#357 お客さんは選べるし,選ばれている。

どうも,こんにちは。

古田博大(ふるたひろまさ)です。

このブログを初めてご覧になる方は,はじめまして。

いつもご覧くださっている皆様,いつもアクセスありがとうございます。

僕は,1990年生まれで現在30歳。2017年1月から弁護士として働き始め,ちょうど2年半が経過した2019年7月10日にうつ病を発症し,それから今日までずっと休職しています。

うつ病発症からしばらくは,眠ったり食べたりすることもままならず,生きることそのものが苦しい時期が続きましたが,長い時間をかけて少しずつ回復することができました。今は,週2日の休みをはさんで毎日出勤練習(慣らし勤務)を繰り返しながら,復職への準備を進めています。

うつ病をきっかけに「自分も何か行動したい!」と思い,2019年12月から,この毎日ブログを始めました。とはいえ,このブログでは,うつ病に関することだけでなく,日々考えたことを自由気ままに書いています。

書きたいことがたくさんあって,文章が長くなってしまうことも多いですが,ブログの負担が大きくなりすぎてうつ病に悪い影響を与えないよう,書き始めてから1時間程度でアップロードすることにしています(#ほぼ毎日時間オーバーしていることはナイショです

「書きたいがたくさんある」と「1時間でアップする」は両立が難しく,そのため,文章がつながっていなかったり,文章自体がわかりにくかったりと,弊害も多々あるんですが,どうしても「毎日ブログ」を続けたいので,毎日綱渡り状態ですが,アクセスしてくださる皆様のおかげで,今日までなんとか続けることができています(;^_^A

僕のうつ病の経過については↓でまとめています。

それでは,今日も書いてきます!

ちょっと前置きから始めます。

こんなこと言うまでもありませんが,僕ら弁護士の仕事は,お客さんからお金を頂いて成り立っています。

弁護士にとっての「お客さん」は,大きく2種類に分けることができます。

相談だけのお客さんと,依頼を受けているお客さんです。

相談だけのお客さんは,30分なり1時間なりの法律相談を受けて,費用を頂いたらそれで終わりです。

2回以上相談される方も結構いらっしゃいますが,弁護士に依頼するまでもないとか,弁護士に依頼したほうがいいと思われるものの,お客さんが依頼する決断をされなかったりとか,そういったものが「相談だけのお客さん」です。

「相談だけのお客さん」は,事情をお聞きして,法律的な観点から回答を申し上げ,費用を頂いたらそれで(一応は)終了です。

「依頼を受けているお客さん」は,相談だけのお客さんとは違って,法律相談だけで終わりではありません。「依頼」にもいろいろありますが,最もイメージしやすいのは,代理人としての仕事でしょうか。

紛争の相手と代理人として交渉したり,交渉がうまくいけば,最終的に合意書を作成して紛争を終わらせ,交渉がうまくいかなければ裁判を提起し,裁判で和解が成立することもありますが,和解が成立しなければ,最終的に判決をもらい,その後強制執行したり。

そういった「代理人としての仕事」などの「依頼」を受けている場合は,その依頼が終わるまで,弁護士とお客さんの関係が続きます。

依頼しているお客さんを,弁護士業界では「依頼者」と呼ぶことが多いです。もちろん,お客さんの目の前で「依頼者」なんて言い方はしませんが,業界内では「依頼者」という名称はかなり一般的です。

で,「依頼を受けているお客さん」も「相談だけのお客さん」も,弁護士にとってはなくてはならない存在です。

依頼したり,相談したりする方がいらっしゃらなければ,僕ら弁護士は食いっぱぐれてしまいますから。

もちろん,金額的には,依頼されている方のほうが,相談だけの方よりも大切ですが,ただ,相談だけの方をおろそかにするなんてことはあり得ません。

なぜなら,法律相談は,依頼への架け橋だからです。相談を経ずに,いきなり依頼しようなんて方はいませんし,むしろ,やめたほうがいいです。

実際に相談してみて,その相談の受け答えや身振り手振りから,じっくり弁護士を観察したほうがいいです。じっくり観察して,信頼できるかどうか見極めて,依頼するかどうか決断しましょう。

しかも,法律相談をしている際に,その場で依頼を決断する必要もありません。依頼したいなと思っても,一晩じっくり考えていいですし,友人や家族に相談して決めてもいい。

はたまた,他の弁護士にセカンドオピニオンを求めてもいいでしょう。これだけ弁護士が増えたわけですから,いろいろと弁護士を品定めしたって構いません。

じっくり悩んで,どの弁護士に依頼するか決めてください。

そのほうが,選んだ自分に責任を持てますから。

ちょっと脱線しますが,弁護士に依頼するのは,あくまで自分の責任です。弁護士に依頼したこと自体を誰か他の人のせいにすることはできません。

僕は依頼を決断する前によく説明しますが,弁護士に依頼することは,相手とケンカすることを意味します。

なぜなら,弁護士は,あくまでお金を払ってくれた方(=依頼者)の味方として仕事をするからです。相手との紛争を仲裁する役割ではありません。

弁護士に依頼するということは,弁護士にお金も払うし,相手に対して「あなたとケンカするよ」と正式に宣戦布告することも意味します。

法的紛争は,相手と何らかの人間関係があるからこそ起きてくるわけですが,その人間関係は,弁護士に依頼したら最後,崩壊すると思っていただいたほうがいいです。

もちろん,弁護士に依頼したことを相手がどう思うは,相手次第で千差万別ですが,ただ,弁護士に依頼するということは,↑に書いたように「正式に宣戦布告する」ことを意味します。

弁護士に依頼する前は,穏便なやり取りだったところ,弁護士に依頼した途端に態度が変わることもたびたびあります。

というか,態度が変わるのは当たり前です。相手からすれば,「正式に宣戦布告しますよ」と言われたわけですから。

弁護士に依頼することの重みは充分にわきまえていてほしいです。

※ただ,もう1つ強調したいのは,弁護士に「相談」するのは気軽にやってほしいことです。依頼するかどうかは充分に悩んでいいんですが,「相談する」のは悩まないでほしいです。

というのも,例えば,世の中には「時効」という制度があって,相談が遅れたばっかりに請求できなくなることがあります。

特に「遺留分」の時効は短い(笑)。「遺留分」といって,遺産の中から最低限もらえる権利が保障されていることは有名ですが,この「遺留分」が請求できるのは,遺言書を見てから1年です。

正確に言えば,「自分の遺留分が侵害されている」と認識してから1年なわけですが,ただ,「自分の遺留分が侵害されている」なんて難しいワードが頭に浮かぶのは弁護士くらいですよね(笑)。

通常であれば,遺言書を読んだら「自分の遺留分が侵害されている」ということがわかるので,遺留分侵害の時効期間が,遺言書を読んだ日からスタートします。その日から1年が経過したら最後,遺留分は請求できなくなります。

こういった時効の問題や,相談が遅れたばっかりに対処が遅れて紛争がこじれてしまうこともあります。

だから,「相談」は気軽にしてほしいです。これは,心からのお願いです。相談したとしても,相談したことは誰にもバレません。弁護士は守秘義務を負っていますから。

だいぶ長くなりましたが,ここから本題です。

こうやって,依頼するかどうか充分に悩んで依頼されたお客さんや,気軽に相談してくださったお客さんがいらっしゃるわけですが,お客さんの皆様が弁護士を観察しているのと同じように,弁護士からも観察されています。

そもそも,法律上,医者は受診を拒否できませんが,弁護士は依頼や相談を拒否できます。

これは,当たり前の話です。

民法には,「私的自治の原則」という大原則がありますが,これは,「誰をお客さんにするか選べる」ということも含みます。

お客さんがどの弁護士に依頼するかを選べるのと同じように,弁護士も「どのお客さんから依頼を受けるか」を選べるんです。

相手を選べるのは,お金を払うほうだけじゃありません。お金を「払われるほう」も,誰からお金をもらえるか選べます。

考えてみりゃ当たり前ですよね。お金を払うほうだけ選べたのでは公平じゃありません。相手を選ぶ権利が,どちらにも保障されていなければフェアじゃない。

ただ,医者の場合は,お客さんを選んでしまうと,そのお客さんは「患者」ですから,お客さんの生命や身体に取り返しのつかない被害が生じてしまう可能性があるわけで,だからこそ,お客さんを選んじゃいけないんです。

だから,医者の場合は,↑に書いた「私的自治の原則」が修正され,医者の側からお客さんを選べなくなっています。

でも,弁護士はそうじゃありません。私的自治の原則がそのまま当てはまります。だから,弁護士はお客さんを選んでいい。

言い方を悪くすれば,依頼を「拒否」したっていいのです。「ぜひ依頼したいです!」と言われても,「お受けしません」と突っぱねていい。

拒否されたお客さんは,どれだけ文句を言ってもいいですが,弁護士に法的な責任を求めることはできません。だって,「私的自治の原則」のもと,お客さんを選ぶことが法的に可能だからです。

この「私的自治の原則」は,「大原則」と説明したとおり,別に弁護士の業界だけに当てはまるものじゃありません。

あらゆる業界,あらゆる商売に当てはまります。

この「私的自治の原則」は,先ほど説明したように,お金を払う側も払われる側も対等であることが前提になっていますが,でも,「お金を払う側が優位」と思っている人が多いようです。

しかし,これはとんだ勘違いです。「お金」という悪魔に心を洗脳されてしまった人たちが陥りやすい勘違いです。

弁護士の仕事をしていると,お金の支払うを渋る人がたまにいます。

「報酬が高すぎる!」とか「初回相談は無料じゃないの?」とか,支払いをゴネてくる人たちが一定数います。

別に,これも弁護士業界に特有の問題じゃありませんよね(笑)。どの業界でも,金払いが悪い人が一定数います。

この人たちが,「お金を払う側が優位」と勘違いしている典型的なパターンです。

僕は,金払いが悪いことが道徳的にダメだとか,そういったことを言いたいわけじゃありません。

そもそも,出来上がった仕事の内容が約束と違うのであれば,毅然と支払いを拒絶するべきでしょう。

ただ,支払いを渋ってしまうことがどういう意味を持つのかということは,きちんと考えていたほうがいいでしょう。

もし,支払いを渋ってしまうと,それはすぐさま,「私は支払いを渋るケチな人間ですよ」と相手にアピールすることになってしまいます。

このことに気づきましょう。

例えば,「初回相談が無料じゃないの?」と言って,相談料5000円を渋る人は,相談料を渋ると同時に,相談した弁護士に対して,「私は5000円をケチる人間ですよ」とアピールしています。

そうするとどうなるか。

弁護士は,その人から依頼を受けたくなくなります。だって,5000円程度でケチケチされていては,仮に依頼を受けた場合に,仕事が円滑に進まないからです。

弁護士に依頼した場合は,裁判する際に印紙代や郵便切手が必要になったり,どうしてもお金がそれなりに必要になってきます。

5000円程度で支払いを渋られていては,仮に依頼を受けた場合に,何度支払いを渋られるかわかりません。

だから,5000円を渋る人からの依頼は受けたくなくなるんです。

そうすると,この人は結局,支払いを渋ってしまうばっかりに,どの弁護士も依頼を受けてくれなくなってしまうでしょう。

だとすれば,「お金を払う側が優位」と勘違いして,支払いを渋ってしまうと,結局損してしまうのは,勘違いしてしまった自分自身です。

めちゃくちゃ大事な視点なので書いときますが,お金を払う側には「お金」しかありません。お金を払う側は,お金を払うことしかできない。

それに対し,お金を払われる側は,お金を払うに値する専門的な商品なりサービスを持っています。

弁護士に当てはめると,お金を払われる側である「弁護士」には,専門的な知識や,法律上訴訟代理人になれるのは弁護士だけという「資格」といった,弁護士にしか提供できないサービスがあります。

しかしながら,お金を払う側は「お金」しかない。

弁護士の持っている専門的なサービスを提供してほしくて,お金を払おうとしても,支払いを拒絶されてしまっては,手に入れようがありません。

「お金」は商品やサービスに変換されて初めて価値を持つのに,お金自体の価値を過大評価してしまい,ケチってしまったばっかりに,支払いを拒絶され,商品やサービスとお金の交換ができなくなってしまう。

だから,「お金を払う側が優位」は勘違いなのです。だって,お金を払う側が優位=お金の価値を過大評価→ケチる,となった場合,お金を商品やサービスと交換できなくなってしまうからです。

お金を払う側も,払われる側も対等なんです。

これを勘違いしてはいけません。

「お金を払う側が優位」と勘違いしてしまったばっかりに,支払いを渋ってしまうと,「私は金払いが悪いですよ」アピールになるという視点を忘れずに。

だから,僕は,お客さんの立場になるときは,とにかく優しくしてます。お金を払う側には,お金しかないからです。

そして,↓のブログでも書きましたが,今の時代は,巨大企業が独占的に提供するサービスが,生活にとってなくてはならないものになっています。

アマゾンやグーグルなくして,現代の生活は営めないでしょう。

ただ,こういった巨大企業も,あくまで「企業」で,「私的自治の原則」が適用されます。

つまり,巨大企業もお客さんを選べるのです。

まあ,アマゾンやグーグルとの取引はクレジットカードで前払いですから,支払いを渋って拒絶されるなんてことはあまりないでしょうが,ただ,例えば,アマゾンの配達員に対する態度が悪かったりすれば,それを理由にアマゾンが取引を拒絶してくるかもしれません。

アマゾンも,お客さんを選べるからです。

私的自治の原則がありますから,配達員への態度が悪いことを理由に取引を拒絶することは当然許されます。

今の時代は,巨大企業が「インフラ」とも言えるようなサービスを提供していますから,巨大企業に「私的自治の原則」の名の下,取引を拒絶されると非常に困ってしまいます。

だからこそ,優しくなきゃいけません。

優しい人しか現代の生活を謳歌できないんです。

「優しい」は,言いたいことも主張せず,何事にも従順であることは意味しませんが,ただ,優しくないことをしてしまうと,途端に現代社会の便利さを奪われてしまう可能性もきちんとわきまえておきましょう。

僕はこんなことを考えていますから,お客さんとしてお金を払う側になった場合は,とにかく優しいです。

だって,僕には「お金」しかないですから。

商品やサービスがほしいのに,拒絶されちゃうと,せっかくの「お金」が宝の持ち腐れです。

・お客さんである自分には「お金」しかない

・優しくないと拒絶されちゃうかもしれない

・だから,優しい人しか生き残れない

そんなことを多くの人が考えられるようになったら,もっと幸せな世界になるだろうなと思っています。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら

まだまだ僕のうつ病は治っていないので,毎日うつ病の経過を記録しています。

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):502日(1年4か月と13日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):423日(1年1か月と26日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):382日(1年と16日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):356日(11か月と20日)

・出勤練習(2020年3月30日~):238日(7か月と24日)

今日で,出勤練習を始めて7か月と24日です。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,約7か月間出勤練習を積み重ねてきました。

今日は休みでした。夜の睡眠は少し不十分でしたが,昼寝したらだいぶ回復しました。いつものパターンです(笑)。

そんな今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),午前0時4分~朝7時36分までの睡眠が記録されています。昨晩も一昨日の晩に引き続き,寝つきは良かったですが,ただ,昨日の朝とは異なり,朝早く目が覚めてしまいました。7時間半は眠れているので,熟睡感があってもいいんですが,残念ながら熟睡感はありませんでした。SleepCycle独自の睡眠品質も77%/100%とあまり良くありません。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

今日は,午後3時45分頃から午後5時頃まで昼寝しました。かなり遅めの昼寝でしたが,昼寝したらだいぶ調子よくなりました。

夜の睡眠でぐっすり眠って,昼寝しなくても元気に過ごせるようになってほしいです。

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!・・・↓

昨日のブログ↓

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※うつ病への負担を考慮し、「書き始めてから1時間くらいでアップする」という制限時間を設けています。

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