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「東ドイツ」上位検索の結果とは/伸井太一・鎌田タベア著『笑え! ドイツ民主共和国』試し読み最終回

すでに2本記事を配信している『笑え! ドイツ民主共和国』(伸井太一/鎌田タベア著)。

1回め・2回めの記事は下からお読みいただけます。


今回が最終回です! それでは早速ためし読みをどうぞ。


■東ドイツは「ヒ(がし)」・「ドイ(ツ)」のか?

インターネット検索サイトで「東ドイツ」というキーワードを入れると、それとセットでよく検索される語も表示される。そこでは、「東ドイツ ひどい」というのが上位に来る。ここにはふたつの意味がある。このことに注意したい。ひとつは「東ドイツ体制が独裁的で人びとの生活が悲惨だった」というイメージから、それを確かめようとする検索、もうひとつは「東ドイツのひどさ」を興味津々で知ろうとする検索だろうか。前者も後者も「東ドイツ」を悲惨な歴史として認識している点では同じだが、このふたつには大きな違いがある。前者は最初から決めつけて検索している点、後者は好奇心に誘われて理解しようとする知的態度である。

本書は「後者」のような好奇心に溢れる人たちを読者として想定して書かれている。ほかに「東ドイツ」を検索すると、「東ドイツ 生活」と出てくるように、東ドイツの生活に関心のある人も多くいる。その人たちにも届くように、本書はジョークを基にしつつ、東ドイツの生活を知ることができる構造になっている。

他方で、確かに東ドイツは「社会主義統一党とその一部の指導者による独裁国家」だったし、秘密警察シュタージとその協力者がいる「監視国家」だった。ただし、この地にはおよそ1700万人弱の人間が暮らしており、日々、人と会い歓談していた。そういう生活を掘り下げられればと願っている。

(本文7頁につづく)


以上、3回にわたって本の紹介をしてきました。
皆さんは「東ドイツ……」と何をかけて検索されるでしょうか?

もっと続きが読みたい!という方は、ぜひ本をお手に取ってみてください。

■本の紹介
・伸井太一/鎌田タベア著『笑え! ドイツ民主共和国〜東ドイツ・ジョークでわかる歴史と日常〜』


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