一夏残照【下】〈終〉
なんにもしたくないんだ どうせ世の中なんてこのままなんだから
そうだ 思い出したよ
あの頃も丁度今みたいだった 今みたいなのが ずっと続いてたんだ
だから 阿呆みたいに一杯 詩なんか書けたんだ
もうこれ以上大人になんかなりたくねえ もうやだ
お願いだから処女膜の破れた血と
童貞の流した精液とで汚れた牙で
俺の胃袋を噛みちぎろうとするのを止めてくれ
瓜の破れたところと 菊の散らされたところ
あなたが見たいのは どっちですか?
気違イの邦に両足を突っ込んだまま
意識が無くなるまでチェスをしよう
この世界がもう終わるとしても
このステップと 繋いだ手をどうか止めないで
どなたか、蝉のフライの造り方をご存知の方がいらっしゃったら、
教えて下さいませんか?
私の葬式の為に 今日は朝から晴着を着よう
〈了〉
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