夏に聴きたいクラシック♪牧神の午後への前奏曲
ふだんクラシック音楽は、秋冬に聴きたくなることが多いのだけど、
夏に聴きたいクラシック曲のひとつがこれ。
しかも、空気の乾いたヨーロッパの夏よりも、
湿気に満ちた、日本の夏の空気のなかで聴く方が
この曲の孕んでいる
まるで噎せ返るように熱い
気怠さを纏った音の流れに、似合う気がする。
身体じゅうに吹き出る汗が玉を結び、
幾筋も肌を流れ落ちていくのを感じながら
強い日差しがちらちらと射し込む、
夏の森の木陰で、うたた寝しながら聴こえてくる曲のように感じる。
黒澤明監督の『羅生門』で、三船敏郎演じる多襄丸が、
「あのとき、もし風が吹かなければ…」と語りはじめる回想シーンで、
木にもたれて午睡している姿。
ちょうどそんな光景のような雰囲気を、この曲には感じる。
まだ完全に眠りに落ちる前、
あるいは、熟睡の深みから浮かび上がって
覚醒とまどろみの狭間にたゆたう夢現のひとときに
そっと近づいてきて
戯れるように、まるで好きにまとわりついて身体じゅうに触れてゆく
官能的な意思を持っているかのような、
熱をふくむ風のような、音楽。
エアコンディショニングで快適に整えられた、清潔で、機能的な場所で聴いても、おそらくこの曲は真に味わえないに違いないとさえ、思ってしまう。
クロード・ドビュッシーのこの曲に
伝説のバレエダンサー、
ヴァツラフ・ニジンスキーが振り付けた作品がある。
フランスでバレエ・リュス(ロシアのこと)と呼ばれ、ベルエポック時代のパリが愛した文化の香りをほんの少し、感じることができる。
私はこのバレエ作品を、90年代に、
パトリック・デュポンとマヤ・プリセツカヤの舞台で観た。
来日公演で、たしか渋谷で。(Bunkamuraではなかった気がする)
そのときの、静かな感動を思い出しながら、
こちらの動画をお借りして、お届けします。
でも
出来たら一度は「音楽だけ」を、
目を閉じて、音に身を委ねるように聴いてみて。
更に出来たら
エアコンを切って、汗ばみながら聴いてみて。
そうすれば、私の話す意味がわかってもらえると思うから。
・・・・いえ、無理にとは言いませんが。
熱中症になったらタイヘンだものね、
厚生省に怒られちゃう^^;
ヘンな記事書くなって。
とにかく毎日暑いし、
まだ暑さは続きそうなので
お互い気を付けて
でもこんな風に、時には暑さを楽しみつつ、
夏を乗り切っていきましょー!
ちなみにYouTubeには
いくつか同じ作品の動画がありますが、
私はこれがいちばん好きです。(今のところ)
最後、残された布のなかに、ちゃんと‘’彼女‘’が見えるから。
フォーン(牧神)役のニコラ・ル・リッシュは、
90年代、パリオペラ座バレエ団にいたダンサーだったかな?
その当時私は、ベジャール・バレエ・ローザンヌと東京バレエ団、そしてイリ・キリアンの作品に夢中でした。
いつか何か書こうかな。
それではどうぞ、夏の午後のひと時に。
12:16の再生時間です。
書いたものに対するみなさまからの評価として、謹んで拝受致します。 わりと真面目に日々の食事とワイン代・・・ 美味しいワイン、どうもありがとうございます♡