セウラサーリ島の夏至祭
秋の風がそよぐ美しい季節がはじまろうとしています。フィンランドはもうすっかり夏が終わり、ひんやりとした空気に包まれている頃でしょうか。
少し季節外れになってしまうかもしれませんが、今年の夏に訪れたフィンランドの夏至祭のことを書こうと思います。すべり込みで2つの夏コラムを書きましたので、よければ合わせてご覧くださいませ。
ヘルシンキの西側の海に、セウラサーリ / Seurasaariという島があります。ここはフィンランドの伝統的な建築物が集合して(移築されて)おり、島全体が屋外博物館となっています。
今回の滞在は運良く夏至の日とも重なっていたので、夏至祭目当てに島へ行ってみることにしました。
夏至のヘルシンキ市内は、閑散としています。皆、帰省したりサマーハウスへと出かけてしまうからです。しかし、セウラサーリ行きのバスは満席。島に行ってみると、長蛇の列で驚きました。フィンランドではなかなか見ない人口密度です。
島への桟橋へ向かっていると、民族衣装をまとったおじいさんが。警備のおじさんと一言二言の会話を終えて、すたすたと先へと歩いてゆきました。どうやら急いでいるよう。
桟橋の左右には、のどかな夏の風景が広がります。
桟橋の上には人と、カモメ。島の中へと歩いてゆきます。
豊かな自然となめらかな地形、伝統的な木造建築が混在するセウラサーリ島。人々は思い思いに島を散策しながら草花を摘み、花かんむりをつくります。森の妖精みたいで、かわいらしいです。
広場につくられた小さな舞台では、伝統的な衣装をまとう人たちが音に身を委ねて踊っています。
桟橋で見たおじさんも、ここにいました。間に合ってよかったです。
傾く日差しのなか、カラフルな色をまとって軽快に踊る彼らの姿は美しく、ただただ心地のよい時間が流れてゆきました。
観客も一緒に踊ったところで、その場はひと段落。人の流れに身を任せて、奥へと進んでゆきます。
国旗の行進に着いていく人たち。いったいどこへ。
緑の広場には、竹馬や綱引きをして遊ぶ人たち。大人も子供も関係なしに、その時間、空間を存分に楽しんでいました。
さらに先へと進むと、ひらけた場所へと道は続きます。
どうやらここがメイン会場のよう。大勢の人で賑わっています。
もちろんコーヒーも、大きなウインナーも。
海辺に立つのはボンファイヤーの木組みです。大きな火が上がるボンファイヤーは夏至祭の目玉イベントのひとつですが、今年は乾燥・風の影響(火事への懸念)から中止に。三つの木組みは寂しそうに佇んでいました。
移築された古い木造建築たち。おとぎ話の世界に出てきそうな装いをしています。
束の間のひととき、帰路へ。
夕暮れ時の長い影に包まれながら、続々と島を後にする人たち。
夜の闇に消える花火が夏の終わりを告げるように、帰り道の黄昏の光はフィンランドの短い夏の終わりを予感させます。
次の夏至祭まで、あと365日。
その前には、ふたたび冬がやってきます。
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