【エッセイ】誰だって、知らないことはこわい
誰にだって、初めからできる訳じゃない。
大学に入って最初に躓いたのは履修登録。
高校とは違って
クラスも、担任の先生もいなくて。
誰に聞けばいいかも分からない。
本当に困り果てたものだ。
まるで暗闇の中にいきなり1人、放り出されたような。
初めての履修登録は大失敗に終わった。
入学してすぐのこと。
4月はどこもかしこも新歓の時期で人だらけだ。
歩いていれば勝手に手の中に
ビラが集まっている。
噂には聞いていたが、ガチだったことに驚く。
自分たちのサークルに入ってもらおうと
先輩たちが必死にビラを配り、お花見に誘い。
こっっわ。
うわぁ、、陽キャだらけじゃん…。
そそくさと立ち去ろうとしたものだが、
中には「楽単教えます」と唱えている
サークルもあった。
それは気になる…
そう思って初めましての
顔も名前も知らなかった先輩に
履修登録を教えてもらい。
オススメされる講義を教わるがままに登録して。
数ヶ月後、私がみたのは
大量の単位を落とした成績表だった。
人によって得意分野は異なる。
私は暗記が本当にできない。
でも、レポートはなぜかいつと高評価。
それに気付いたのはいつだっただろうか。
かなり後だったような気がする。
まあ卒業できたんだからいいじゃない。
履修登録を教えてくれた先輩にとって、
その講義たちは本当に楽単だったんだろう。
でも、私にとっては全然簡単じゃなかった。
そして私が高評価をもらえた講義は、
他の人にとっては難しいのかもしれない。
基準は人それぞれだ。
初対面で暗記が得意、とか
文章を書くのが得意、なんて分かる訳がない。
苦い失敗経験をしたな、と感じている。
履修登録にも慣れた大学4年生。
その頃には、私は完全に
登録の要領を掴んでいた。
暗記が必要な講義はとらない。
持ち込み不可のテスト形式は
ぜっったいにアウト。
逆に、レポートなら多少難しそうでもOK。
こんな感じ。
人は経験して、学んでいく。
当たり前のことではあるのだが、
歳を重ねれば重ねるほど
それを億劫に感じてしまうようになった。
今日、雑貨店でレジ対応をしてくれた男の子。
おそらくバイトを始めたばかりなのだろう、
どこか辿々しさを感じる。
それでも一生懸命に、丁寧に接客しようとする
その姿勢にキュン、ときてしまった。
私にもあったなぁ、こんな時代が。
初めてのバイト先は雑貨店だった。
初めてのレジ打ち。
初めての接客。
初めての店だし。
初めての電話対応。
初めての発注。
挙げていけばキリがないが、
とにかく全てのことが"初めて"で。
いっぱい失敗したし、怒られたし、悩んだけど
全部引っ括めると楽しかったな、という感想が湧いてくる。
最初はできなかったことが
徐々にできるようになる嬉しさは忘れられない。
経験を重ねて成長していく自分を
身をもって感じられるのは
頑張った自分への贈り物なのだろう。
転職だってそうだ。
今、私は2社目。
前職の事務職の経験が生きる瞬間が多々ある。
これは前職を経験していなければ得られなかった手応えだと思う。
教わって、吸収して、
そして失敗して新たな学びを得て。
これを繰り返して私たちは大人になっていく。
今日出会った男の子だって、
数ヵ月後には慣れた顔で対応しているんだろう。
人の成長って思っているより案外はやい。
まだ働き始めて1ヶ月も経っていない転職先。
分からないなりに、慣れるところには慣れてきた。
電話だってメールにだって対応するし、
原稿だって書いている。
ミーティングにも「前からいましたけど?」ってすました顔で参加するし、
眠気に勝てずにこっそり欠伸することもある。
あれ?私、リラックスしすぎかな?
まあ慣れてきたんだろう。
今は優先順位がつけられずに
ウンウン唸りながらジタバタしている業務も、
いつかはスムーズにできるようになるんだろう。
そうだと思いたい。
どんどん増え続ける仕事たち。
終わったと思えば仕事を増やされ。
終わってなくてもいつの間には仕事が発生して。
さすがにキャパオーバーしそうだ。
早く慣れてしまいたい。
余裕が欲しいなぁ。
そう思いながら、
明日のTODOを頭の中で組み立てる夜。
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