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発達障害が神経発達症になって

神経発達症になった「発達障害」について考えました。


障害から症へ

2022年の今年、日本は「発達障害」の名称を「神経発達症」へ変更しました。

なかでも大きい変更は、ICD-11では原則として「disorder」という用語を、日本語の「症」と訳そうと決めたことです。

厚労省/第22回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会 議事録

今年の初め、私はこのツイートで情報を知ったわけですが、今もツイッター上では、発達障害の実態が見えず「障害」という言葉から逃れられない方の悩みを目にしています。

「発達障害は脳機能障害」と捉えない

厚労省の議事録で、名称変更の理由が記載されています。

小児の方々も、患者さん家族に「あなたのお子さんはなんとか障害です」という病名を伝えると、かなりのネガティブインパクトを与えるということから、まずDMS-5で、その領域の障害を「症」に変えました。

厚労省/第22回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会 議事録

議事録を読んだ時、「発達障害」を名称にした当時の決定権のある医師たちに、怒りがこみ上げてきました。

それは、発達障害という診断名で、多くの母親が混乱し希望を失ったからです。診断名を告げられ、無理心中を考える母親たちは、私の周辺にも多くいましたし、実際、無理心中をはかった母親たちもいたからです。

もう少し想像力を働かせて、神経発達症(発達障害)について考えてくれてたら、今とは違った伝わり方があったのでは?と、議事録を読んでいると怒りともどかしさでいっぱいになったのです。

果たして医師たちは、発達障害のある子に、どんな未来を提供したかったのでしょう。考えさせられます。

発達障害はNEURO(神経)だった

2013年、アメリカ精神医学会の診断基準DSMが、DSMⅣ⇒DSM-5に改訂されました。そして、2019年に出版された「NEURO 神経発達障害という突破口」という本を私は読みました。

この本は、編集者の浅見さんが「改訂版には、こう書かれているのよ?」と、DMS-5の原書(英語)を読み、分りやすく説明してくれてます。

日本の医師たちは、今回シレっと新しい名称に「神経」を加えていますが、改訂版の原書には元々、神経(NERO・ニューロ)だとあるようです。

発達障害は、神経だと。

このたびの改訂で、発達障害は「神経発達障害」と総称されていることに。なぜなら表紙には堂々と「Nero developmental disorders」と書いてあるからである

NEURO 神経発達障害という突破口

原書(英語)が翻訳の段階で、外されていた…ことがとても大きいです。

ニューロ(NEURO・神経)が、外されていなかったならば、神経に着目できた医師もいただろうし、発達障害への認識も変わっていたのではないか?と私は思います。

「害⇒症」への新名称変更も嬉しい。でも、「神経」の追加に大きな意味を感じます。これにより「神経回路、シナプス」への注意が向けやすくなったからです。

なので、支援者、親御さんの認識が早くアップデートされ、お子さんの成長期に合わせた発達を促せるよう願っています。


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