宗教を越えて
BSNHKで放送されていた、サヘルローズさんが、
サウジアラビアを旅する番組を観た。
サヘルローズさんは、エキゾチックな、私と同年代の女性タレントというくらいの知識しかなかった。
けれど、この番組を観て、彼女が、幼い頃イランの孤児院にいたこと、そして、養母となる方に引き取られ、成長したのだということを知った。
イスラム教にルーツがある人だった。
日本で暮らしていると、イスラム教に触れる機会は少ない。
私が知ってるイスラム教は、「ラストバリア」という本を読んだことがあるくらいだった。
断食の文化や、女性の体を隠す文化。
私達の文化とは大分違う。
そこで生活している人達にとっては、アザーンという礼拝を知らせる合図が日常であり、お祈りと、メッカと断食が身近にある。
サウジアラビアに住む少女は、
断食することで、貧しい人の気持ちが分かると言っていた。
断食明けには、富豪が、食事を2000人分くらい寄付するのだそうだ。
イスラム教では、裕福な人が施しをする決まりなのだという。
勝手に怖いイメージのあったイスラム教だけれど、
そこにすむ人々の生活に根差し、繋ぎ、支えているものなのだと思った。
イスラム教では、死にたいと思うことは罪なのだそうだ。
サヘルさんは、養母にたいして、罪悪感や生きづらい気持ちを抱えて生きていて、生きていることが辛くなることがあると言っていた。
サヘルさんは、そう思ってしまう自分の罪を背負い巡礼することで、自分の気持ちを少しでも軽くしたいと言っていた。
涙を目にいっぱい浮かべて、声を詰まらせながら、
サヘルさんは、カメラに向かってその思いを打ち明けていた。
サヘルさんが、そのような気持ちを背負って生きていたなんて知らなかった。
当たり前かもしれないけれど、テレビで華やかに見える人達だって、色々なものを背負って生きているのだと思った。
サヘルさんは、自分の庭で薔薇を育てていた。
薔薇が好きなのだという。
イスラム教の間では、薔薇は、神聖な花であり、
薔薇水や、薔薇油の生産が盛んなのだそうだ。
神殿で、お祈りしながら、サヘルさんは、涙していた。懐かしい想いもあると言っていた。
やはり、自分のルーツのというのは、深く根差しているものなのだなと思った。
懐かしく、焦がれるもの。
自分と照らしあわせてみても、共感できた。
幼い頃よく行った、山の中にある祖母の家は、
今でも時折、私の胸に甘く切ない気持ちを呼び起こす。
国や文化が違う場所へ来たサヘルさんの想いは、
私の郷愁の比ではないだろう。
そう思うと、胸がぎゅっとなった。
文化の違う国で、自分の宗教を貫くことは、難しい。そう言ったサヘルさんの言葉が胸に響く。
そして、同じ人間として、イスラム教の人々も
沢山の悩みや苦しみを抱えて、メッカへお祈りに来ていることを知った。
亡くなった家族への悲痛な祈り、
家族の健康を願って巡礼する人々。
ものすごい熱気だった。
人種や、宗教が違っても、大切な人を思う気持ちは同じ。大切な人の幸せを願う気持ちは同じ。
初詣に押し寄せる日本人を思い出す。
同じだ。
同じなんだ私達は。
ただ、国や文化や、宗教が違うだけ。
年明け、考えさせられる番組だった。
自分を開示し、私に考える機会を与えてくださったサヘルさんに感謝したい。
サヘルさんの優しいナレーション、
優しい言葉遣い、そしてまっすぐで正直なコメント。
私は、この番組で、サヘルさんのファンになった。
画像はお借りしました。
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