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さもありなん

九條です。

私が好んで使う言葉で、最近ではあまり使われなくなった言葉…。

先日は「かしらん」をご紹介いたしました。

この「かしらん」と同様に、私がよく使う少し古い言い回しに「さもありなん」があります。

「さもありなん」は、私が大学生の頃、ですからいまから35年ほど前から使ってまいりました。


「さもありなん」とは

「さもありなん」は、漢字では「然も在りなん」「然も有りなん」「然もありなん」などと書きます。現在では通常「さもありなん」という風にすべて平仮名表記です。その意味は、

◎もっともだ
◎そうであろう
◎そうであっても不思議ではない

などという意味です。

その語源は平安時代の『源氏物語』にまで遡り、近代の文豪では太宰治の『蓄犬談』がよく知られていますね。私は太宰はあまり好きではないのですが…。^^;


「さもありなん」の使いかた

「さもありなん」の使いかたは、当事者どうしではなく(すなわち相手に対して直接的に投げかける言葉ではなく)、おもに客観的な視点に立って物事について語るときに使います。

たとえば…。
私が大学生のとき、ゼミの先生が学生に、

「この部分、君はどのように解釈しますか?」

などと問い、学生がその問いに答えると先生は、

「なるほどね。さもありなんですね」

などと、よく言われていました。


おわりに

私はこの「さもありなん」も「かしらん」と同様に「古風でなかなかいい言葉だな」と思って使っています。

ただ、私が職場などで若い人の意見を聞いて「さもありなんですね」などというと…

(・o・) ポカーン

とされる事があります。^^;

「さもありなん」も「かしらん」と同じく少し古い言い回しですが、これらの古風な語を使うには慣れといいますか、言葉では言い表せないちょっとしたコツのようなものが必要かなと思います。

やたらめったらに使うと言葉も使う人も安っぽくなりますし、かといって普通の現代語での会話の中で突然使い出すと「何なんだ?」という違和感があったりもしますね。

その場の空気(雰囲気)や相手との心理的な距離感などを読んで巧みに使うことが必要だなと感じます。

「かしらん」もそうですが「さもありなん」も忘れられないよう、これからも要所要所で使って行きたいなと思っている今日この頃です。^_^


©2023 九條正博(Masahiro Kujoh)
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