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【意外】東京裁判の真実を記録した映画。敗戦国での裁判が実に”フェア”に行われたことに驚いた:映画『東京裁判 4Kリマスター版』(監督:小林正樹)

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有名な「東京裁判」では何が行われていたのか?

私の基礎知識について

私は基本的に、歴史に関する全般的な知識がない。理系の人間だったので、歴史の教科を一切履修しなかったのだ。結構前に大きな社会問題となり、それ以降ルールが変わったはずだが、私が高校生の頃は、「日本史・世界史・地理・政経」の中からどれか1つを選べばよく、私は「政経」を選択した。

今では、学生時代に歴史をもっと学んでおけば良かった、と思う。基本的な知識さえないのはやはり大人として恥ずかしいし、本や映画に触れる際にも理解の障害となることは多い。

太平洋戦争や東京裁判についても、基本的にはあまり詳しく知らない。大人になってから本で読んだり、映画で観たりした知識はあるが、大体そういう作品は、「教科書で習うような内容はある程度知ってるよね?」という前提で物語が進んだりするので、やはり基本的な知識は得られないままだったりする。

この記事は、そういう歴史に無知な人間による感想だ、ということを理解してほしい。恐らく、的はずれなことを書いている箇所もあろうかと思うが、それは、私の知識不足によるものである。

「天皇の戦争責任を追及しないためのアメリカの闘い」が繰り広げられる

この映画は、実際の「東京裁判」の記録映像をベースに、A級戦犯とされた被告らの様々な映像を組み合わせながら作られている作品だ。

映画を観て最も驚いたのは、アメリカのスタンスだ。彼らは「天皇の戦争責任を追及しない」という姿勢を貫くのである。

もちろんさすがの私でも、戦争犯罪における昭和天皇の責任が認定されなかったことは知っている。また、大人になってから読んだ本には、アメリカは占領政策を有利に進めるために天皇の存在を利用したとも書かれていた。しかしそのアメリカの国策のために、東京裁判において「どうにかして天皇の責任が糾弾されないように誘導する」なんてことを積極的に行っていたことは知らなかった。

東京裁判というのは、連合国(戦勝国)による裁判であり、当然、アメリカ一国の思惑で動くものではない。そういう状況の中で、あの手この手を尽くして天皇の戦争責任を回避しようとする姿は非常に印象的だった。

映画では、マッカーサーが昭和天皇に対して抱いた印象についても触れられていた。

昭和天皇は戦後、自らマッカーサーの元へ行き、「自分はどうなっても構わないから、国民に食料を配ってほしい」と直訴したという。その会話の中で、戦争は自分の責任だという趣旨の発言もあったとされる。

当時のアメリカ世論は、天皇の責任を糾弾すべきという声が多かったし、米軍内でもそのような意見は当然あった。しかしマッカーサーは昭和天皇との対面によって、同情的な感覚さえ抱くようになったらしい。マッカーサーが昭和天皇に抱いた好意的な印象が、その後の裁判や占領政策にどの程度影響したかは不明だが、事実としてその後アメリカは、天皇の責任を糾弾しない方向で裁判を進め、天皇を利用した占領政策を進めていく。

天皇の扱いと併せて、映画を観て驚かされたのは、東京裁判が実に厳格に行われたという点だ。私の勝手な印象では、戦勝国が行う裁判は、ルールを捻じ曲げてでも無理を通して自国に有利なように進めるイメージだったのだが、まったく違った。きちんと正しい手続きに則って進行されており、非常にフェアだと感じた。

東京裁判の裁判長を担ったのは、オーストラリア出身のウェッブという人物だ(映画では「ウェッブ」という表記で、この記事でもそれを踏襲するが、ウィキペディアでは「ウェブ」となっている)。そして彼は、「天皇の責任を追及すべきだ」という明確な立場を取っていた。ルールに基づいて厳格に行われた裁判において、天皇の責任を追及しようとしている裁判長の目を盗んで、アメリカは自分たちが望む進行を目指した、ということだ。よほど強い意思で、天皇の戦争責任を回避しようとしたというわけである。

例えばこんなやり取りだ。

東京裁判で主席検察官を務めたアメリカのキーナンは、天皇の側近だったある被告への尋問で、このような聞き方をする。

あらゆる決定は、誰かがしたものを天皇が承認しただけなのか、あるいは天皇が決定したのか

要するに、「誰かが決めたものを天皇が認めただけって答えればいいんだぞ」とアシストをしている、ということだ。それ以降も、

天皇はただ承認しただけなんだろう?

という露骨な聞き方さえしている。しかし、主席検察官からの誘導めいた尋問に、何か裏があると考えてしまったのだろうか。キーナンは被告から「天皇はただ承認しただけ」という回答を引き出せなかった。

そんな「失敗」があったからだろう。東条英機の尋問の際には、あらかじめ弁護士を通じて、「こちらには天皇の責任を追及する意図はないから、上手く返答してくれ」と密約していたというから驚きだ。

東条英機は当然了承する。天皇の責任が追及されてほしいはずがないからだ。

しかし東条英機はある質問に対して、

日本国民が陛下の意思に反してなにかするなどということはあり得ない

というような返答をしてしまう。これはマズい。何故なら、この発言は明らかに「天皇がすべての決定者である」ことを示唆しているからだ。天皇の責任を追及したいウェッブは当然この発言を聞き逃さず、非常に危うい展開となる。

しかしいろいろとあって、最終的に天皇の不起訴が決まることになった。日本もホッとしただろうが、恐らくアメリカも安堵したことだろう。

裁判長・ウェッブの抗議

ウェッブは、東京裁判の裁判長であるにも関わらず、東条英機の尋問の直前ぐらいまで本国に戻っており、東京裁判から離れていた。表向きは、オーストラリアで別の裁判があるということだったが、通常考えらない理由であり、関係者はざわつくことになる。

この動きには、まったく異なる2つの説があるようだ。

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