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LINEヤフーサービスのDX管理職が使う「業務自動化レベル」

こんにちは。LINEヤフーコミュニケーションズの運営DXチームでリーダーをしている 髙田 です。

私は仕事で業務効率化に取り組んでおり、最近はAIを活用して従業員の業務品質を上げることに注力しています。仕事内容は記事の最後にリンクを貼っておきます。

この記事では、私が自動化の現状評価と目標設定をするときに使用する「業務自動化レベル」や自動化までのステップについて紹介します。同業者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。


業務自動化レベル

私は以下の目的で業務自動化レベルを使います。

  • 業務効率化の現在地と目標を決める指標として

  • 関係者の間の共通認識・共通言語として

  • 上層部への提案で など

ここから各レベルの説明をします。

レベル0~1:手軽な自動化

  • レベル0:ほとんど手動で業務を行っている状態。エクセルなどを多少使うレベルです。

  • レベル1:簡単な関数やマクロを使って部分的に業務を自動化している状態。会社PCに入っている標準ツールを活用して実現できます。

レベル2:複数ツールの連携

  • レベル2:業務プロセス全体を見渡し、複数のツールやシステムを連携して自動化を行います。標準ツールのアドオン、VBA、RPAを使ったフローの構築、専用業務ツールの導入などが一般的です。
    これにより、ルールベースの大部分は自動化できますが、例外処理や複雑な判断・創造を要する業務は人が行います。

レベル3~4:AIの活用

  • レベル3:AIを使って、手書き文字のデータ化、画像認識、文章のカテゴライズなど、ルールベース以外の判断を自動化します。ただしAIは確率的な処理を行うため、リスク観点から最終判断は人が行います。

  • レベル4:AIの精度が向上し、より多くの業務が自動化されている状態です。ただし職種やシチュエーションによっては、人間のほうが優れているため、完全自動化が難しい業務も多くあります。

レベル5:AIの自律最適化

  • レベル5:AIが業務プロセス全体を見て、分析し、改善提案を行います。さらに、AIの学習やチューニングの工程も自動化され、AIが自ら進化していく段階です。
    技術的にもこれから多くの事例が出てくることが期待されています。

注意点

レベルと書くと、どうしてもレベルアップすることを考えてしまいますが、業種や現在の技術レベルではレベルアップが出来ないこともあり、また費用対効果の観点から現状維持のほうが良い業務もあります

私の会社はITサービスの運営という特性上「PCで業務が完結する、かつ、複数人同業務」の割合が多く、効率化・インパクトの面で効率化のメリットがあります。自社の業務特性を見て目標設定することをオススメします。

進め方のステップ

効率化をやっていてぶつかる壁は「効果とコスト」です。よっぽどのことが起きていない限り必ず聞かれます。とはいえこれは経験がないと不明瞭な点も多く皮算用になりがちです。

そこで私たちの部署でよくやる「進め方のステップ」を紹介します。

ステップ1:事例作り

まずは小規模でも構わないので、とりあえずいろいろやってみます。LINEヤフーはグループ内にAIの専門家がいるので、話を聞きに行ったり、自分たちでツールや技術を試したりしています。

これにより1次情報が得られ、具体的な精度・手順・コストをイメージしやすくなります。

また後々、社内を説得する際にも、百聞は一見にしかず で実物実例を見せることで理解を得やすくなりますし、1次情報があれば思ってもいない角度からの質問にもその場で組立てて回答できたりします。

ステップ2:発信・評価・選別

次にステップ1の事例を社内に発信したり、評価分析をして価値が出やすいターゲットを選別したりします。

ここからは社内の他部署から声をかけてもらったり、こちらからコンタクトしてヒアリングをしたりと、相互コミュニケーションが増えてきます。

ここで合意が取れ、プロジェクト化出来ればOKですが、そうでない場合はステップ1、2で修正と実行を繰り返します。

ステップ3~4:実績作り、実現までの省力化

プロジェクトを実行し実績を作ります。プロジェクトの進め方はここでは割愛しますが、一番辛抱強くやっていくステップだと思います。

いくつか実績が出てきたら、それを誰でも出来るように、もしくは横展開できるように人依存の部分を減らしプロセスを明確化します。

実績の内容によっては展開を考えず実績の数を増やす方向もあります。

ステップ5:民主化・量産化

ガイドラインやポータルを作成したり、問い合わせ窓口を作ったり、繰り返し社内周知(社内イントラ、会議でおろしてもらうなど)を行います。

展開するソリューションを誰でも簡単にアクセスし利用できるようにすることで民主化を行い、実現の量産化を図ります。量産化まで出来れば会社にとって大きな価値になると思います。

さいごに

分かると出来るは違うように、これらの進め方はネットで調べたら同じような内容が出てきます。現実はもっと情緒的な部分が作用したり、会社の内情で実現が難しかったりと、一筋縄では行かないものだと思います。

しかし、これからAIをはじめ、あらゆるテクノロジーが民主化され、誰でも簡単に使える時代になります。そうなると自動化レベルの基準が上がり、そのレベルが当たり前になってきます。

その波にいつでも乗れるように、会社の中で準備しておくのも良いですし、その波を自分たち作っていくのもやりがいがあると思います。


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