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この歌詞でメロディーはポップになる!【作詞術・促音の使い方】

 今日は最初から非常に生意気なことを言う。自分がナニモノでもないのはわかってるけど、あえて言う。みんな案外日本語のことわかってないよね。

 作詞家をやっていて、失礼ながら実は、何度か思ったことがある。世に出てそこそこ聞かれている曲に対しても、本当に申し訳ないけど「この歌詞書いた人、リズム感ないな。」って。すごく素敵な言葉やフレーズがあって、いい歌詞だなと思うのだけれど、ちょっと残念だなと。

 それもこれもすべて、メロディーに100%歌詞がノッてないから。世界観があって素敵な言葉だけど、ちょっとだけ歌詞とメロディーと乖離してるから。バラードでは、まずこういうことは起こらない。ミディアムからアップテンポのポップな曲に起こりがち。その要因は様々なのだけれど、一番わかりやすいのはメロディーが跳ねてるところで、歌詞が跳ねていないことかもしれない。

 話は変わって、もう何回かnoteに書いていると思うけれど、official髭男dismの"Pretender"を聞いた時にすごく感動したことがある。こんなにも自分と同じ感覚で、メロディーに日本語を乗せている人がいるんだなと。何も、私が藤原さんのように歌詞が書けると言っているわけではない。知ってる、私そんなにうまく書けない。でもメロディーに対する歌詞の乗せ方だけはとても似ていたのだ。だから今回は、"Pretender"の歌詞で、歌詞の跳ね方を解説してみようと思う。

促音をうまく使おう

 メロディーがタタタタ~と流れているならいい。でもタッ タッという跳ねる感じのメロディーの時に、気をつけていることはありますか?このメロディーの跳ねに気を使わないで、作詞家が使いたい言葉だけを使うと「リズム感が悪い」歌詞になってしまう。
 そこで!学校で習ったはずだけれど、促音ってなにか覚えてますか?小さい「つ」のこと。この促音を使えば、歌詞は必ず跳ねる。

("Pretender" 例)
もっとちがうせっていで もっとちがうかんけいで
*いたってじゅんなこころで かなったこいをだきしめて
グッバイ

私なんか もっと、ずっと、きっと のヘビーユーザー。これほど跳ねて使いやすい言葉はないと思っている。この促音は、普通の所で使うと間延びする。例えば、3音に「きっと」を当てると「きいと」になる。もちろん、それでいい場合もある。ちょっと古いけどZARDの「きいとわすれない~」って曲があった。促音は使い方次第で毒にも薬にもなると私は思っている。

 ところで、きっと、もっとばかり使っていたら歌詞はつまらなくなる。他に促音はないのか!というと、実は・・・カタナカ外国語は促音の宝庫だ。グッバイ、ラッキー、ハッピー、サッカー これらの言葉は英語にすると別に「っ」が入るわけでもない。カタナカ英語(外国語)という立派な日本語のおかげで、案外日本語には促音が多いのだ。使わない手はない。

撥音は言わずもがな

 撥音は「ん」と表記されるはねる音。言わずもがな撥音は跳ねる。この「ん」はもともとの日本語にはない発音で、漢字と共に入ってきた音らしい。「ん」としか表記しないけど、続く子音によって5つの発音に変化する。
(コンピューター ならmの発音
 本 ならNの発音
こんにゃく なら[ŋ] という発音記号 英語のKingのように 等々)

そう、もう「ん」は日本語という傘の下にいる外国語だ。異端児だ。「ん」も1音に乗せると、促音と同じように間延びする場合がある。

ほんとの を4音に乗せると「ほ・ん・と・の」
      3音に乗せると「ほん・と・の」
メロディーがなくても跳ね方はわかると思う。

("Pretender" 例)
*もっとちがうかんけいで
*もっとちがうかちかん

愛があれば跳ねる

 「あ・い」は跳ねないれど、「あい」はとても跳ねる。正確に言うと「ai」が跳ねるのだけれどね。

("Pretender" 例)
*グッバイ

バイ「bai」の中には「ai」がある。他にも「かい」「さい」「たい」「ない」…とまあ、とにかく「ai」が入っていれば、その音は跳ねる。

ついでにいうと「エイ」=ei も跳ねる。

(”Pretender” 例)
*もっとちがうせっていで もっとちがうかんけい

ここまででお気づきだろうか?aiもeiも英語の母音の発音記号だ。つまり日本語を英語に近づけてみると、平べったい日本語も英語みたいに跳ねるということ。


日本語だって、ちゃんと跳ねる。歌詞だってちゃんと跳ねる。メロディーが跳ねているときは、歌詞も楽しく跳ねたい。素敵な言葉を生み出すことは作詞家の命題だけど、メロディーに寄り添うことも大事な仕事だと思う。これらが正解ではないけれど、一つの手段ではあると思うので、促音・撥音などぜひ意識して使ってみてほしい。


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