子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-9(本質=原因を見極める)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:少年事件 】
今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。
さて、昨日のブログでは、「息子のためにやれること」について書いてみました。
弁護士は、いろんな事件に携わり、「解決」へ導いていくことが仕事ですが、その「解決」にとって不可欠なのが、事件の「本質」をつかむことです。
「本質」とは「原因」とも言い換えられます。
今回の設定で言えば、事件自体は「覚せい剤取締法違反」ということになるんですが、息子が覚せい剤に依存しているわけではないので、着目するべきなのは「覚せい剤」ではありません。
・覚せい剤を持っているような人が交友関係に含まれていたこと
・覚せい剤の使用を拒否できなかったこと
この2つが、この事件の「本質」です。この2つがなければ、息子は覚せい剤に手を出すことはありませんでした。
したがって、↑の2つが、事件の「本質」であり「原因」なので、息子は、事件の解決に向けて、↑の原因2つを取り除くことが必要になってきます。
少年事件を含めた刑事事件では、事件を起こした「原因」をどうやって取り除くか、という点を特に考えます。
・覚せい剤を持っているような交友関係
・覚せい剤の使用を拒否できなかったこと
この2つを取り除くと、息子は友達を失う可能性が出てきます。
すべての友達を失うことにはならないでしょうが、覚せい剤を持っているような交友関係とはいえ、息子にとっては楽しい時間を過ごしてきた友達で、それを失うことは大きなキズになる可能性が高いです。
ただ、このことを、父親だけで考えていてもダメで、きちんと息子と話す必要があります。
覚せい剤を持っているような交友関係を築いていたことが今回の事件の原因だと父親が考えていることをきちんと説明して、その上で、交友関係をどうやって清算するのか、清算したあとに仲良くできる友達は残るのか、そういったことを、息子と話し合いながら考える必要があると思います。
あと、「覚せい剤の使用を拒否できなかったこと」についても、これからどうするか、息子と話し合いながら考えなきゃいけません。
昨日も説明しましたが、人生が楽しければ、覚せい剤なんかに手を出すことはありません。覚せい剤に手を出してしまうと、せっかく楽しい時間を過ごしているのに、その楽しい時間が逮捕によって失われてしまいますし、逮捕されたという事実が残ると、これから将来のやれることに制限が出てくる可能性もあるからです。
だから、人生が楽しいと、それを失うリスクを考えて、自発的に覚せい剤とは距離をとるはずなんです。
覚せい剤のリスクを考えてもなお、息子は、その場の「空気」や「流れ」を優先して覚せい剤使用を拒否できなかったのですから、そんなモノしか、人生の楽しみがなかったわけです。
その現実から目をそらさずに、息子が打ち込めるものを見つけることが必要です。
それも、父親だけで考えていても出てきません。息子と話して、一緒に考えて見つけていく必要があります。
私は、妻にこういった考えを話しました。
そうすると、妻も同意してくれました。「私もそう思うわ。〇〇(=息子の名前)が、よくない友人関係を築いてしまっていたことに自分で気づいて、自分で友達を選んでほしい。そして、覚せい剤を使うような友達関係よりも、ずっとずっと優先したい何かを見つけて欲しいと思っているわ。」
「そうだな。僕らだけで話していても結論は出ないから、また早めに面会に行こう。次は、2人で面会に行かないか?」
「そのほうがいいわね。多分、次は〇〇もあなたと話してくれると思う。私もいるし」
「そうか。なら、2人で面会に行こう。それと、父親の僕が聞くことじゃないと思うんだけど、〇〇が好きなこと、打ち込めることって、どんなことがあるかな?」
「あの子、本当は勉強が好きだと思うのよ。ほら、高校受験は失敗したでしょ。それで、滑り止めで受験した高校に行くことになって、そこから勉強のやる気を失ってしまったけど、中学生の頃は、本当によく勉強していたよね?」
「ああ、そうだった。本当によく勉強していたよ。中学生の時に『勉強好きか?』って聞いたら、『好きだよ。特に数学の図形の問題が面白い。』って言ってた。僕にそっくりで、本当に嬉しかったのを覚えているよ」
「あなたも数学の勉強好きだものね。数学の勉強に励んでいた姿を私もよく覚えているわ。本当によく勉強していたから。ただ、高校受験の当日に体調を崩してしまって、実力が発揮できずに、合格できなかったのよね」
「うーん、正直に言うと、実力が伴っていなかったんじゃないかな?数学の勉強は本当に好きで、とても勉強していたけど、他の科目の成績はあんまり良くなかったからな。高校受験当日に体調を崩したから、体調が原因で落ちたって言い訳できているけど、試験結果を見ると、数学の点数はとても良かったのに、他の科目の点数はあんまり良くなかったから。」
「それは、本人にとって痛い点よね。本人はどう思っているんだろう。体調が理由で落ちたと思っているのか、単に実力不足で落ちたと思っているのか。」
「そこをきちんと聞かなきゃな。勉強しても体調崩したら意味ないと思って勉強するやる気をなくしたのか、とにかく数学の勉強が好きで、数学の勉強ばかりしていたけど、それだけじゃ受験は突破できないから、勉強しても意味ないと思ってやる気をなくしたのか。」
「そこも聞いてこなきゃいけないわね。あと、私たちが知らないうちに、他にやりたいことを見つけているかもしれないし」
「そうだな。とにかく、また面会して、友達関係とやりたいことについて聞いてこよう」
「そうしましょう」
さて、僕と妻との間でこういった会話が交わされ、次の面会には2人で行くことになりました。
面会は時間が限られているので、何を聞くのか、事前に決めておくのが大切です。
事件の本質(原因)を見極め、なるべく良い方向で解決するためには、何が必要なのか。
勾留されると、少なくとも国選弁護人がつくので、事件の本質は、弁護士が教えてくれます。
その弁護士と相談しながら、必要なことを自分なりに考えて、限られた面会時間を有効に使いましょう。
今日はこの辺にします。
それではまた明日!・・・↓
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