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【真実】田原総一朗✕小泉純一郎!福島原発事故後を生きる我々が知るべき自然エネルギーの可能性:映画『放送不可能。「原発、全部ウソだった」』

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田原総一朗が元総理・小泉純一郎にタブー無しで斬り込む!原発政策の「ウソ」と、再生可能エネルギーの未来

中身はとても興味深い映画だった。本作は「放送不可能。」というシリーズの第1弾で、テレビでは取り上げられない「田原総一朗が墓場まで持っていけない話」を映画にして上映するというコンセプトである。第1弾のテーマは「脱原発」。対談相手は元総理の小泉純一郎、そして彼が、自身の推進した原発政策について「間違いだった」と語る内容なのだから、中身は抜群に面白いと言っていいだろう。

しかし先に書いておくと、「もう少し見栄え良く編集出来ないものだろうか」と感じてしまった。私は別に、動画編集の知識があるわけでも、普段からYouTubeや動画配信などを見ているわけでもないのだが、しかし「もうちょっと綺麗な感じに仕上げられるはずだ」と思う。予算の問題なのだとしたら仕方ないが、私にはどうしても、「テレビ番組での特集」かそれ以下ぐらいの「見た目レベル」に感じられてしまった。こういう「テレビで取り上げられないテーマ」こそ、より広く知られるべきだと思うのだが、そのためにはやはり「見た目」も大事だろう。その辺りはもう少し工夫があってもいいように感じられた。

さて、本題に入る前にもう1つ。私の「原発」に対するスタンスについて少しだけ触れておこう。私は、「原発に関わる『技術』は素晴らしいが、それを動かす『人・組織』に問題があると考えているので、総合的に判断して原発は許容できない」というスタンスを取っている。さらにその上で、「使用済み核燃料の最終処分法に解決策を見い出せない限り、原発は使用すべきではない」とも考えているのだ。そういう理由から、「脱原発」には賛成である。

「総理大臣時代、私は”騙されていた”」と語る小泉純一郎の主張と、フィンランドの「オンカロ」について

映画は、田原総一朗と小泉純一郎の対談がメインであり、それもあって話は縦横無尽に展開されていく。様々な話題が取り上げられるのだが、本作において最も興味深いと言えるポイントは、「小泉純一郎が”騙されていた”と語っていること」だろう。

総理在籍中、小泉純一郎は原発推進派だった。その理由は、官僚から「原発は、安全・低コスト・クリーンエネルギーだ」と言われていたからである。だから現職時代に、原発政策に舵を切る決断をした。

しかしその後、福島第一原発事故が起こる。これを受けて小泉純一郎はすぐさま脱原発へと立場を切り替えた。そしてその後、様々な人物を巻き込んで脱原発の機運を高め、今では脱原発運動の「象徴的存在」となっている。

もちろん、彼は単に「象徴」として存在しているわけではない。勉強や視察、そして講演などを精力的に行っているのだ。映画の中では、「オンカロ」の話が出てくる。フィンランドに作られた、「世界初にして唯一の『使用済み核燃料最終処分場』」のことだ。彼はその視察にも足を運んだことがあるという。その際に知ったという話も興味深い。

まず、オンカロは2025年稼働予定なのだそうだが、彼が視察に行った時点ではまだ最終の検査が終わっていなかった。そしてその最後の課題こそが「湿気」だったというのだ。なんとなく湿気とは無縁そうなフィンランドでも、やはり地下深く穴を掘ると湿気の問題が絡んできてしまうそうである。それを聞いて小泉純一郎は、「だとしたら、そもそも湿気の多い日本に最終処分場など作れるはずもない」と判断したと語っていた。

またオンカロは、地下400mの場所に2km四方(4平方km)の用地を確保している。ネットでざっくり調べたところによると、これは東京ドーム300個以上分の広さなのだそうだ。世界で2番目に小さな国モナコの面積が2.1平方kmらしいので、そのおよそ2倍である。想像しにくいとは思うが、なんとなく「かなり広い」ということは伝わるだろう。

それでもこの場所に、「原発2基分の使用済み核燃料」しか保管できないそうだ。私が調べた限りでは、フィンランドには原発が4基存在する(現在1基建設中らしいが)ので、オンカロと同じ規模の処分場が最低でもあと1つは必要なのだが、住民の反対に遭って建設計画が進んでいないという。

では日本はどうかと言うと、既に54基の原発が存在し、さらに福島第一原発事故以前の計画では100基まで増やそうとしていたそうだ。原発54基分の最終処分場だとしても、オンカロ規模のものが27ヶ所必要になる。それを、湿気だけでなく地震も避けられない日本に作らなければならないのだ。

こう聞くと、「まず不可能だろう」と感じるはずである。田原総一朗は政府関係者から、「日本にもオンカロを絶対に造ります」と断言されたことがあると語っていたが、1つ造るのだって不可能ではないかと私は思う。「そうやって、みんなごまかしてばかりいる」と、彼は痛烈に批判していた。

脱原発を推進する小泉純一郎は、当然、代替の案についても色々と調べている。映画では、千葉県の農家が発明した「ソーラーシェアリング」という発電方法について語っていた。メインとなる話ではないので詳しくは触れられていないのだが、私は以前別の映画で、この「ソーラーシェアリング」が取り上げられていたのを観たことがある。「田んぼや畑の上にソーラーパネルを設置する」という手法であり、「太陽光発電による売電収益」が得られるだけではなく、「ソーラーパネルにより適度に日陰が出来ることで、作物の生育も良くなる」というプラスの効果まで生まれるのだそうだ。非常に画期的なアイデアであり、千葉県を中心に多くの農家で広まりつつあるという。しかし、国としてはやはり原発を推進したいのだろう、残念ながら「再生可能エネルギーへの支援がなかなか行き届かない」のだそうだ。なんともちぐはぐな話である

「脱原発=左翼」というイメージからの脱却と、息子・小泉進次郎について

このように小泉純一郎は、かつて原発推進派だった自身のことを明確に「誤りだった」と認め、その後正しい知識を得て啓蒙活動を続けているのである。政治家(あるいは政治家だった人)は特に、「自身の誤りを認めない」ことが多い印象があるので、この点だけ見てもやはり、「永田町の変人」と言われた小泉純一郎らしさが出ていると感じられた。

さて、なるほどこれは興味深いと感じたのが、「小泉純一郎が『脱原発』を掲げて活動を始めたことによる効果」についてだ。なんと、「脱原発=左翼」というイメージが払拭されたというのである。

私は未だに、「右翼」だとか「左翼」だとかがどうにも上手く理解出来ないのだが、どうやらかつては「『脱原発』を主張すると『左翼』だと認定される」ことが多かったのだそうだ。2人の話からすると、どうやら「左翼=自民党反対」というニュアンスのようで、つまり「『脱原発』を主張している人は『自民党に反対』なのだ」という受け取られ方が当然のようになされていたということなのだと思う。

しかし、自民党所属で総理大臣経験者である小泉純一郎が脱原発運動の先陣を切ったことで、「脱原発=自民党反対」という捉え方にならなくなったそうだ。「そのお陰で『脱原発』と主張しやすくなった」みたいな声が、小泉純一郎の元に届くようになったと話していた。

小泉純一郎は今、「政治的な話には基本的に首を突っ込まないようにしている」のだという。しかし「脱原発」に関しては「党派に関係なくやらなければならない」と考えており、それ故に自ら先頭に立っているというわけだ。「かつて原発政策を推し進めていた」という事実も併せ、「脱原発」についてこれほど説得力のある主張が出来る人はいないんじゃないかと思う。

さて、作中では、息子・小泉進次郎についても言及されている。映画の最後、田原総一朗が「これはオフレコでもいいんだけど」と前置きして聞いたのが「小泉進次郎はいつ動くんだろうね?」だった。小泉純一郎は、選挙応援はしないと決めているそうで、それは息子に対しても変わらないようだ。ただ、「彼もいずれはやらざるを得ないだろうね」とも語っており、その姿勢を見守るというスタンスのようである。

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