宿災備忘録-発:第2章5話
湖野の中心地から少し離れた場所。バイパス沿いの食事処。美影は久遠とともに鷹丸が運転する車で、そこまで移動した。パーキングに入ると、店の前に立っていた香織が目に入った。美影は思わず、ため息をひとつ零した。
「露骨にため息なんて、なにげに傷つくんだけどな」
「別に……そういうつもりじゃありませんけど」
「そういうつもり、がどういうつもりか知りたいところだけど、ま、とりあえず飯でも食おう」
ハンドルをさばきながらニヤリとした鷹丸に、どういうつもりか知りたいのはこっちのほうだ