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遺言4

どうせ死ぬなら今宵遺書を書かなくてはならい。

仕事終わりに親友が連絡してきた。
技術系接客業の親友。

仕事とは関係ない話しをしてくる客に腹を立てたという。


うちの親が施設に入ってんだけど
あれ持ってこい、これ持ってこいひどいのよ!
だから電話して来なくてもいいように半月分のものを置いてったわけ。
それでここに来たんだけど、またさっきも電話きて持ってこいだよ!
もう毎回私が行けば必ず帰った後に連絡くるからこっちもウザくて💢
もうなんとかなんないかねえ。
早く遠くに言ってくれないだろうか。
は〜めんどくさ。
もう、いいわマジで。

これが45歳の女性の言葉である。

その話しを仕事をしながら聞かされている親友。
明るくなったと思えば急に激しく落ち込むこの客。

優しい親友は心の中で
きっと、このお客様は介護が長きに渡って心身ともに疲弊しているんだ。
鬱っぽくなってるのかもしれないから黙って話を聞いてあげよう。と思ったようだ。

頷くことすらできないくらいマシガンのように話してくるお客。
その話を聞いてすぐに心の病だとわかる。

そのような人たちは日本に溢れている。
これも一つの日本の介護の現状であることは間違いない。

他の人に任せられないからその客だという人間がやっているのだろう。
そして、運転してきたのにお酒くさかったと…
絶対にしてはならいことであるが判断ができないのもこの病の要因だ。

介護というのは計り知れなく、思いもよらないことが発生したるするものだ。
そういうことが発生すれば介護している方にも多大なる負担がかかることも当然のこと。

親友はとある言葉に立腹したという。

「あの親もういいかなあ」

最近の子供達が親に対して親ガチャを失敗した言いようだ。
長年の介護で心身消失している気持ちもわかるが
その45歳の女性客は介護を始めてまだ10日だという。

人の受け取り方もまた難しいものである。

いのち短し
その客も短し

今は親友とは離れて暮らしているので、遠くからお清めしておいたと連絡したら
「ちょっと多めにお願い!」ときた。

今日のことは今日死のう。
私もまだ一日死ねるように色々物を片付けに入った。

大きな物の処分。
細かい物の処分。
これを週末、リサイクルショップへ全て持って行く。
デスクもラックも解体して5個もあったショッピングバッグも椅子も全部リサイクルへ。
まだまだ私の死への道のりは長い。
しかし片付けるまでは死ねない。

今日は不完全燃死だったから明日こそちゃんと死んでみよう。
どうせ死ぬのだから知らない他人のことはどうでもいい。

私の家を覗きにくるベビーカー親子のことも夜には死んでわからなくなっているからいい。

さて不完全だったけど、今日も死ぬために寝るか。

明日起きてないかもしれない。
だから今日を一生懸命死ぬ。
※「死ぬ」を悪いように捉えないでいただきたいものだ。

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