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教員採用試験に挑むみなさんに"元小学校教員の指導主事"が伝えたい3つのアドバイス

今年度も全国各地で「教員採用試験」が行われています。
正式名称は「公立学校教員採用候補者選考検査」で、次年度の4月に教員として採用する候補者を選ぶ検査になります。
検査で選考するのは候補者であり、合格=正採用ではないのですが、
実際のところは、採用通知を受けたほとんどの方が
4月に正規教員として赴任することになります。

多くの自治体では、6月から7月上旬にかけて1次試験、7月末から8月にかけて2次試験があります。
7月末のこの時期は2次試験に向けて面接の練習などを行っている受験生の方がいるのではないでしょうか。

私は小学校の教員採用試験を4回受けました。
そして、「2回」合格をいただいています。
実は、地元の教員採用試験に1度落ちています。
同時に受けた別の自治体で正採用になった後、
地元を2回受け直して、正採用となったので「2回」合格したことになります。

小学校教員として地元以外の自治体で4年、地元に戻って13年。
その後、教育委員会指導主事になって4年が経ちました。
今、教員採用試験の2次試験に臨もうとしているみなさんに
エールをこめて、3つのアドバイスを!

<目次>
1.必ず聞かれる「なぜ、教員になりたいのか」には、自分の経験+αを!
2.自分が受けてきた学校教育を「教員の立場」で見つめ直そう!
3.「子どもに教える教員」より「子どもに伴走する教員」に!

1.必ず聞かれる「なぜ、教員になりたいのか」には、自分の経験+αを!


面接の時に必ず聞かれる「なぜ、教員になりたいのですか?」


個人面接だけでなく、集団面接を行う自治体もあります!

「いい先生に出会ったから」
「子どもと接するのが好きだから」
「人の役に立つ仕事がしたいから」
「やりがいがありそう、やりがいを感じるから」
多くの方が自分の経験に基づいて、教員という仕事をとらえ「教員になりたい理由」を面接官に伝えるのだと思います。

ちなみに私が小学校教員になった理由は、以前エッセイで書いたので
そちらを読んでいただけたら・・・。
以前の記事「牧草の匂い、父の背中。教師になった私」
私の場合は、ちょっと特殊かもしれませんが・・・。

理由は人それぞれでいいと思います。
奇をてらう必要はありません。
大切なことは、自分の経験を語ること、
プラス
「教員になった後でも自分は成長し続けます!」という
意志を伝えることです。

2020年度に小学校から年次進行で全面実施となった「新学習指導要領」
今回の学習指導要領改訂は「日本の教育の一大転換点」です。
詳細は長くて難しくなるので、すでにある他の方のnoteなどを参考にしていただくとよいでしょう。

指導主事として、数多くの学校訪問に行って感じるのは、
新学習指導要領の理念を正しく学び、
何歳であっても、自分をアップデートしようとしている先生は
教職経験年数に関係なく「期待される先生」であるということです。

その”期待”は、管理職や教育委員会からの期待だけではありません。
大切なのは「子どもからの期待、保護者からの期待」です。

「この先生は、未来の自分にとって大切なことに気づかせてくれるかもしれない」
「先生自身が学んでいるのなら、子どもを任せても大丈夫だろう」

今、教員を目指しているみなさんには、教員として学び続け、創意工夫を続けることにチャレンジする教員になり、「期待される教員」を目指してもらいたいと思います。


2.自分が受けてきた学校教育を「教員の立場」で見つめ直す!


教員を目指すみなさんは、どんな学校生活を送ってきましたか?
順風満帆だった人もいれば、不登校だった人もいるかもしれません。

どんな人であれ、学校教育について話をする時は、
まず、「自分の受けてきた学校教育の経験」をベースとして語ります。

教員採用試験に挑むみなさんには、その経験を大事にしながらも、
改めて「教員の立場で見つめ直して」もらいたいです。

指導主事として多くの授業を見てきて、
残念ながら「自分の受けてきた教育」をそのまま子どもに行っている授業をよく見ることがあります。
それで学校教育が成立するのであれば、誰でも教員をすることができます。

時代は進んでいます。子どもも変化しています。
自分が受けてきた教育は、あくまで「児童生徒として経験」したものです。
もちろん、自分が受けてきた教育がすばらしいものであれば
その経験を教員として十分に生かしていくことは大事です。
「不易と流行」という言葉があるように、ずっと変わらない教育のよさは確実に存在します。

自分が受けてきた教育を、「教員の立場としてどう捉えるか」
もしかしたら、児童生徒として経験したものとは、180度違う景色が見えてくるかもしれません。
教員を目指す1つのステップとして、教壇に立つ前に必ず取り組んでもらいたいです。

3.「子どもに教える教員」より「子どもに伴走する教員」に!

端末を使ってどんな授業ができるかを構想するのを楽しみたい!

「GIGAスクール構想」
教員を目指すみなさんであれば、必ず聞いたことがあるホットワードだと思います。
高速大容量のインターネット環境、一人一台端末・・・。
おそらく、今、教員採用試験を受けている方で、自分が今の子どもと同じ環境で教育を受けていた人はいないでしょう。

小・中学校では1人1台の端末を活用した授業が行われています。
特に昨年度は「まず、使ってみよう」という教員側の意欲が高く、
多くの学校でクラウドを活用した子ども主体の学習が行われていました。

多くの大人は、誰も経験したことがない教育の現状。

今、教員が自分の経験に基づいて、子どもに「全てを教える」ことはすでに不可能です。
だったら、「子どもに教える」ことをちょっとだけ手放し、「子どもの学びに伴走する教員」になりましょう。

昨年行った学校訪問ですばらしいシーンに出会いました。
子どもがGoogle Jamboardを使って、自分の考えを交流しています。
「先生、この考えとこの考え、似ているから付箋の色を同じにしていいですか?」

先生は「いいよ。やってみて。」と言った後に一言。
「いやぁ、その発想はなかったなぁ。それさ、みんなにも教えてあげてくれる?」
先生が指示を出すのではなく、子ども同士の学びにつなげるよう先生がアシストしていたのです。

子どもの学びは、時に、教員の想定を軽々と超えていきます。
それを認め、子どもの学びにつなげていくことができるよう一緒に前に進む。

私は、それこそが教員の「やりがい」だと思います。
来年春、教壇に立とうと奮闘しているみなさん。
この「やりがい」を感じるために、あと少し、頑張ってください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




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