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心遣いvs利便性 〜ディーラーでのホスピタリティ〜

ホスピタリティー
〘名〙 (hospitarity) 心のこもったもてなし。
手厚いもてなし。歓待。また、歓待の精神。

出典 精選版 日本国語大辞典

我が家は、夫の車好きが講じて、ディーラー好きである。

夫は子供を見つつ新車鑑賞を堪能し、子供も新車を見たり、おもちゃや本等で楽しんでいる。
私も、飲み物を頂いたり雑誌を読ませていただいたり、ゆっくりさせていただいている。
あの、カフェに訪れたときのようなゆっくりできる空間づくり。企業努力の賜物だろう。


先日、点検のために訪れたときのこと。
1時間位待つことになり、飲み物を頂けることになった。

(コーヒー、紅茶、ホットかコールドか、もしくはカルピス、いやぶどうジュースもある。どうしたものか・・・)

時間にしては数秒だけれど、ディーラーの受付の方を傍らに立たせたまま、迷ってしまった。
気分はそう、たくさんのメニューから”正解”を導き出そうとしているときの「孤独のグルメ」だ。

(コーヒーがほしい。でも、ここのコーヒー苦いんだよな〜)

そう、甘党の私には、スティックシュガー1本では苦すぎるコーヒーがでてくる。
ミルクも、小さいカップ1個では、足りないのだ。
スティックシュガーと小カップのミルクで提供されるということまで知っている。
それだけ、今まで利用させていただいている証拠でもある。

(でもやっぱりコーヒーがほしい)

勇気を出して、言ってみた。

「ホットコーヒーがほしいんですけど、シュガーとミルク2つずついただけますか?」

「はい、かしこまりました」

笑顔で答えてくれた若い女性は、数分で戻ってきた。

その手のプレートには、ホットコーヒーと、スティックシュガーとミルクを3つずつ入れた小瓶を乗せていた。

ホスピタリティを見た。

20代前半の、まだ社会経験の少なそうな女性社員の方だ、2つと言われたら二つだけ持ってきそうなものだ。
そこを、言われた以上のものを持ってきてくださった。

心遣いが嬉しい。
これがその女性自身の心遣いだとしたら、素晴らしいことだし、そのディーラーとしても財産だろう。
この心遣いが教えられたものだとしても、その教育をしているディーラーがとても良いホスピタリティを持っている、ということになる。

どちらにしても、客が感じるのは、
良いおもてなし
なのだ。


これが、カップ式自動販売機だったらどうだろう。
我が家は地方住みゆえ、一家で2台持ちである。別々の会社の車を持っているので、別のディーラーに行くこともある。
そこでも、もちろん飲み物は頂ける。
カップ式自動販売機での提供となっているのだ。
ご自由にどうぞ、とされているので、1時間以上かかる点検のときは2杯目も頂けるという点では、嬉しい。

種類も豊富なので、こちらのほうが好み、という人も多いと思う。
人とあまり関わりたくない主義のお客さん(私も普段はこちら派)には、気楽かもしれない。

カップ式自動販売機は便利だし、長い目で見れば経費削減になるかもしれない。

こちらにも良い点はたくさんあると思う。

しかし、カップ式自動販売機のボタン一つで私好みのシュガーやミルクの多さを決めることができるけれど、その場合、「人の思いやり」は感じられない。
「私のことを思って」というホスピタリティには出会えないからだ。

嬉しい心遣いか、種類豊富な自動販売機か。
もちろん好みは人それぞれだろう。

けれど私が受けたのは、まさしくプロのホスピタリティだった。
たかがスティックシュガーとミルク。
されど、嬉しいおもてなし、なのである。


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