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緋月 燈
2014年9月30日 00:26
種は土にありました土の中で目覚めの時を待つのです光に焦がれて伸ばした芽初めて目にしたのは火傷しそうに鮮やかで鋭く目を焼いた空の色一瞬の青に刻まれた永遠でもどうして?見渡すばかりの緑なのようやく逢えたお姉さま方追いかけてきた妹たち緑しか知らぬかのよう一緒だわ緑も綺麗 綺麗だわでも待ってどうして同じ 同じなの?頭上に輝く美しの青どうしてわたしは青じゃ
2014年9月28日 22:41
その子が生まれて幾年が経ったでしょう春が新しい生命を生み幾重の風も生まれて行った夏を引き連れ初夏となり太陽が輝き増す膝元に風も生まれ駆けてゆくそして末の子生まれたけれど輝きも盛りの夏の日に太陽の光に耐えられない太陽が照るとき生まれたというに風の子は光に耐えられないきょうだいは真夏の日差しに美しく光を受けて歌うのにわたしはあの光の祝福賜ること能はずすぐに疲れて
2014年9月25日 01:16
大空に散った友よあの日と同じ色をした空の下に僕は今も生きている僕の時計は今も君が天へと消えた時のまま針を止めているいつか君のもとへ逝くとき僕は何を言えるのだろう君も知らぬ我が友への約束果たせたのかもわからないのだあれから何ひとつ変わっていないかもしれない何かが変わったのかもしれないもしかすると僕より君が知っているのかもしれないな嗚呼 あの空を君はまだ翔けている
2014年9月23日 21:07
遙か 時 遡る人が忘れし遠き日に少年は少女と出逢い生きていた二人が世界 世界は二人愛しあうことが幸福死が二人を別つまでは願いを叶えよう愛することだけ願った君の最期の望みを叶えたい貴方の傍にいたい涙と共に零れ落ちる願いは儚くて宇宙の塵のよう残された最期を二人涙せぬようにと少女は絞るように唇震わせたああ、花を枯れることなき石の花二人が永遠になれるような花が欲
2014年9月20日 01:46
星降る夜に貴女はいないこんなに煌めく空も貴女がいなければ闇と同じ夜の海に漕ぎ出そう貴女がいない夜は淋しくてたまらないからわたしを包む波音も涙を咲かせる如雨露星のささめきも今はただ煩わしいねえ どこにいるのわたしを見つけて貴女がいないと自分すら失くしてしまう貴女の光で照らしてこの身体が陰に溶けてしまう前に©2014 緋月 燈
2014年9月19日 01:49
真昼の夢をみている覚醒の時を生きる人の群れ夢をみている私それともこれは胡蝶の夢?夢をみているのはどちらでしょうああでもわかっているの日常という繭に揺蕩う幼生たち罅割れた楽園を手放し夢は終わらせなさい醒めてから視る夢へと羽搏きなさい縫い閉じた目蓋をそっと解いて冷たい世界へ歩き出すでもその世界はいまよりきっと辛くて幸せさあ手を延ばしてあなたの夢を捕らえまし
2014年9月18日 01:35
あの時の夕日を僕は覚えていない君との別れを彩ったはずの色を哀しいほどに夕日は一瞬を刻むことすら許されないまま変わっていってしまうから忘れる前に忘れてしまうんだだからあの日僕が憶えていられたのは君の事だけなんだ©2014 緋月 燈
2014年9月18日 01:34
この腕を翼に変えることができたら僕はどこまで飛んでいけるのだろう飛び立ちたくて体に力を入れても僕の身体は巣の中伸ばしたことすらない翼を畳んで留まっている風は歌いながら誘うけど僕の脚に絡むのは僕の意思か巣の意思かでももう此処を出なきゃ僕の心はそう言っているから最後の一歩たじろいでしまっているけどすぐにきっと飛びたつよだから待っていて©2014 緋月 燈
2014年9月9日 17:59
セピアがかった硝子色の視界ミュシャの色絵のような葉は萌える緑より色濃く薫り木々と共に刻むあの時計が示すのは幼い頃 森の奥へと置き去りにしてしまったあの頃のわたしでしょうか噎せ返る緑に葬られた時間は今も幽かな鼓動を遺して息づいているの?心臓を取り出してあの柩へと納めたらあの頃の夢に帰れるかしら花も鳥も風も月もただひたすらに美しかった繁る葉の奥少女の睡りを守るよ