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フランス詩を訳してみる

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#ノーベル文学賞

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

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作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

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以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

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シュリ・プリュドム「割れた花瓶」(フランス詩を訳してみる 19)

Sully Prudhomme, Le Vase brisé (1865)

枯れかけたクマツヅラの花瓶に
扇が触れてひびが入った。
あまりにかすかに触れたので
音ひとつ聞こえなかった。

けれどもそのかすかな傷が
日ごとにガラスを蝕み
目には見えない確かな歩みで
ゆっくりと花瓶を一周した。

きれいな水が一滴ずつこぼれ
花がからからになっても
まだ誰もそれに気づかない。
触れないで 割れた花瓶に

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