新卒社員の仕事紹介 画像生成の研究開発に携わるリサーチサイエンティスト編
LINEヤフーには、さまざまな領域で活躍するエンジニアが数多く在籍しています。その中には、新卒社員として入社し、早くも重要な役割を担っている若手エンジニアも多くいます。今回は、画像生成をはじめとしたクリエイティブデザインに関する研究開発に取り組むリサーチサイエンティスト北田 俊輔さんに、新卒入社社員としての仕事内容やその魅力について伺いました。
プロフィール
自己紹介をお願いします。
北田俊輔です。2021年、旧LINE(現LINEヤフー)でのインターンシップに参加後、2023年4月に旧LINEに新卒入社し、Computer Vision Labに所属していました。現在もリサーチサイエンティストとして研究開発に取り組んでいます。
一般的には学部や修士課程を修了して就職するケースが多いですが、私は博士課程を修了してから新卒入社しました。大学・大学院時代は自然言語処理を中心に画像処理、Vision & Languageと呼ばれる視覚と言語の融合に関する研究をしていました。博士課程では、特に摂動に頑健で解釈可能な深層学習手法の開発に取り組んでいました。
また、応用寄りの研究として広告×AIを取り扱う計算機広告の分野においても、画像と言語を組み合わせた研究を行っていました。特に、効果の高いデジタル広告の作成支援や、効果の低いデジタル広告の停止支援をテーマに研究を進めていました。これらの研究成果は最難関国際会議へ採択されており、就職活動においても有利に働いたと感じています。
入社してからはどのような業務に携わっていますか。
私は研究者およびリサーチサイエンティストとして、主に画像生成やレイアウト生成に関する最先端技術の研究開発に取り組んでいます。特に、ユーザーにとって魅力的なコンテンツの自動生成を目指しています。
チームのミッションは、「ユーザーそれぞれに適したコンテンツをAIの力を借りて作成・配信し、ユーザーが知らなかったコンテンツの魅力を伝えること」。このミッションを実現するために、特に我々はコンテンツの魅力を効果的に伝える手段であるデジタル広告の分野に着目し、広告の出稿から配信、評価、分析、そして作成支援・自動生成までの一連のプロセスを研究しています。
まず、広告の出稿と配信は、ユーザーが作成した広告が適切に配信されるかどうかを審査し、誰に配信すべきかを決定する技術を研究しています。広告は日々大量に入稿・配信されるため人手のみで賄うことは難しく、近年ではオペレーションの自動化に取り組むうえでデータサイエンスの一分野として注目され、非常に重要な役割を果たしています。
次に、評価と分析のフェーズでは、どの広告が効果的か、次にどのような広告が売れそうかを予測し、現状のトレンドを分析します。このプロセスでは、機械学習や深層学習の技術が活用されており、ユーザーが対象の広告をクリックするかどうかなどを詳細な分析とともにリアルタイムで評価しています。
最後に、作成支援と自動生成のフェーズでは、ユーザーに合った、パーソナライズされたコンテンツや広告を自動で生成する技術を研究しています。たとえば、デザイナーが効率的に高品質なデザインを作成できるように、現在あるコンテンツデータからデザインAIを学習させて支援する枠組みを開発しております。これらの作成支援結果や配信結果を通じてさらにAIを学習させることで、究極的には個々人に適したコンテンツを自動で生成できるように研究を進めています。
さらに、リサーチサイエンティストとしての仕事には、論文執筆や対外発表も含まれます。これらの活動を通じて、最新の研究成果を共有し、業界全体の技術発展に貢献することを目指しています。
仕事のやりがいやおもしろさはどのようなところにありますか。
やはり自分の研究論文が最難関と呼ばれる国際会議へ採択されると非常に嬉しいですし、自分たちが開発した技術が実際のプロダクトに生かされる瞬間は格別です。私たちが研究・開発した技術がプロダクトチームに渡され、それが実際に収益を上げることに繋がると、大きな達成感を感じますね。
また、未来を見据えた研究ができる点も非常におもしろいと感じています。技術の進歩や市場のニーズを考慮しながら、自分たちの研究がどのように社会に貢献できるかを考えられるので、日々の研究に対するモチベーションも高まります。
活躍している社員の特徴を教えてください。
素早く手を動かして「自走できる人」でしょうか。たとえば、「こういうのやってみたらどうですか」と提案してくれる人や、「こういうものを作ってみたのですがどうでしょうか」とプロトタイプを見せてくれる人は非常に強いなと感じます。私自身もインターンシップ生時代からこの点を意識しており、現在もその姿勢はとても大切にしています。チームとしても「まずやってみてから考えよう」というカルチャーがあります。自発的に動くことが歓迎されるため、心理的安全性も担保され、積極性がより身についたように思います。
選考を受ける前に取り組んでいたことはありますか。
大学院生だったので大学院生の本分である研究に注力していました。個人的には研究という営みは、社会に出ても大事な要素(たとえばロジカルなものの考え方やその考えを具体化するプログラミング、考えを伝えるドキュメンテーションやプレゼンテーションなど)を含んでいると思っていて、この点にしっかり取り組めばおのずとよい環境が見つかると考えていました。また、自身が取り組んだ内容は積極的に発信することを心がけていました。X(旧: Twitter)やブログなどで読んだ論文やプログラミングの方法論などを継続的に公開することで、自身の「人に伝える力」が養われたのではないかと考えています。
入社の決め手を教えてください。
就職活動では、研究ができる環境が整っていること、GPUマシンなどの計算リソースが豊富にあること、しっかりとした給与が支給されることの3点を軸にしていました。企業で働く以上、良い給与を得ることはもちろん、優れた研究環境が整っていることが重要だと考えていました。これらの条件を満たしている企業のなかで、もっとも魅力的だったのが旧LINEでした。旧LINEはこれらの条件をすべて満たしており、私にとって最適な選択肢でした。現在は旧ヤフーと合併してさらに環境は良くなりました。旧ヤフーの研究者は非常に素晴らしい方たちばかりで、こうした方たちとディスカッションできるようになったことでさらに取り組める研究の幅が広がりました。旧LINE入社時には考えていなかった、素晴らしい福利厚生とも言える点だと思います。
入社後の働き方はどうですか。
私たちのチームは基本的にリモートワークを行っていますが、オフラインで会って仕事をするメリットも重視しています。最近では月に1回程度の頻度でオフィスに集まることが増えていますが、これは強制ではなく、あくまで自主的なものです。オフラインでのディスカッションやアイデア出しが特に効果的な場面も多く、研究においてはその重要性を感じています。しかし、メンバー間でのコミュニケーションを密に行っているためリモートワークでもオフィス出社でもシームレスに業務を進めることができ、やりにくさは感じません。こうした柔軟な働き方ができる環境が整っているため、遠方に住んでいるメンバーも無理なく働けるように思います。
また、チーム内での取り組みとして、"即興"論文輪読会を開催しています。これは準備なしで論文を読み、みんなで集まって意見を交換する形式です。私たちは論文を読むことに慣れているため、頭から読み進めて「この論文は良いね」や「ここが問題だね」といったフィードバックを行います。さらに、週に1回程度の頻度で技術共有会を開催し、最新の機械学習モデルや技術について情報を共有しています。
今後のキャリア目標を教えてください。
DALL-Eをはじめとした画像生成モデルや ChatGPTといった大規模言語モデルが非常に注目される世の中になってきており、自分がこれまで取り組んできた研究テーマがそうしたモデルに置き換えられつつあります。こうした流れに対して、中長期的にはこれらのモデルができない、より複雑な事象が絡まるクリエイティブなコンテンツの生成に注力していきたいです。こうした賢いモデルをフル活用し、さらに難しい問題を解決していくのが我々研究者としての仕事だと思っています。また、研究という営みのおもしろさを企業の立場から発信していけたらいいなと考えています。
最後にメッセージを。
大学・大学院に10年近く在籍しましたが、私にとってコンピュータサイエンスを学び、研究に取り組んだ時間はかけがえのない最高の時間でした。この記事を読んでLINEヤフーに興味を持ってくださっている学生さんは、ご自身の大学での学びや研究の時間を大切にしてください。きっとその時間は何倍にもなってこれからの自分を支えてくれるはずです。大学は非常に楽しかったのですが、企業に就職したいま、さらに楽しいです。LINEヤフーという国内で知らない人はいない最大規模のサービスを有する会社で、ユーザーのことを考えて取り組む研究は学生時代とはまた異なった刺激を感じます。ぜひみなさん今やるべきことをしっかりやって、自己研鑽を積んでいただければと思います。
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