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書く習慣1ヶ月チャレンジ Day9 最近泣いたこと

最近、泣いていない。そもそも、あまり泣かない。
私の友人は、最近花粉症で毎日泣いているみたいだが、私はスギのないところに暮らしているため、この時期に泣くことはない。

昨年11月の末、金曜ロードショーで「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観たときに泣いた。
泣いたのは、これが一番最近だと思う。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈さんによる日本の小説である。また、それを原作とするアニメ作品のことである。

TVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、2018年に京都アニメーションの制作で全13話が放送された。当時、私はこの作品を観て、たくさん泣いたのを覚えている。心揺さぶられる物語と作画の美しさが印象的な作品だ。

とある大陸の、とある時代。
大陸を南北に分断した大戦は終結し、世の中は平和へ向かう気運に満ちていた。
戦時中、軍人として戦ったヴァイオレット・エヴァーガーデンは、軍を離れ大きな港町へ来ていた。
戦場で大切な人から別れ際に告げられた「ある言葉」を胸に抱えたまま――。
街は人々の活気にあふれ、ガス灯が並ぶ街路にはトラムが行き交っている。
ヴァイオレットは、この街で「手紙を代筆する仕事」に出会う。
それは、依頼人の想いを汲み取って言葉にする仕事。
彼女は依頼人とまっすぐに向き合い、相手の心の奥底にある素直な気持ちにふれる。
そして、ヴァイオレットは手紙を書くたびに、あの日告げられた言葉の意味に近づいていく。

「TVアニメ ヴァイオレット・エヴァーガーデン」あらすじ


2019年には「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝」、2020年には「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が映画館で公開され、たいそう話題になったらしい。

2018年にTVアニメ作品を観て以降、私はしばらくこの作品の存在を忘れていた。たまたま、昨年の11月、「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が金曜ロードショーで放送されるということを知り、自宅のテレビで観た。

めっちゃくちゃ泣いた。使ったティッシュは5枚。映画を見終わってしばらくは鼻が詰まっていて寝られなかった。

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、話の展開が原作と異なるらしく、映画の評価は賛否両論あるらしい。
こんなに泣いた劇場版の映画より、原作が良いという人もいるのだ。そんなに面白いなら、原作も読んでみたいと思った。

原作は、小説という特性上、アニメよりも心理描写がしっかりと描かれており、登場人物の気持ちになって、その作品の世界観にのめり込むことができた。

物語の舞台は大きな戦争が終結した後であり、登場人物は多かれ少なかれ、その戦争で受けた傷を抱えて生きている。それゆえに、死や病をテーマにしたエピソードも多く、思いがけず人間の生老病死について考えさせられる機会もあった。

困難を乗り越えるとき、過去を清算して前を向くとき、どうしようもなくやるせなさを感じたとき、この主人公の代筆する手紙が、人を動かす。
手紙を依頼する人も、読む人も、この手紙のおかげで変わることができる。

私はこの作品を読んで、改めて手紙の持つ力を思い知った。
もし読んだことのない方がいれば、この作品を読んで、手紙に泣かされるのを楽しんでほしい。

この作品では、登場人物の思っていることがそのまま読者自身の心に入ってくる。入ってきてそのまま自分の心になる。

私がそう思ったのは、死にかけている兵士の心の声が表されている場面。
そこは、見開きのページいっぱいに「死にたくない 死にたくない 死にたくない …」と言葉が整然と並んでいる。このページにはちょっとびっくりした。

ここにはありのままの言葉がのっている。なりふり構ってられない、鬼気迫るものを感じさせる。言葉も拙いし、思いもまとまっていない。ただ書き殴っているようにも見える。

しかし、戦場で死にかけの兵士の気持ちを考えると、本当にこう思っているんだろうと伝わるし、自分もその兵士の気持ちになる。同じ状況なら自分もこの兵士とほとんど同じことを思うだろうし、同じように混乱するだろう。だから、読んでいて手に汗を握るし、心拍数も上がる。

この部分を読んで、文字の意味を知ってびっくりさせられるというのではなく、文字を目で見てびっくりさせられる、という貴重な体験をした。あまり上手く伝えられないので、是非本を読んでほしい。

小説やアニメ、映画などの創作物で、
登場人物が泣いているところを見ると、自分も泣いてしまう。
自分が登場人物と同じ体験をしたらと想像すると、泣いてしまう。
でも、すべてではない。

泣く作品の共通点は、
どれだけ人を感情移入させられるか、自分事として捉えさせられるか、なのではないだろうか。

「泣けるアニメ」「泣ける映画」は、半分正しいが、半分間違いだと思う。
どんな作品でも、まず登場人物に感情移入できて、且つ、その登場人物と同じ状況に立った時に自分も泣く場合でないと、泣けない。
感情移入できないと、作品を見ていても「なんかこの人泣いてんなー」と思うだけになってしまう。感情移入できても、「自分はこの状況のときには泣かないなー」と思う。そうしたら、泣かない。

だから、「必ず泣ける作品」というものはなくて、「泣く人もいるかもしれないが泣かない人もいる作品」というものがあるだけだ。観る前から泣くかどうかなんてわからない。

そもそも自分がどういうときに泣くかなんて、自分にもわからない。

ある作品を観て泣いてはじめて、「自分はこの作品のこの場面で泣く人間なんだ」と自分を知ることができる。泣くことも自分を知るきっかけになるんだな。

「最近泣いたこと」がお題だった。
「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」で泣いて、小説の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」で泣いた。
この本では、友愛の涙、恋の涙、親子愛の涙、後悔の涙、死への涙、いろいろな涙を流すことができる。それでいて読後はすっきり気持ち良く前を向くことができる。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」また読もう。


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