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読書の秋 〜そして紙の本はなぜ高いのか?〜

九條です。

10月に入って涼しくなり、秋らしい気候となりましたね。空もいっそう高く青くなったように感じます。

秋にちなんだ言葉としては…

◎読書の秋
◎学問の秋
◎芸術の秋
◎食欲の秋
◎スポーツの秋

など色々ありますね。皆さまはどのようにしてこの秋を楽しまれるのでしょうか?

私は毎年この季節には夜な夜な歴史とは関係のない一般向けの色々な本(色々な考え方の著者の本)をたくさん読もうと思っています。

【読書に関する私の過去記事はこちら】

それで今日、夕方の帰宅時に近所の古本屋さんへ寄って以下の5冊の本を買ってみました。

(1)高橋昌一郎『哲学ディベート (倫理)を(論理)する』日本放送出版協会 2007年(定価1,160円+税)→古本価格260円(税込)

(2)曽野綾子『人間にとって成熟とは何か』幻冬舎 2013年(定価760円+税)→古本価格170円(税込)

(3)鈴木登紀子『昔のしつけは素晴らしい』講談社 1993年(定価1,170円+税)→古本価格250円(税込)

(4)西田清美『ブラジャーで勲章をもらった男』集英社 2016年(定価1,600円+税)→古本価格650円(税込)

(5)現代生活様式学会編『生活様式学入門』扶桑社 2000年(定価1,143円+税)→古本価格250円(税込)

これら全てを当時の税込定価で購入したとすると6,000円程になるかと思いますが、今日の私のお支払い価格は1,580円でした。^_^

このうち(4)の『ブラジャーで勲章をもらった男』はきわめて真面目な本で、著者の西田清美氏(男性)は1932(昭和7)年生まれでワコール草創期の社員さん。2011年に藍綬褒章を受章した人です。そのタイトルに衝撃を受けて衝動的に買物カゴに入れたのですが、レジでちょっと恥ずかしかったです。^^;

また(5)の『生活様式学入門』は難しいタイトルですが、内容はふざけたイラスト入りの「あるあるネタ」でギャグ要素満載です。例えるならば、お笑いピン芸人のバカリズムさんのフリップネタを見ているような感覚です(笑)。

ところで、最近は紙の本の価格(定価)が信じられないくらい上昇していますね。私は紙の本が好きで、自宅の書棚には現在1,500冊ほどの紙の本(その多くが専門書)があります。これでもかなり減らしました(ちなみに職場の書庫には20万冊ほどあります)。このように「紙の本派」の私にとって紙の本の価格上昇はお財布に非常に厳しいのです。(>_<)

先日、某出版社の営業さんに教えていただいたのですが、昨今の紙の本の価格上昇の原因のひとつは電子書籍の普及によって紙の本の発行部数が大幅に減少しているからだそうです。紙の本は刷れば刷るほど価格が下がる仕組みになっているそうです。

ですから昔からよく売れる紙の本は文庫本などにすると更に廉価で提供できて更に売れるようになり、逆にニーズが少ない専門書などはもともとの発行部数が少ないので昔からかなり高価ですね。

一般的に、紙の本の価格を下げるためには多くの人が紙の本を買う必要があるのだそうです。

電子書籍は安価ですが100パーセント電力に依存しているわけで、電気がなければ(充電がなくなれば)使えませんし、何かの拍子にデータが飛ぶ恐れもありますね。またプラットフォームに依存しているような電子書籍は今後プラットフォームが変われば使えなくなる可能性も大です。

さらに電子書籍は、一部のセルフ出版などモノによっては誰でも手軽に(出版社や編集者、校正者などといったプロのチェックなしに誤字脱字や不適切な表現、言葉遣いに誤りがあっても、またその内容に嘘デタラメを書いていても)出版できてしまう事もありますから、その普及によって国民の知的レベルの低下も危惧されています。

いっぽう、従来のような紙の書籍は紀元前のパピルスの時代からプラットフォームに依存することなく人類の歴史・文化・知能を支え続けてきました。

なので、私はこれからも紙の本を信頼し、紙の本を買いつづけると思います。そのためにも稼がなくては。^^;

【参考にした論文】
◎權 純鎬「なぜ紙の本は消えないのか? ―書籍の媒体選好における影響要因の検討 ―」『早稲田商学』459 早稲田大学商学部  2020年   ←電子書籍(PDF形式)でも提供されています。^^;

※この他にも電子書籍(電子媒体)のメリットとデメリットについては各国の研究者が多く論考していますね。^_^

©2023 九條正博(Masahiro Kujoh)
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