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夏3 境界線

割り切ってしまうのは簡単だ。曖昧さを排除して、もどかしさに蓋をして、それ以上悩まずにすむようにと、一線を引く。

そんなことをせずに、線なんて引かずに、曖昧なままにしていいと思う。
名前がなくても、言葉に落とし込めなくても、いいと思う。人間関係も、自分らしさも。

一線を引いて、囲う。
そうした名前やカテゴリが、人生をつまらなくしている気がする。

名前がない関係もあっていいじゃないか。辞書に載っていない、万人には理解されない関係があっていい。
自分らしさに名前をつけて、言語で認識しようとしなくてもいい。

二人にしか通用しない禁則事項で。
自分にしかわからない胸の高鳴りで。

だんだん友人になればいいしだんだん恋人になればいいしだんだん他人になってもいい。
だんだん自分の境地を探ればいいしだんだん身に纏えばいいしだんだん脱ぎ捨ててもいい。

境界線は曖昧でいい。曖昧なものが増えるほど、きっと人生は面白くなる。


どこからが海の青で、どこからが空の青か。なんて、わからないからこそ美しいのと同じように。





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