マガジンのカバー画像

作詩-言葉たち-vol2

48
運営しているクリエイター

2016年7月の記事一覧

濡れてゆく

心が感情に彩られてゆく
スポンジのようなものなら
人の心とは、
案外美しくはないのかもしれないね

いろんな絵の具を吸って時に混ざりあい
時を重ねるほどに
染みてゆく色々

みずみずしく濡れゆく心は
いつも涙を湛えているかのよう
でもそのうるおいは美しい

乾ききって
どんな色にも染まされないよう
押し潰しきったスポンジは哀れだ

息を止めたら、
けっきょく、苦しい
だけだもの。

使ってなかった

もっとみる

二羽の鳥

低い梢の木々の奥
鳥の鳴き声響いてる
さあ早く目覚めなさい、
巣立ちなさいと鳴いている

小鳥は古巣にうずくまり
夢うつつのように空を見上げる
鳴かない小鳥は何も知らない
羽も風もどこへ行くのかも

老いた親鳥は鳴いている
早くお飛びと鳴いている
古巣の小鳥に背中を見せて
早くお飛びと鳴いている

小鳥は古巣に臥せたまま
光をさがして空を見つめる
鳴かない小鳥は殻を割ってる
雛より幼いこころの卵の

もっとみる