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放デイ「ア・ガールは座り込む②」


切り替えのポイントで座り込むア・ガール。
これまで、いくつかの作戦を立てて関わってきましたが、周りの大人が「あれ?」と思うことが増えてきました。(前回の記事もぜひ)


「今日はア・ガールが自分で立ち上がるまで待つ」と決めて側ですごしてみた日の話の続きです。

いつものように玄関外で座り込みましたが、今後の支援を見直すために変化球、隣で一緒に座り込んでみることにしました。

時間は室内での活動の切り替えの音楽が聞こえるまでの1時間10分とこちらの都合でタイムリミットを設けて臨みました。

横にちょこんと座った私に、ア・ガールが大好きな話題でおしゃべりを始めました。
繰り返し繰り返しおしゃべりをしては、視界に入る車や自転車、野良猫に興味がうつり、また大好きな話題のおしゃべりに戻る、という時間が40分ほど経った頃、「お弁当はどこで食べる?」と、室内でのすごし方について聞いてきました。「どこで食べたいの?」と聞くと、「個室」というので、「個室で食べよう」と伝えました。

お弁当を食べる場所を3度確認したあと、今度は「中行く」と、室内に入りたいことを伝えてきました。
「行こう」と伝えて、ア・ガールが自分で立ち上がるのを待っていると、「①、②…」と呟きはじめ、手順を言ってほしい様子だったので、「①立つ②戸を開ける③靴をぬぐ。③までア・ガールが自分でやるよ。」と伝えました。

すぐにア・ガールがスクッと立ち上がったので「自分で立てたね!」と伝えました。
私は座って様子を見ています。
扉まで自分で歩いて、よしよしその調子!と見守っていると、スタスタと引き返してきて、また同じ場所に座り込んでしまいました。

ここまで約50分。

振り出しに戻ったような光景ですが、ア・ガールは「①、②…」とすぐに手順を呟きはじめました。
先ほどと同じ手順を伝えると、またスクッと立ち上がり、スタスタと玄関前に行ったところで、ご近所さんに「あら、可愛い」と話しかけられるというアクシデントが発生したため、またスタスタと引き返してきて、同じ場所に戻って座ってしまいました笑

振り出しに戻ったような光景、デジャヴ、と脳裏によぎりましたが、ア・ガールはまたスクッと立ち上がり、扉を開けようかという仕草をし始めました。よしよし、その調子だぞ思っていることを悟られないように自然な振る舞いでおるぞと努めていると、こちらを振り返り、「先生開ける」と伝えてきました。

「いいよ」と、私もスクッと立ち上がって側に行き、扉を開けて「どうぞ」と伝えてみると、またスタスタと引き返し、同じ場所に戻って座りました。

振り出しに戻ったような光景、デジャヴ・デジャヴ。

そんなこんなで、何度か立ったり座ったりを繰り返しているうちに、残念ながらタイムリミットを迎えてしまったのでした。玄関前であと一歩が進めなかったので、結局は「今日はここまで。もう先生中に入らないといけないのよ。ごめんね。」と伝え、両手を引いて入室しました。

ア・ガールは、いつものようにニコニコした表情で、いつものように両手を引かれて入室したのでした。


ア・ガールが自分で立ち上がるところまでは待つことができましたが、結局は手を引いて入室させてしまいました。

最後まで見守って、③まで自分の力でできたことを褒めたかった。結局はいつものように手を引いてしまった。そのように内省しながら1日をすごしたのですが、最後に思いがけない出来事がありました。

帰り際の乗車前、ここも座り込むポイントなのですが、座り込むタイミングでいつもは手を引かれる側のア・ガールがスタスタと側にきて、手を繋いできたのです。これまで、ア・ガールの方から先生の手を引く姿を見たことがありませんでした。

そして、その日は座り込むことなくスムーズに乗車することができたのです…………とはなるはずはなく、残念ながら、「寄り添いこそ大事」と賢者のごとくズボッとお伝えすることはできません。

ですが、ア・ガールは初めて手を繋いできました。その行為にどんなメッセージが込められているのかは、やはり考える必要がありそうです。
ア・ガールはいつもニコニコしていますが、都合のよい解釈をしてしまっていたようです。

もう少し時間がかかりそうですが、ア・ガールへの支援を見直していこうと思います。

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