リポDに生かされている|定時30分前日記

 ヨガの帰り道に、でかい缶の形をしたリュックにたかる群れをを発見した。レッドブル無料配りだ。
 私はこの品のないPRが嫌いだ。渡してきても受け取らないぞという意思を顔に貼り付け傍を通り過ぎようすると「お姉さんもどうですか」と声をかけられる。視線はあっけなく手に握られたレッドブルへ。「あ、CMで見たことある〜」と白々しい返事をする自分が悲しい。はいどうぞ、と輝く笑顔の日焼けした兄さんからレッドブルを受け取る。無料に釣られたんじゃなくてお兄さんの笑顔が素敵だから受け取ったんですとメンタルを誤魔化し、人のごった返す春うららかなアメ村をすり抜けた。

 今日、というか今、ものすごく体が軽い。ヨガのおかげか、昨日の就寝ポーズが良かったのか、レッドブル……レッドブル?
実は私、昨年秋ごろから禁栄養ドリンクをしていた身であったのだ。7年前から毎日欠かさず飲んでいた、あの黄金の液体を完璧に断っていた。レッドブルはもちろん、リポビタンD、モンスター、ゾーン、その他コンビニの片隅を占領する有象無象全て飲まなかった。その代わり、安いインスタントカフェオレ一杯分の雫程度のカフェインでどうにか今まで生きてきたのである。

 なぜ栄養ドリンクをやめたか。そもそも、学生時代に接客したくない度90%越えのバイト日を耐えるために飲んだのがこの悪魔習慣の初まりだった。効果はてきめん、あれよあれよと言う間に気づいたら週7本飲んでいた。社会人になり一人暮らしをはじめて、親の金で飲んでいたリポビタンDがあまりにも高価であることに愕然とし、お値段約半分のチオビタに変えた。栄養ドリンクがないとパソコンに向かってられないし眠たいし頭も回らないし笑顔も作れない。出費は嵩む。更に半額のトップバリューの栄養ドリンクに変えた。
 仕事終わり真夜中のイオン、1本40円の小瓶をあるだけ全部カゴに入れ、重たいビニール袋を抱えて帰る自分。燃料の一つとして飲んでいたのが、いつしかモーターばりの必須アイテムになってしまっていた。これはいけない。

 というわけで昨日まで完璧だった禁栄養ドリンクは、見ず知らずの営業スマイルによって計らずとも終了してしまった。でも体は軽い。もしかして、やはり私は栄養ドリンクが必須な身体なのではないか?そう、カフェインだけではだめなのだ。タウリンとかアルギニンとか知らんけど多分そういうのが必要だったのだ。栄養ドリンクの恩恵を真に理解したところで私はコンビニへ行く。買うのはもちろんチオビタです。

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