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田舎者なので教えてください。

どこで電話を受けたのかは定かではないが、
午後になりケータイがなった。

「合格です。」
とのことだったので、
その電話で伝えられた学校へ行くこととなった。
東京へは来たことがある。
とはいえ、
こちらのエリア、というか、渋谷、新宿、秋葉原くらいしか来たことがないので、
言われた学校へはどう行ったらいいものか、
地図上ではどこにあるのかさえもわからなかった。
当時はスマホの地図アプリどころかスマホでもないので、
何を見てたどり着いたのかは覚えていない。


学校に行って、
どうだったのか詳細は覚えてはいないが、
「田舎者なのでどこに住めばいいのかわかりません。教えてください。」
などと校長室でおそらく校長、副校長、一緒に組むことになる先生に聞いたことは覚えている。

なぜそのような質問をしたかというと、
補助員だった頃の教頭に、
「東京に行ったら、田舎者なので東京のことはわかりません。教えてください。」って言うんだぞ。と言われたことが頭にあったからである。

東京の人にとってこの「田舎者」というワードはだいぶ響いたらしく、
懇切丁寧にこの学校に通いやすく住みやすい地域を教えてくれた。

ほぼ新卒の若い田舎者の男性はとても珍しかったようである。
当時の勤務先の先生のラインナップとして、
20代は私も含めて3名しかいないようであった。
後は40代が若い先生で、それ以外は50代ばかりであった。
いわゆる団塊の世代が大量にいた時代である。

その、まるで、学校では近年珍しい若者なだけでなく、地方から来た田舎者というある意味プレミアがついた若者が4月からこの学校で働くということは大変なレアキャラに見えたようだった。


それが3月の25日あたりだったような覚えがある。
とりあえず教えられた通りの地域へ行って、
どんな感じなのかを見てから地元への帰路へ着いた。
そして親に報告し、
さらに27日にまた上京することにした。

今考えればどこかのホテルに泊まって次の日あたりに家探しをすれば良かったのだろうが、
まさかその日のうちに合否が決まるなんて思ってもいなかったので、
日帰りのつもりで上京していた。
だから泊まる準備なんてしてもいなかったので一度帰ることにしたのである。

3月27日に上京しその日のうちに家を決める。
そして4月1日から勤務である。
日がない。

27日に家を決めた後、数日で引越しの準備をし、
31日には東京にいて、4月1日には学校の先生になる。
めちゃくちゃなスケジュールだった。

しかも、あまりにも急なことだったので引っ越しが間に合わず、荷物が運び込まれる日は4月2日であった。
出勤日よりも引っ越し屋さんが荷物を運んでくれる日が遅くなってしまった。


まとめると、
結局、一度地元に帰り、
2日後にもう一度上京することにした。
降り立った駅は当然一度も来たことのない駅である。
そしてここも田舎と違いビルがニョキニョキと生えていた。
こんなところに住めるのだろうか。
と思いながら、まずは不動産屋を探すことにした。
自分は保守的なところがあったので、
なんかチェーン店みたいな不動産屋さんは避けて、
昔からやっています。
みたいな地元の不動産屋を探すことにした。

それなりに大きな駅だったので、
駅前に不動産屋さんはたくさんあるようだった。
窓にびっしりと貼り付けられている物件の数々。
店に入りはしないが、大体の家賃の相場を見ていた。

まぁ東京だよな。
という家賃である。
それでも後からわかったことだが、これでも都内ならば安い方であった。

駅前の不動産屋さんはパスして、
駅からちょっと離れたいかにも昔からやっています、古いです、個人経営です。
みたいな不動産屋さんを見つけたのでそこに入ることにした。

それが逆に良かったのであった。

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