ブルー・フラワー

種は土にありました
土の中で目覚めの時を待つのです

光に焦がれて
伸ばした芽

初めて目にしたのは
火傷しそうに鮮やかで
鋭く目を焼いた
空の色

一瞬の青に
刻まれた永遠

でもどうして?
見渡すばかりの緑なの

ようやく逢えたお姉さま方
追いかけてきた妹たち
緑しか知らぬかのよう
一緒だわ

緑も綺麗 綺麗だわ
でも待って
どうして同じ 同じなの?
頭上に輝く美しの青
どうしてわたしは青じゃないの?

泣きそうな若芽を
土は育て支えてくれました
風はそよぎ あやしてくれました
いずれ緑を脱ぎ
別の色になると教えてくれました

そして青は特別なのだと
教えてくれました

青は空の色
特別な色
花が持つには難しいと

それでも、と。
青に憧れ
空だけを見つめ
青を求めました

空の青
美しさの始まり
青ばかり見ていたら
いつか溶けてはこないかしら
溶けた青 わたしに落ちて
美しく染めてくださいませ

願い願って想い続けた花の名は
蕾に閉じ籠めたその色は
やがて開くその花は
秋空の青

「ブルー・フラワー」


©2014  緋月 燈

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