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信者になった僕。

 毎朝、僕のスマホに送られてくるブログ記事。スリッパーズ吉田さんと、巷に数多く存在する他の占い師さんとの違いを認識するのに、さほど時間はかからなかった。そのメッセージ性に富んだ内容、読者を正しい方向に導こうとする、数々のありがたいお言葉。スリッパーズ吉田さんは占い師だが、僕の解釈では占いというツールを使ったメッセンジャーであり、自己啓発家である。僕は思った。『この人は間違いなく本物だな』と。

 メディアでは“とにかく当たる”と、話題になっていたスリッパーズ吉田さんの占い。多くの著名人の運命も的中させ、周囲を驚かせていた光景が蘇る。しかし、所詮はテレビ画面の向こう側にいる人。僕にとっては遠い遠い存在に違いない。

 スリッパーズ吉田さんは多くの書籍を出されている。本屋さんに行き、その年の【五星三心占い】という占い本を僕は購入した。勿論、僕のタイプである《銀の羅針盤》用を。余談になるが、スリッパーズ吉田さんの書籍の近くには、その数年前にブームを巻き起こした、太木数の子さんの書籍も並んでいた。『そういえば、太木さんの占い本、買ってたな』なんて、当時を懐かしんでいた。どうやら、僕は占い好きの男らしい。

 書籍だけでは気が済まない僕は、スリッパーズ吉田さんのスマホサイトの会員になったり、インターネットで配信される番組を閲覧するようになった。サイトや番組の中で、数名の会員や視聴者が占ってもらえるとの触れ込みだったからに他ならない。誰よりも大きな悩みを抱えていると疑わなかった僕は、自分が取りげてもらえるもんだと信じていた。勘違いしているなんて思わずに。(つづく)

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