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りぴーと

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素敵な作者さんたちの作品。私が読み返したいと感じた記事をまとめています。敢えて平仮名のりぴーと。
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2021年4月の記事一覧

【餃子メシ】カルボナーラ研究所

実は私は国立カルボナーラ研究所の所長兼研究員である。 なんてものはもちろんなくて、ただ子供の頃からカルボナーラが大好きだった私の、これまでに最適解を探し、様々なレシピを参考に山ほど作ってきた研究活動についてお話をしましょう。 ボウルに卵液を作っておき、茹でたパスタを焼いたベーコンと和え、温かいうちにボウルに入れて余熱で仕上げる方法が失敗もなく気に入っていた。それこそ子どもの頃でも失敗なくできたので簡単間違いないやり方だと思う。 フライパンで仕上げるやり方では、どうしても

デザインと行動心理学

情報設計やコミュニケーションに役立ちそうな、人の無意識な行動心理のキーワードをイラスト付きでまとめてみました。 視線解析 目は脳とつながっていて、視線と心理状態は結びつきやすい。記憶に関することは左に、未来に関すること右に視線が向く傾向がある。視覚に意識を集中すると上、聴覚に意識を集中すると真ん中、体全体で感じようとするときは下らしい。なので、嘘をつくときは右上をみてしまう傾向がある。ユーザーインターフェイスにおいても「戻る」ボタンが左、「進む」ボタンは右に配置されている

STOP!ポジティブ変換

「悩み」を相談するのが、得意じゃない。 たとえば、仕事を辞めるか辞めないかで悩んでいたとする。やりたいことはできているけど、職場の人間関係がしんどいとか、今よりいい条件で転職できる自信がないとか、新しい職場でまたイチから仕事を覚えたり、関係を築いていくのも面倒くさいとか、でももう会社に行くのがツライ……とか。こんな具合に悩んでいたとしても、私は人に相談せず、ひとりで抱え込む傾向にある。 親しい人に悩みを打ち明けるのは、「あーでもないこーでもない」と、数週間、いや、数ヶ月考

【短編小説】ウヰスキーの女(ユウコの日々シリーズ)

「隣の芝生は青く見える」 無意識と意識の間から紡がれた声が、金曜日の喧騒の中で瞬く間にもみくちゃにされたのをみて、ユウコはハァとため息を吐いた。 肩に食い込んだショルダーバックに気が滅入ると感じたのは、いったい何年前の話だったか。 もはやお友達になっている肩こりと人間の特権ともいえる慣れで、痛みなんて感じなくなっている。 金曜日の夕方。誰もが浮足立って職場から居酒屋か家に向かう時刻。 ふと、百貨店の煌びやかな内側を惜しげもなくひけらかすウィンドウに映った味気ない女が

彼女は夢を追いかけている

「わたし、彼女のこと大好きなんですよ。こういう、夢を追いかけている子が大好きなんです」 多分秋で、ケーキがおいしい店だった。というか、ケーキ屋に併設されていたカフェだった。 同期のシンガーソングライターのライブの前座として一人芝居をすることになったからと、空席を出すわけにはいかないからと、土下座ばりの蝶子の頼みを聞き入れて私は神戸元町の坂をのらくらと上がり、会場になったカフェの隅の席に腰を下ろしていたら程なくして蝶子がやってきて私の向かいに座った。「すごいな」彼女が言う。

第1回 日本そそデミー賞

4月19日、note初投稿から1年が経ったので、ウチのお題係がご褒美に全248作品の中から年間そそそ大賞、通称〈そそデミー賞〉を授与してくれました。 ~選考基準~ ・そのときの気分 ・シリーズは1作目をノミネート ・重複ノミネートは(したいけど)しない 授賞式の全容はこちら▼ なんか好き部門【大賞作品】 お題係のコメント: リンさんのパートがたまらなく好き。 【その他ノミネート作品】 お題係のコメント: 「生産性と生存の権利はイコールじゃないしね」と言う姉、すごい