日曜に間に合わせてもらうよう頼もう」という意識となることで「企画の締め切り」として機能しました。

読まれるかどうかはともかく、参考資料としての企画書(仕様書?)は添付したいですし、
実際に発注する際、どこでどんなボイスを使うか? と考えることで、
ゲームそのもののイメージを固めるのにも役立った気がします。
思いつきによる無制限の拡張をある程度抑える効果もあったかと思います。

■完成前にPVを考える
ボイス発注の際、ゲームで使用するものとは別に、PV用のナレーションも依頼しました。

ゲームのPVは色々ノウハウがあるかと思いますが、
あくまで「それっぽく」なる1つの方法として
①ゲームのプレイ部分 + 世界観(ひっかかりを与える部分)
②売りの部分(興味を強く持たせる部分)
③タイトルコール(認知)
と繋げるといいのかな、と現状思っているところがあります。
15秒か30秒で収められますしね。

これを完成前の企画段階で考えるのは、
そのゲームでやりたいこと、売りたいことを定義する効果があったと思います。
もちろん書くだけでも全然いいと思うのですが、
ボイスとして実際に発注してしまうことで、後に引けない、少なくともu1wの間はブレない指針として機能するのではないかと思います。

また、ナレーションに合わせてこういう「画」を見せようという意識も出てきて、
外せない部分、見せたい部分、そういうところを再認識できる効果もあったかと思います。

実際完成したPVはこちらになります。
(動画を流す)

刺さる・刺さらないはあるかと思いますが
ある程度「それっぽく」はなっているのではないでしょうか。



■副次的効果
・エタならずにすんだ。
素材発注をした副次的効果としては以下の2点を挙げられます。
1つは、お蔵入り、いわゆる「エターナる」ことを回避できた点です。
これは今回依頼した3人以外のネット声優さんの多くにも共通していることなのですが、
多くの方は「実績」を求めています。

リリースすることが、企画として求められていることであり、
そこまでが1つの責任となるわけで、
途中「これはつまらないのでは……? もういいか……」みたいな気持ちになったとしても、
投げ出すわけにはいかない……! みたいな責任感で駆動することができます。

・比較的「業務の企画っぽいワークフロー」の経験を積める
私はずっと「ゲーム業界に就職したいです系芸人」だったのですが、
「実務経験」を求める業界に対するアピール方法は模索し続け苦労しました。
その点「リリース時期に合わせた企画を立てて、実際に必要なリソースを発注して組み込んで、CMまでした」という経験はただ漠然と企画書や製品を持ち込むよりも実戦的でアピールできるのではないか……? と思ったりします。
(若ければ……間に合ってれば……とか、
 現職的にそうでもないよ??? みたいなのはあるかもしれませんが……)
 少なくとも「人に見せるドキュメントを制作する」経験値は積めるので、
 それだけでも完全個人制作よりは「企画っぽい」ことはできるはずです。

■チーム開発との違い
これまでの共有会のテーマでもしばしば上がった
「チーム開発」との、おそらく一番多きな違いは、自分が神になれることです。
良くも悪くも主従はハッキリしているので、
メテオを降らすことはあっても、降らされることは原則ありません。

逆に、自分が手を抜くと何も進まないところでもありますが、
もう少しゲーム全体をリッチにしたいが、
自分の実力では他の人を仲間に誘うバリューを与えられない……
みたいな人の選択肢として、素材を発注しながら作るというのも魅力あるものなのではないかと思います。


■素晴らしい仕事をしてもらえて
非常に短い期間での依頼となってしまいましたが、
声優さん3人、及び平和なべには素晴らしい仕事をしてもらえたと思っています。
スペシャリストの力を甘んじて借りていく、それだけの効果はあるのではないかな、と思います。


■まとめ
外注をすることで……
→全体の締め切りの前に企画を固める締め切りを作れる
→クオリティを底上げできる

最後に、仮素材バージョンと、FIXバージョンのビフォーアフターをご覧いただいて、締めようと思います。

外注はいいぞ……!

ご清聴、ありがとうございました。

■スライド + 原稿

こんにちは、サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれと申します。

今回は、このような流れでお話させていただこうと考えております。
まずは軽く、自己紹介から。

「ほんわかふわふわ」は、私「花倉みだれ」と
イラストレーターの妻「平和なべ」の
2人サークルです。

私、花倉みだれは主に企画と実装、その他色々を担当、
平和なべは2D素材の提供・作成、UIデザイン等を担当しています。

私の実装力はpublic static とifとSetActivとRandam.Rangeによって構成されています。

わりと本当にそれだけでゴリ押ししています。三角関数わからない系ゲーム制作者です。
u1w参加者の中では、下の下のプログラム力だと自他ともに認めているところではありますが、

その割にはある程度はハッタリが効くゲームを作れているのではないかと思います。
(少なくとも自分はそれなりに満足しています)

それができているのはひとえに素材部分を人に任せているからだと考えています。
その人達の力が非常に大きい。

チーム開発よりもハードルは低いと思われる、素材外注開発について
私のケースを1つのものとして、共有できればと思いっています。

■今回作ったゲームについて
今回のunity1weekで制作したゲームはこちらになります。

回胴式遊技機……いわゆるパチスロをモチーフとしたミニゲームです。

■今回のゲームでの作業分担について

企画・実装は私、花倉みだれが

描き下ろし部分のキャラクター素材、その他UIデザイン等は平和なべが、

声素材は声優さんが、

BGMについては公募を行いました。

■趣味的個人開発と仕事的な開発での大きな違い
これは、私の観測範囲や偏見もあるかと思いますが、

趣味的な個人開発と、仕事的な開発で大きく違う点は、

やはり締め切りの存在だと思います。

趣味的な開発の場合は「出来上がっているものに応じて、付け足して素材を作成する」という開発フローを取ることができます。
満足次第リリースできる、というやつですね。

これは結構な強みの1つだと私は思っています。
「見えてるものをよりよくする」というのは何より楽ですし、無駄が発生しないですし、
自分として満足できるまでやれるわけですから。

一方で仕事的な開発は、多分ですが「最も制作に時間のかかるリソース」の納品日に合わせてスケジュールが切られるのではないかと思います。
時々見られる、露骨な人称揺れなどは「あぁ、この声優さんのスケジュールに合わせて急いで録ったのにその後の色々で整合性とれなくなったんだな……」などと察したりしますよね。

■Unity1weekの場合は?
そこでunity1weekはどうなのかと考えると、

基本的に後者的なフロー、仕事的なフローで制作せざるをえません。
締め切りがありますからね。

企画としては
「完全に完成していない状態から、完成品を想像して、それに応じたリソースを発注する」必要がでてきます。

■スケジュール
今回の想定していたスケジュールはこちらです。


初日に企画を固めて、2日目にドキュメントを作って依頼して、3日目以降実装とブラッシュアップをしつつ、終盤届いた素材を差し替えてデバッグしてPV作って完成です。
完璧なスケジュール!
いや、これでもボイス陣や絵師やデザイナーからしたら「ふざけんな!」 かもしれませんが、可能な限りの余裕を用意したいと思っていました。

ちなみに、実際のスケジュールはこうなってました。
(※遅刻。何も完璧ではない)

■ターニングポイント
今回、外注をして良かったな感じたポイントはいくつかありますが、

その1つが1~2日目で企画をかなり固めることができた点です。

正直、ある程度勢いで走り出さなきゃいけない部分もありますが、
「全体で7日」というくくりだとなかなか走り出せなかったりします。

それが「それでも無理かもしれないけど、最低でも水曜日から頼んで日曜に間に合わせてもらうよう頼もう」という意識となることで「企画の締め切り」として機能しました。

 ※実際のファイル

読まれるかどうかはともかく、参考資料としての企画書(仕様書?)は添付したいですし、
実際に発注する際、どこでどんなボイスを使うか? と考えることで、
ゲームそのもののイメージを固めるのにも役立った気がします。

思いつきによる無制限の拡張をある程度抑える効果もあったかと思います。

■完成前にPVを考える
ボイス発注の際、ゲームで使用するものとは別に、PV用のナレーションも依頼しました。

ゲームのPVは色々ノウハウがあるかと思いますが、
あくまで「それっぽく」なる1つの方法として
①ゲームのプレイ部分 + 世界観(ひっかかりを与える部分)
②売りの部分(興味を強く持たせる部分)
③タイトルコール(認知)
と繋げるといいのかな、と現状思っているところがあります。
15秒か30秒で収められますしね。

これを完成前の企画段階で考えるのは、
そのゲームでやりたいこと、売りたいことを定義する効果があったと思います。
もちろん書くだけでも全然いいと思うのですが、

ゲームのコアには直接関係ないフレーバー面を早く決める必要がある
(完全に個人でフルスクラッチなら後回しにできる部分)
↑という内容が動画のスライドにはついています
(動画ソフトの方でつけていたので取り出せず……)

ボイスとして実際に発注してしまうことで、後に引けない、少なくともu1wの間はブレない指針として機能するのではないかと思います。

また、ナレーションに合わせてこういう「画」を見せようという意識も出てきて、
外せない部分、見せたい部分、そういうところを再認識できる効果もあったかと思います。

実際完成したPVはこちらになります。

刺さる・刺さらないはあるかと思いますが
ある程度「それっぽく」はなっているのではないでしょうか。

■副次的効果

・エタならずにすんだ。
素材発注をした副次的効果としては以下の2点を挙げられます。

1つは、お蔵入り、いわゆる「エターナる」ことを回避できた点です。
これは今回依頼した3人以外のネット声優さんの多くにも共通していることなのですが、
多くの方は「実績」を求めています。

リリースすることが、企画として求められていることであり、
そこまでが1つの責任となるわけで、
途中「これはつまらないのでは……? もういいか……」

みたいな気持ちになったとしても、
投げ出すわけにはいかない……! みたいな責任感で駆動することができます。

・比較的「業務の企画っぽいワークフロー」の経験を積める

私はずっと「ゲーム業界に就職したいです系芸人」だったのですが、
「実務経験」を求める業界に対するアピール方法は模索し続け苦労しています。

その点「リリース時期に合わせた企画を立てて、実際に必要なリソースを発注して組み込んで、CMまでした」という経験はただ漠然と企画書や製品を持ち込むよりも実戦的でアピールできるのではないか……? と思ったりします。
(若ければ……間に合ってれば……とか、
 現職的にそうでもないよ??? みたいなのはあるかもしれませんが……)
 少なくとも「人に見せるドキュメントを制作する」経験値は積めるので、
 それだけでも完全個人制作よりは「企画っぽい」ことはできるはずです。

■チーム開発との違い


これまでの共有会のテーマでもしばしば上がった
「チーム開発」との、おそらく一番多きな違いは、

自分が神になれることです。
良くも悪くも主従はハッキリしているので、
メテオを降らすことはあっても、降らされることは原則ありません。

逆に、自分が手を抜くと何も進まないところでもありますが、

もう少しゲーム全体をリッチにしたいが、
自分の実力では他の人を仲間に誘うバリューを与えられない……

みたいな人の選択肢として、素材を発注しながら作るというのも魅力あるものなのではないかと思います。

■素晴らしい仕事をしてもらえて
非常に短い期間での依頼となってしまいましたが、

声優さん3人、及び平和なべには素晴らしい仕事をしてもらえたと思っています。
スペシャリストの力を甘んじて借りていく、それだけの効果はあるのではないかな、と思います。

■まとめ

外注をすることで……
→全体の締め切りの前に企画を固める締め切りを作れる
→クオリティを底上げできる

最後に、仮素材バージョンと、FIXバージョンのビフォーアフターをご覧いただいて、締めようと思います。

外注はいいぞ……!

ご清聴、ありがとうございました。


■終わりに

 前もって準備しておけばよかった!
 色々格落ち感あって恐縮でしたが、たくさん反応もらえてありがたかったです。色々経験値も積めました。
 主催の青木ととさんはじめ、皆様に感謝!

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