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大好きなピアスを30個以上手放した【9言目】

ピアスがとにかく好きだった。
大好きだ。大好きだけど、つい先日、30個以上のピアスを手放した。集めていたピアスは今までの半分以下の数になった。これからももう少し減る予定だ。

今回は大好きなピアスを手放した記録を残そうと思う。

ほぼ坊主と周りから言われるほど髪が短かったことをきっかけに、耳が出ていたのもあって、大振りのピアスをつけるのが大好きだった。
作るのも集めるのも好きで、毎日違うピアスをつけていた。就職後も派手過ぎないものを選んで楽しんでいた。

そんなに好きだったのに、何の迷いもなく綺麗に飾っていたピアスを空箱に放っていった。
ピーク時は100種類いくんじゃないかと思うくらいあったピアスやイヤーカフが今では随分と少なくなった。

手放したのには理由がある。
私にとって数が重要じゃなくなったからだ。
毎日違うものをつけていたいと思っていた自分から、自分が本当に好きなものだけをずっと身に付けたいと思う自分になったからだ。

きっかけは、半年ぶりに会った恋人との旅行最終日。
空港の近くにあったアウトレットモールを何と店に入るわけでもなくぶらぶらと散歩していたとき、恋人に「何かほしいものはないか」と訊かれた。
私は「毎日身に付けられるものがいいから、ピアスがいい」と返した。
誕生日に贈ってくれたサイズの合わない指輪はペンダントに通して毎日仕事中も首につけていて、同じように耳にもそうできるものがほしかったのだ。

明確な理由があるわけではないが、憧れがあるブランドへ足を向けて、アクセサリーが並ぶガラスケースからシルバーのミニフープの形をしたピアスとシルバーのシンプルなバレッタをプレゼントしてもらった。

出先で直ぐにつけて無くすのが怖かったので、家に帰ってから直ぐにつけた。耳元のピアスを触っては一人でにやにやした。触るたび思い出に浸った。他にもたくさんピアスがあるのに、プレゼントしてもらったピアスばかりをつける日が続いた。

恋人は私がピアスが好きだからとよくピアスをくれる人だった。何もない日でも出先で可愛いのを見つけると買って贈ってくれる人だった。彼の贈ってくれるピアスには一つ一つ思い出があって、つける度に温かい気持ちになれた。

よくよく思い返せば、思い出が詰まっているピアスを身に付けていることが多いと気づいた。逆になんとなく買ったものやなんとなく作ったものはつけていない。
ちゃんと見てみると、つけていないピアスの多いこと多いこと。

思い入れのないピアスで思い入れのあるピアスが埋もれてしまうのは嫌だなと思った。
そう思うとすぐに体が動いて、断捨離を始めたのだ。
何も感じないものは空箱へ。恋人や友達、後輩が贈ってくれた思い出深いものは残す。未だに自分がときめくものも残す。
そうすると、みっちり詰まっていたケースが驚くほどすっきりした。しかし、寂しさはなく清々しくて気持ちがよかった。

自分を埋めるものは目に見える数ではなくて、そのものとの思い出だったんだと、すとんと胸の奥に落ちた。

本当に自分が大切にしたい想いのあるものに触れていたいし囲まれたい。物の多い私にとってこのピアス大量手放し日は小さくて大きなきっかけになるんだと思う。

自分にとって本当に大切だと思うものが傍にあれば、数が少なくたって何も寂しくはない。
そうピアスに触れながら思う。

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