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児童養護施設に子どもを預けている親って、どんな人?

こんにちは、ヨウです。

今回は、施設に子どもを預ける親にはどのような人がいるかについて、書きたいと思います。児相の職員としての経験や、施設時代に友達から聞いた話をもとに、「施設に子どもを預ける親に多い傾向」について解説します。よろしくお願いします。


そもそも、子どもが施設に入所する理由って?

上の記事にある通り、子どもが施設に入所する理由は、「養育できる親権者がいない」ことと「虐待によって、一緒に住めない」という大きな理由があります。

このような状況になってしまう親にも、傾向があります。今回は施設に子どもを預けることになる親にありがちな特徴を書いていきます。


1.精神疾患患者

施設措置した子どもの親に最も多い特徴は、精神疾患を持っているということです。私の母も、精神疾患患者でした。

精神疾患にもいろいろありますが、その特徴として、長い期間改善がなされないことが挙げられます。精神疾患が悪いわけではありませんが、長期間治療が必要で、完治が難しいものであり、仕事ができない方も多く存在するため、生活困窮が改善せず、引き取りが難しくなり、子どもは長く施設に入所することとなります。

そして、虐待と精神疾患にも、強いつながりがあります。子どもを心理的に追い詰める、暴力を振るう、異性交遊を優先して育児放棄してしまうなど、精神疾患の症状が虐待行為に繋がってしまうことがあります。

精神疾患というものは、大人でも、しっかりとした知識がなければ、偏見を持ってしまうものです。それを、簡単に子どもが理解できるはずもありません。子ども自身が上手に立ち振る舞うことも難しいのです。親に合わせて、上手く立ち回ろうとして虐待されながらも、なんとかやって来た子どもも多いと思います。そういう子どもたちを救うにはどうしたらよいか…。また別の機会に書きましょう。

また、精神疾患は、病院に行っていない患者も多くいます。客観的に見て「いや、精神的に病気があるでしょ。」と思っても、病院に行かない、または病院に行っても診断に納得しない大人は多いものです。そういう親が、いわゆる「毒親」と呼ばれる方に多い傾向です。


2.犯罪者

犯罪にもいろいろな部類がありますが、経験上多いのが、薬物がからんだ犯罪です。覚せい剤等に絡む犯罪は、再犯が非常に多いのです。また、薬物依存によって、錯乱状態になり、窃盗や恐喝をしてしまう方も少なくありません。刑期が長くなり、出所してもすぐに子どもを親元に返すことが危険だと児相が判断し、なかなか自宅に帰ることができない場合もあります。

子どもに対する虐待で逮捕された親についても、ここに入ります。当然、子どもに虐待をして捕まった親のところに子どもを帰すことはできません。虐待した親から離れて生活できる環境がなければ、施設での生活が余儀なくされます。

ただし、虐待に関する犯罪でなければ、刑期が終わった後、自宅養育できる環境と収入が親にあれば、普通に帰れます。つまり、虐待に関わる犯罪でなければ、子どもは割と早く家に帰れるということです。しかし、ここでも、親が精神疾患を持っている場合も多いのが現状です。


3.10代の親

乳幼児の施設措置理由に多いのが、10代の親です。貧困の問題を直に受けるのが、10代の親だと言えます。特に、中高生の母親から生まれる子どもは、乳児院を経験するケースが多いのです。

特定妊婦と言って、妊娠中から行政の積極的介入が必要とされる妊婦がいます。特定妊婦を役所が確認し、出産後の家庭養育が難しいと感じられれば、児相に連絡が入り、施設措置等を検討します。この連絡が入る場合、シングルマザーの若年妊婦である場合が多いのです。

10代の親が悪いという事ではありませんが、あまりに若年で妊娠してしまったシングルマザーが、今の日本の社会で、自立した生活をすることは、かなりの苦労が伴ないます。そのため、経済的に自立が難しく、子どもが2歳を迎えるまでに引き取ることが困難になり、児童養護施設に行くこととなります。

施設の措置負担金(月謝みたいに親が施設利用のために払うお金)は、母子世帯や生活保護世帯、非課税世帯などの多くは0円で入所させることができます。生活にかかるお金の一切を、施設に任せることができるのです。つまり、これらの家庭に関して言えば、子どもを施設に入れている方が、お金がかかりません。この現実が、家庭引き取りを遅らせている要因になっているのかもしれませんね。


4.共通した特徴は「孤立した家庭」

精神疾患患者、犯罪者、若年出産者の多くが抱える問題は、「孤独」です。今の日本は、家庭養育に依存した文化や制度が根強く続いています。また、「一般的でない」状況で妊娠出産した家族に対して、冷遇するような雰囲気も、まだまだあります。

特に、精神疾患や犯罪については、偏見が多いのも事実。「本人が悪いんだ。」と安易に捉える方も少なくありません。家族や親せきに、このような方がいた場合、遠ざかろうとする方が多いのかもしれません。そして、こうなる前に身内が離れていってしまったパターンも少なくありません。

また、当事者も、偏見があることを知っています。それによって肩身の狭い思いをしてしまいがちです。自身が悲観的になってしまい、「他人に迷惑をかけないように」と自分から離れていくこともしばしば見受けられます。

孤独であると、子どもを一時的に預かってくれる身内がいません。施設に頼らざるを得ない状況です。そして、施設に子どもを入れると、状況改善を求められますが、なかなか上手くいかないものです。家庭の孤独化が、子どもに社会的養護を必要とさせているのかもしれませんね。


終わりに

今回紹介した親の傾向は、あくまで傾向です。全ての人に当てはまるわけではありません。だから、ここで取り上げたことが全てだと思わないようにご注意ください。

私個人としての意見ですが、日本人は、他人には優しいけれど、身内には厳しい民族だな、と思っています。世間に出れば、みなさんきちんと挨拶をしてくださいますし、礼儀正しくて、相手の気持ちを慮ることができる方が圧倒的に多く感じます。しかし、家庭内で親から聞く言葉で「甘えるな」「しっかりやれ」「言う事を聞け」という言葉が多いものです。

人は、友達も家族も、血のつながりがあれど、あくまで他人です。親には子を養育する義務があるだけで、その考え方や生き方を縛ることは出来ないはずです。

私は、学校や行政が、もっと個人の権利や自由についての法律について我々国民にきちんと教えていただきたいと思っています。子どもだけでなく、もっと個人を大切にすることができるような社会になっていくことを望んでいます。

今日は、この辺で。


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