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「迎え火焚いて 待ちわびる」-詩―

鎌倉の 材木座の 海は荒れている
遠くに美しく横たわる 富士山も
近くの 江の島さえ 煙っている

私は 沖合を 見つめ続け
行方不明の あなたのディンギーを探す
白い2枚帆で 波を切り 風をあやっていた
あなたの ヨットが 無事に戻ってくるように
二人で拾ったさくら貝を 固く握りしめて
荒波に 祈りつづけている

どこかの 優しい雲や波が
あなたを この浜に
連れ戻して くれないかと願う
あなたが 海に消えてしまったとは
皆から うつむき声で いわれても 信じない

二人で 約束した
「この夏は 湘南の海で 
青春の花火を 大空に散りばめよう」と・・・

その約束を 守って欲しい!
砂浜で 後ろ姿のよく似た人を
見つけると その 背中を追いかけてしまう

いつまでも
少女から 抜け出せない私を 
あなたは 太い腕で
抱きかかえて
「大人の恋路を 歩こうよ」と
耳元で ささやいた

あの熱い ささやきを
もう一度 耳に残したい
日焼け色の匂いの 言葉に
包まれたい

あなたに 会いたい
海の かなたから
戻ってきて
江の島の 灯台で
背伸びしながら キスしたい

浜で 迎え火を焚く
あなたは 燃える炎をみつけて
虹の国から きっと 会いに来てくれる

2023年の作品をリライトしました

#詩 #Poetry #lyric #抒情詩 #死 #湘南 #迎え火 #忘れられない恋物語 #創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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