Misson1. その能力、危険につき
「は?」
私は目の前の男を睨みつけ、思い切り脚を組んだ。額から汗を滲ませ、縋るように見詰めてくる男の姿は滑稽で、それでも私は一寸たりとも笑えなかった。二つ名の由来にもなっているトレードマークの赤毛を掻き上げ、念押しでもう一度訊く。
「ここにないっていうのは本当なの?」
男は必死の形相で頷く。その目に嘘偽りがないことを読み取って、私は不快感に顔を歪めた。まず疑ったのは情報漏洩。けれどそれはないだろうと否定する。今回の指示はあの秘密主義で有名なレイモンド司令官からのもので、彼