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普通とは(笑)

齢45にして、発達検査を受ける事にした。
理由は自分自身を知る為だ。
…って、文章にしたら笑ける(笑)
中2かっ。
自分探しかっ。
…そうだ。
思春期からやってるので、自分探し歴は30年以上だ。

二十歳の夏。
本屋に行ったら「自分を変えたければインドに行け」みたいな文言を見付けて、そのままHISに行った。

ビザをとり、旅費を稼ぐためにナガシマスパーランドで住み込みバイトをした。
足りない分は母に借りた。
「インドに答えがあると思う。だからインドに行く」と言う私に、「んがぁ?」と奇妙な発声をして首を傾げた母は希望分だけお金を貸してくれた。
それで2ヶ月インドを旅した。
結果としてはインドに答えはなかった。

そして、まだお金を返していない。

あれから25年。
自分を変えたい、自分を知りたいは絶賛継続中だ。
そんなある日、ユーチューブで敬愛するliving in Franceの黄色パーカー インフルエンサーが「自分変えたきゃ土食えば良いじゃん」 と言っていた。
土なんか食う訳ないわ!…と一蹴したが、脳にロックオンされたのが分かった。
これは食うよな、完全に…。
結果的に食った。
もっと結果的に言うと、土は絶対食うもんではない。食うた人間が言うのだから絶対である。
でも今から食うのだ。
「ボクはおにぎりが好きなんだな」の握り飯大に作った土握りを頬張って咀嚼して嚥下した。

起承転結の結ばかりでは理解に苦しむ。
とんでもなく端的に言うと、猫の排泄物にはトキソプラズマという寄生虫がいて、それに感染すると性格が変わる、だから猫のいる場所の土を食べてみると良い…という事らしい。また結ばかりで恐縮だが、性格は全く変わらなかった。

トキソプラズマは知っていた。
妊娠中の女性が感染したら胎児に危険を及ぼす。
私も妊娠中、生肉を食べたり土いじりなどは絶対にせず細心の注意を払った。
気にしすぎて焼き肉の肉は炭化寸前まで焼き、オムライスの具の鶏肉も全部吐き出していた。
今は愛する我が子は元気に腹から飛び出ている。
正確には腹から飛び出たのではなく股から飛び出たのだが。
いや、もっと正確には股というか肛門と尿道の間の穴からで、全然飛び出たという元気良さではなく我が子は就職試験の面接の部屋に入る様な控え目で礼儀正しく出てきた。
産声も「オギャー!」ではなく「失礼します」と聞こえるくらい。
リクルートスーツを着て45度のお辞儀をしながら。 

何の話をしていたか?

性格変えたければ土を食えば良いの話。
なんか途中に「猫食えば良い」とも言っていたような。
破天荒にも程がある。

猫はさすがに…。
土握りを食べる。
食べなくては前に進めない。
土握りに答えがある。

人間とはおかしなものだ。
食べると決めたら、どこで食べるか悩んでしまう。

イタリアンにするぅ?パスタ食べたーい!あ!でもお寿司も捨てがたいぃー!

猫…、そうだ猫の通り道。
近所のツンデレ塩顔イケメン猫男子・もんちゃんが我が家の裏庭をよく歩いている。
もんちゃんは猫界の坂口健太郎だ。
猫といえどもイケメンがうんこをするとは想像しにくい。しかし所詮は獣。必ずや我が家の裏庭で格好良くスタイリッシュにしているはずだ。
そう言えば、坂口健太郎の金髪はなかなか良かった。
朝ドラで口元にご飯粒をつけた坂口健太郎はもっと良かった。
あれはアドリブだったらしい。

裏庭をスコップ片手にうろつく私に下校中の中学生が挨拶してくる。
「はい、さようなら。気を付けてね。」などと笑顔で返事する。
少年少女たちよ、私を草むしりでもしている普通のおばはんだと甘んじているだろうが違うのだ。私は土を食おうとしているのだよ。どこの土を食おうか物色しているのだよ。
私は善良な人間の皮を被った怪物なのだよ。

いや、おばはんの仮面を被ったおばはんの変態。おばはんの仮面の下もおばはんなだけ。

土。土。
出来ればホクホク系のもっちりしたやつが良い、などと考えていると見つけた。
盛土になっている場所があり掘りおこしてみると昼間の光をたっぷり含んだホクホク系で粘り気もありしっかりともっちりしている。

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