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「差別でしょ、あーゆー対応は」

今回の一言は、保護者からの言葉です。

私が「辞めよう」と思ったことの要因1つに保護者もあります。
これは退職の2年前のことでした。

年長児27人を2人で担当していました。その中にはいわゆる「グレーゾーン(問題児)」の子どもが7人もいたのです。いろいろなタイプの子どもがいましたが、そこについてはまた別の場でお話しさせていただきたいと思っています。

発達に問題を抱える子のほとんどの保護者は心を閉ざし、「今度は何を言われるのだろう」と保育士との会話を避けるように帰っていく、そんな姿をたくさん見てきました。

同じクラスの先生と


私より10歳年下の先生でしが、とてもしっかりした優しい先生でした。
2人でクラス運営についてはもちろんですが、グレーゾーンの子の対応を何度も話し合い、知りたいと感じた発達障害の研修や研究会に参加するなど、個別で対応しながら他の子ども達とのバランスもとり、大変な中にも「やりがい」を感じ、子ども達と共に充実した保育を送っていきました。
半年を迎えた頃には、保護者との信頼関係もできてきて、向き合い方も同じ方向で進めていくことができてきたのです。

他の保護者の感情は


ほとんどの保護者は、「うちの子を可愛がってほしい」と思うものだと思います。私も母としてそう思っていましたから。
もちろん、どの子にも同じように、どの保護者にも隔たりなく対応してきました。
しかし、言われてしまったのです。「差別でしょ、あーゆー対応は」と。
その方から見ると、いつも同じ保護者と話しているように見え、いわゆる「グレーゾーン(問題児)」の子どもを特別に可愛がっていると感じたのでしょう。
でも、それだけでは、あの言葉にはつながらないと思いますよね。
実は問題のある子は、保護者の中でも度々話題に上がり、「あの子のせいで」とレッテルを貼られてしまっていたのです。そして、「いつも先生がついている」「いつもあの子の親と話している」と保護者同士で話が広がり、「特別な子」と認識されてしまい、「うちの子は見てもらえない」「先生の態度がおかしい」など、大きな不満につながり発せられた言葉でした。

保護者は「同志」になると怖い存在です。伝言ゲームのように話が伝わり、内容もひどいものでした。今思えば、私の対応にも問題があったのかもしれませんが、理解のない、心なのい冷たい言葉に絶望を感じたことを覚えています。今までの経験と自信が一気に崩れ落ち、悲しくて無力感にも襲われ、「保護者が怖い」とさえ感じたのです。

保護者対応は保育士にとって一番の難関であると思います。
そして、保育に対する「理解」が一番薄い存在だと、その時悟ってしまったのです。

共感・支援の大切さ


悩みを抱える保護者との信頼関係が築けた嬉しさだけが、その当時の私の心の支えとなりました。
この年度に、「求められ、共に悩み、寄り添い、光を与えられる存在でありたい」と強く思いました。
学校との連携も図り、安心して就学できる環境を整えてあげられたのではないかと「やりきった感」もありました。

しかし、そんな中でも保育現場では様々な「矛盾」を感じたのも事実です。

「矛盾」についても、また後日お話ししたいと思います。

退職の2年前の出来事でした。

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