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フランス詩を訳してみる

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2019年11月の記事一覧

シュリ・プリュドム「割れた花瓶」(フランス詩を訳してみる 19)

Sully Prudhomme, Le Vase brisé (1865)

枯れかけたクマツヅラの花瓶に
扇が触れてひびが入った。
あまりにかすかに触れたので
音ひとつ聞こえなかった。

けれどもそのかすかな傷が
日ごとにガラスを蝕み
目には見えない確かな歩みで
ゆっくりと花瓶を一周した。

きれいな水が一滴ずつこぼれ
花がからからになっても
まだ誰もそれに気づかない。
触れないで 割れた花瓶に

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ヴェルレーヌ「よく見る夢」(フランス詩を訳してみる 18)

Paul Verlaine, Mon rêve familier (1866)

(上田敏・堀口大學・渡辺洋・大熊薫の訳を参考にした。)

 *

レオ・フェレによるシャンソン(1964年)があります。