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宿災備忘録-発

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信じる。信じない。教えてくれるものは、いない 生まれながらに災厄を宿した存在、宿災/しゅくさい その運命に生まれたものと、ともに生きるものたちの記録 自らの中に真実を求める、…
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#ファンタジー小説部門

宿災備忘録-発:第1章1話

■ あらすじ 山護美影は、山懐の町、湖野(コヤ)の御神体・九十九山に仕える祖母の元で育…

Luno企画
1か月前
4

宿災備忘録-発:第1章2話①

山護美影 9月19日生 22歳 保護者であった山護美代とは血縁関係なし。他、親族不明。 …

Luno企画
1か月前
2

宿災備忘録-発:第1章2話②

テーブルに伏せられた報告書に、久遠は手を伸ばした。 5歳 山騒祭の初日、九十九山にて行方…

Luno企画
1か月前
2

宿災備忘録-発:第1章3話

ここは一体、どんな場所か。 美影は廊下に出て、周囲に視線を走らせた。 一度姿を消した中…

Luno企画
1か月前
5

宿災備忘録-発:第1章4話

喫茶店。外の景色が見える、窓際の席。テーブルには2つのタンブラーと、冷えたおしぼり。店の…

Luno企画
1か月前
2

宿災備忘録-発:第1章5話

中森の言葉通り、戻った部屋に久遠の姿はなかった。代わって美影を出迎えたのは、見知らぬ少女…

Luno企画
1か月前
2

宿災備忘録-発:第1章6話

赤毛を濡らしたまま、美影は廊下に出た。その気配に反応したのは中森。これ使って、と渡されたドライヤーを手に、美影は段ボールの積まれた部屋へ。 「久遠君が戻ったら知らせるね」 微笑んで言った中森に、小さく、ありがとうございます、とだけ返し、部屋のドアを閉める。ドアに寄りかかり、息をついて、現実に視線を。 壁に沿って置かれた段ボール箱。自分の生活用品。住み慣れたアパートには、もう帰れない。居場所は、ここに移ってしまった。突然。勝手に。それが現実。 脱力感と疲労感。加

宿災備忘録-発:第1章7話①

「おお、カモンカモン!」 灯馬とともに訪れた部屋にいたのは、陽気な気配を纏った老人。 …

Luno企画
1か月前
3

宿災備忘録-発:第1章7話②

誰が言い出したわけでもないのに、皆一様に口を閉じる。マーカーがホワイトボードを走る音。そ…

Luno企画
1か月前
1

宿災備忘録-発:第2章1話

宿災の始まりは、ある娘の末裔だと言われています。天の荒ぶりは神の怒りとされていた頃、ある…

Luno企画
1か月前
1

宿災備忘録-発:第2章2話

山護は、九十九山を守る人の呼び名です。 その由来となった民話を紹介しましょう。 *** …

Luno企画
1か月前

宿災備忘録-発:第2章3話

「僕、この匂い結構好き。おばあちゃんの箪笥ってイメージ」 「みんな言うわよね。不思議な匂…

Luno企画
1か月前
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宿災備忘録-発:第2章4話

太陽が西に傾く前に、美影は家に戻るつもりだった。しかし未だ山中にて、久遠の背中を追ってい…

Luno企画
1か月前
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宿災備忘録-発:第2章5話

湖野の中心地から少し離れた場所。バイパス沿いの食事処。美影は久遠とともに鷹丸が運転する車で、そこまで移動した。パーキングに入ると、店の前に立っていた香織が目に入った。美影は思わず、ため息をひとつ零した。 「露骨にため息なんて、なにげに傷つくんだけどな」 「別に……そういうつもりじゃありませんけど」 「そういうつもり、がどういうつもりか知りたいところだけど、ま、とりあえず飯でも食おう」 ハンドルをさばきながらニヤリとした鷹丸に、どういうつもりか知りたいのはこっちのほうだ