なお

教育機関勤務、元司書。小説の創作をしています。 日々考えたことやアイドルのこと、本の感…

なお

教育機関勤務、元司書。小説の創作をしています。 日々考えたことやアイドルのこと、本の感想なども書いていきます。趣味は女子アイドル、読書、映画鑑賞、美術館巡り。INFJ-t/6w5/

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  • 地下アイドル

    女性地下アイドル現場の所感です。

  • 思い出(エッセイ)

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    元司書が選ぶ、読んでみて良かった本

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    せっせと書いた小説とその創作メモ

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    MBTI/16personalitiesについて自分なりに考えたこと

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【掌編小説】花言葉

 PCの画面右下の数字が17:00になって、僕の研究者としての人生は終わった。  はあ、と思わず小さくため息が漏れる。のろのろと机の上を片づけて黒いリュックを背負った。  この研究所で非常勤研究員として勤務するのは今日までだ。この席には、明日から僕より若くて将来有望なやつが座る。 「お疲れ様です、失礼します」  なんとなく周りに向かって小さく声をかけると僕は席を立つ。誰からも返事はなかった。 「お、お疲れさん。今までありがとうね」  挨拶のために事務室に顔を出すとPCに向

    • 【イベントレポ】むちフェスvol.7―身体ってなに?

      むちフェス、なる肉感がテーマの祭典。 文学フリマで出会ったグラビアアイドルの岡田沙夜さんが参加されるので、またお話したくて行こうか迷っていた。どうやらチェキも撮れる即売会的なイベントらしい。 チケットを買う時にR18イベントだと気付いてためらったのだけど、気分転換になるかも、と勇気を出して行ってみることにした。 綿商会館という会場を目指して歩くと、建物の周りには黒っぽい服を着た眼光の鋭い男性が何人かたむろしていた。 これは! なんかのアジトみたい……! この感じは初めて

      • 【エッセイ】ひとり旅行記・青森(十和田市現代美術館)

        意外に思われそうだけど、ひとりで旅行に行くのが好きです。 数年前までよく行っていました。これもコロナ前の話。 旅行先でもやることは特に変わらず、本を読んで考えごとばかりしています。なるべくその場所にまつわる本を読むのが好き。 青森に行ったのは昔から現代アートが好きで、ずっと十和田市現代美術館に行ってみたかったから。2月の入試が終わった後で(受ける方ではなく実施のほう)くたくたになったので気分転換することにしました。 画像は「ゴースト/インゲス・イデー」。 新幹線を降りる

        • わたし的には遠藤周作はINFJさんにはおすすめの作家。文章が読みやすく、人間の複雑な心の葛藤を繊細に描いていて悲しみの中に限りない優しさがある。 特に好きなのは「わたしが•棄てた•女」。まあいわゆる、やり逃げ的な話なんだけど真実の愛とは何か考えさせられます。

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        【掌編小説】花言葉

        • 【イベントレポ】むちフェスvol.7―身体ってなに?

        • 【エッセイ】ひとり旅行記・青森(十和田市現代美術館)

        • わたし的には遠藤周作はINFJさんにはおすすめの作家。文章が読みやすく、人間の複雑な心の葛藤を繊細に描いていて悲しみの中に限りない優しさがある。 特に好きなのは「わたしが•棄てた•女」。まあいわゆる、やり逃げ的な話なんだけど真実の愛とは何か考えさせられます。

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          【エッセイ】自分との手紙のやりとり #シロクマ文芸部 #手紙には

          手紙には変な思い出がある。 実家の玄関を出るとどうだんつつじの植え込みがあって、はくもくれんの木があって、飛び石をとんとんとんとん、と4つとぶと古びた木の門の横に銀色の錆びかけた郵便受けがある。 そういえば15歳の時に塾に遅刻しそうで急いでいたら4つめの石でつまづいて受験生だというのに足首にひびが入ってしまったので、四角い形の4つめのことは今も少し恨んでいる。 小さな頃の最初の仕事は家族にきた手紙をわけることだった。 幼稚園から帰ると制服(私の幼稚園は女の子も男の子もセ

          【エッセイ】自分との手紙のやりとり #シロクマ文芸部 #手紙には

          2024年6月に読んだ本の感想

          6月は風邪が長引いてしまって、長編を書こうとしていたこともありあまり本が読めませんでした。 長編を書いているときって本を読むと影響を受けてしまいそうで、セレクトが難しい。 ・「厄除け詩集」井伏鱒二 井伏鱒二、意外とあまり読んだことなかった。 ヨルシカの「雨とカプチーノ」に「勧酒」の引用が出てくるので読んでみました。漢詩訳の言葉の選び方が絶妙です。 ・「陰翳礼讃・文章読本」谷崎潤一郎 これも、有名なのに意外と読んだことなかった。 私は日本家屋で育ったので影があるところに

          2024年6月に読んだ本の感想

          【エッセイ】いろんなおとうさんがいる

          父の日に出そうかなって思って忘れていた文章。 幼稚園の頃、放課後に友だち(仮にそらちゃん、とします)の家に遊びに行ったことがあります。 そらちゃんは大きな家に住んでいて、エプロンをつけたお母さんがホットケーキを焼いてくれました。 焼くときに「くまさんの型とねこちゃんの型はどっちがいい?」と聞かれたので、私はねこちゃんがいい、と答えました。 夕方になって2人でそらちゃんの部屋でお人形遊びをしていると急に 「ねえ、おとうさんに会いに行かない?」と言われました。 「いいよ」と

          【エッセイ】いろんなおとうさんがいる

          長編小説を書きたくて苦戦中です……

          長編小説を書きたくて苦戦中です……

          【エッセイ】雨の曲 #雨を聴く #シロクマ文芸部

          雨を聴く。朝になって雨が降っているとなんとなくわかる。 眠っている意識の端のほうにさあっと細かい音がして、妙にけだるい感じというか頭が重くて「あ、今日雨なんだ」と思う。 食洗器とか洗濯機の音を聞きながら眠るのも好きなんだけど、水の音というのは妙に落ち着く。 好きな雨の曲がたくさんある。真っ先に思い浮かんだのはショパンの「雨だれ」で、色々な強さの雨が混ざり合っている感じが好き。 だんだん雨が強くなっていくのがわかる。 最近雨の日はヨルシカの「雨とカプチーノ」ばかり何度も聴

          【エッセイ】雨の曲 #雨を聴く #シロクマ文芸部

          【エッセイ】絶対結婚しような! #青ブラ文学部 #気になる口癖 

          「絶対結婚しような!」 最初に聞いた時は呆然とした。な、なんじゃそりゃああああ。 私が今まで聞いた中で、1番衝撃的な口癖。 と言っても、女子地下アイドル現場での話である。 初めて耳にした日は、衝撃が大きすぎて思わず夜眠る前に考え込んでしまった。 というのも、この言葉って普段の生活の中で使う機会ある?  好きな人にはもちろん恋人にも言わないと思う。とにかく軽すぎる。 結婚しようにも体は1つしかないし、たいていは戸籍も1つしかないのである。もっと慎重にならなければ。 こん

          【エッセイ】絶対結婚しような! #青ブラ文学部 #気になる口癖 

          2024年5月に読んだ本の感想

          5月は短編小説もいくつか書けたし、けっこう色々できた気がします。 とにかく文学フリマ東京に初めて参加できたのがすごく大きな出来事でした。1回だけライブにも行けて、どちらも昔の友人知人に会うことができたし新しい知り合いも増えて嬉しかった。 文フリで買った同人誌を読みまくっていたので、一般書はあまり読めなかったのですが2025年5月に読んだ本の感想です。文フリ本の感想はこちら↓↓ ・「ひとり日和」青山七恵 春なので読みたくなって、再読。 ハタチの主人公がふとしたきっかけで7

          2024年5月に読んだ本の感想

          1000スキありがとうございました! noteはじめて4ヶ月……

          1000スキありがとうございました! noteはじめて4ヶ月……

          【掌編小説】ゼロ、イチ、ゼロ #青ブラ文学部 #腐れ縁だから

          「コンピュータは数字のゼロとイチの組み合わせで動いてるんだ」と零くんは言っていたけど、わたしにはよく分からない。 窓の外からはミーン、ミンミンミンミー、といつまでも続く蝉の声に混じってきゃはは、と歓声が聞こえた。このマンションに住む子どもたちが鬼ごっこをしているのだ。 わたしは外で遊ぶのが苦手だ。走るのがおそいし、すぐに疲れてしまうし。 だから学校が終わると毎日こうして零くんが何やらパソコンをいじっているのを眺めている。零くんにくっついているうちにわたしはみんなにイチ、と

          【掌編小説】ゼロ、イチ、ゼロ #青ブラ文学部 #腐れ縁だから

          【掌編小説】その曲のタイトルは、決して口に出してはいけません

          「小説」としておいた方がいいような気がします。 好きな女性シンガーソングライターの、1番お気に入りの曲。 みんなにも聞いてほしいのだけど、わけがあってここにタイトルは書けない。 その曲はどうやら友人をモデルに書かれた曲らしい。私の好きな映画の主題歌だった。 大好きな友人が病んでしまった時に「何もできないけど、あなたのそばでずっと見守っているよ」という優しい曲。シンガーソングライターの友人の名前がそのままタイトルになっているという。 雫さん、としよう。 映画を見た夜に眠れ

          【掌編小説】その曲のタイトルは、決して口に出してはいけません

          文学フリマで買った本の感想①―アイドル&いろいろ編

          文学フリマ東京で買った本の感想第一弾、でございます。 行って良かった! アイドル編 「ネットに書けない。」岡田紗夜さん 私は岡田さんに出会えたことだけで文フリに行って良かったです……! 今キンドルで買った「グラビア事務所辞めました。」を読んでいるところです。 思ったのは、グラドルさんということでファン層は男性中心だと思うのですが、この本って女性が共感できる内容だと思うのでもっとたくさんの人に知ってほしいです。 グラビアをやっていて文章が得意って絶対武器になると思うし、

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          【エッセイ】文芸部作品批評会の思い出

          私が学生時代に入っていた文芸部には「1年生は必ず最初の批評会までに何か書いてくること」という決まりがありました。 伝統ある団体だったので、和やかでありつつも毎回のように厳しい意見が出て、泣いてしまった人も見たことがあるくらいです。 1年生の初回で酷評されてそれ以来何も書かなくなる人も毎年いました。 私が最初の批評会に出した短編の評価は散々なものでした。 「なんかいまいち」「つまらない」という意見が多かったです。 内容はたしか学生の主人公が街を歩きながら過去を振り返るとい

          【エッセイ】文芸部作品批評会の思い出