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たいち

趣味程度に連載小説をいくつか投稿しようと思っているので、面白かったり、気になってくれたら嬉しいです。

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  • 短編

    短編の物語や小説。

  • 【連載小説】見える二人

    見える二人の改訂版で短く読みやすくしている。

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【短編物語】「きかい好き」

 私の名前は柳有希、私は小さいころから”きかい”が好き。心が満たされるし、わくわくする。  ある日、道を歩いているととある”きかい”を見つけた。その”きかい”の前で立ち止まり考えた。 「どうしよう、こんな”きかい”めったにないわ。」 そこに一人の男性がやってきた。その男性はすごく小さく、だが今まで会った男性の中で一番紳士であった。 「お嬢さん、どうなさったのかな。こんな道の真ん中で立ち止まっていると、危ないですよ。」 「ごめんなさい。」 そう言われて私はその”きかい

    • 短編物語(ホラー)「僕なのに」

      「静かにしといてよ。叫ばないで、うるさいよもう。」 彼のそばには、泣いて化粧がぐしゃぐしゃになった女性が縛られている。 テレビのニュースでは連日報道されている連続殺人のことが言われている。 犯人の特徴が判明し顔写真が公開されていた。身長は175㎝から180㎝程で30代後半、髪は短めで痩せ型の男性であることが発表されていた。 「全然違うよ、僕なのに、全部僕がやったことなのに。」 縛られた女性は驚いた顔を男に向けた。 そうに決まっている。女性の目の前にいる男は185㎝

      • 【短編】じいちゃん分かるかな?

        ある日、家族のLINEが動いた。 母からである。 「じいちゃん食道ガンみたい。」 俺が生まれる前に父方のじいちゃんは亡くなっていて俺にとっての唯一のじいちゃん。 少し前から具合が悪いのは知っていた。じいちゃんも歳だし、まぁそういうことにもなるよな。 じいちゃんは俺が物心ついた時から今とさほど変わらない見た目で、大声で笑うことはなかったし、昼間に会うといつもNHKで相撲かのど自慢を見ていたじいちゃん。 俺は人の過去についてあんまり覚えていないことが多い。両親の馴れ初めや

        • 【短編物語】「こんな人になりたい」

          ふと僕は、小学校の頃の授業参観のことを思い出した。僕らのクラスでは家族についての発表をした。 「じゃあ、次に発表する子はゆうとくん。」 「はい。」 僕は後ろを振り向かずとも家族がいないのは分かっていた。僕の父と母は警察官で小さい頃から共働きだったため、家の中で家族がそろうことも少なかった。 「ぼくのお父さんはけいさつかんです。ぼくのお母さんもけいさつかんです。いそがしくてお家にいることはとても少ないです。でも、学校での話はいつも聞いてくれます。給食の話、友達の話、いろん

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        【短編物語】「きかい好き」

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        • 【連載小説】見える二人
          4本

        記事

          【連載小説】見える二人①-4

           伊月は車の中に戻っても依然として動揺している。木下はそんな伊月の背中をさすりながら身の上話を口にした。 「伊月くんはどういう経緯で霊を見えるようになったのかは分からないけどさ。俺には六つ年の離れた弟がいて、母親は弟を産んでそのまま死んじゃったのよ。小学生になったばっかりだった俺はさ、弟が母親を殺したぐらいのことを思ってたんだ。弟さえいなければ母親は生きてたのになって。俺がそんなこと思ってたからかな。弟は五歳のころに入院したのよ。珍しい病気でさ、手術をすることは出来ないし、

          【連載小説】見える二人①-4

          【連載小説】見える二人①-3

           現場は12階建てのマンションの7階703で38歳の男性が亡くなったと伊月は木下から聞いた。 「38歳ってかなり若いですけど、何で亡くなったかとかは分からないんですか。」伊月は木下にたずねる。 「まぁ、部屋に入ったら分かると思うよ。」 そうですかと伊月は返したものの、彼は生きていて一番の恐怖を感じていた。もしかすると部屋中に血が付いているのかもしれない。もしかすると怨念のある亡くなり方で霊からの攻撃を受けるのかもしれない。冷静ならあり得ないと思う事でも明確な答えをもらえ

          【連載小説】見える二人①-3

          【連載小説】見える二人①-2

          1件目??? 「小さい会社だから基本的には二人で仕事先にまで向かってもらうから。えーっと、木下くんいるかな。ちょっとこっち来て。」 社長から呼ばれた木下という男は、伊月とそこまで年も変わらない感じで雰囲気の物静かな感じの人間で話も合いそうだなと思い彼はひそかに喜んだ。 「木下礼司です。よろしくお願いします。」 「伊月くんは木下くんとペアで仕事場まで向かってね。伊月くんは何か分からないことあったら木下くんに聞いてね。じゃあさっそくだけど、仕事場まで行ってもらおうかな。」

          【連載小説】見える二人①-2

          【連載小説】見える二人①-1

          プロローグ   伊月耕太は小さいころから人と話すことが苦手で、あがり症で、緊張したりみんなから注目されていると思うと汗が止まらなくなってしまう。 そんな性格のせいもあってか人に関心を持つこともしなくなっていった。そんな彼を両親は特に心配することもなかった、両親からはこう見えていたんだと思う。 友達と遊んだりはしていなかったが、一人でいる方が楽しそうに遊んでいた。  今年で25歳になった彼は現在人生の岐路というものに直面している。生きていても死んでいてもどっちでもいいと思う

          【連載小説】見える二人①-1

          【連載小説】見える二人②

          二件目 分かんない 午前8時、伊月は昨日の仕事のこと、木下とのことを思い出しながら、会社へと向かった。伊月が会社に着くと、木下はすでに出社していた。 「おはようございます。」 「あっ、おはよう。よかった、伊月くんは来てくれた。」 「あの、来てくれたっていうのは。」 「いや、昨日の仕事見て、次の日から来ない人とかいるから。」 伊月は少しだけ、自分のトラブルを起こしたくないという性格を恨んだ。木下は会社の奥にある棚の前にいた。 「木下さんは何してるんですか。」 「昨日の仕事の内容

          【連載小説】見える二人②

          【連載小説】見える二人①

          プロローグ 伊月耕太は小さいころから人と話すことが苦手で、あがり症で、緊張したりみんなから注目されていると思うと汗が止まらなくなってしまう。 そんな性格のせいもあってか人に関心を持つこともしなくなっていった。そんな彼を両親は特に心配することもなかった、両親からはこう見えていたんだと思う。 友達と遊んだりはしていなかったが、一人でいる方が楽しそうに遊んでいた。  今年で25歳になった彼は現在人生の岐路というものに直面している。生きていても死んでいてもどっちでもいいと思うようにな

          【連載小説】見える二人①