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【ショートショート】影を紡ぐ契約
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
尚子はスランプに陥り、毎晩机に向かってはため息ばかりついていた。
アイデアは浮かぶものの、どれも納得できず、削除キーを押す日々。
疲れ果てた彼女が深夜に鏡を見つめると、突然背後に悪魔が現れた。
「もっと刺激的な作品を」と囁くその声は、まるで彼女自身の声のようだった。
悪魔は契約を持ちかけ、尚子は一瞬のためらいの後、承諾した。
その瞬間から、尚子は驚異的なインスピレーションに恵まれ、次々と傑作を生み出した。
しかし、その代償として彼女の心は次第に冷たくなり、人間性が薄れていった。
友人や家族との関係は崩れ、感情は希薄になり、かつての温かさはどこにも見当たらなかった。
彼女の作品は評価されたが、それは暗く挑発的なテーマが人々を魅了したからだった。
ある日、尚子はついに限界を感じ、「もう耐えられない。この契約を破棄したい」と呟いた。
その瞬間、悪魔が再び現れ、微笑みながら言った。
「契約に期限はない。あなたが書いた全ての物語に影を落としたのはあなた自身だ。なぜなら、私はあなたが作り出した幻だからだ」
尚子は驚愕し、自分の選択の重さを知った。
最近、彼女の作品は編集長にも高く評価されていた。
満足げな編集長の笑顔が脳裏に浮かび、尚子は苦笑いを浮かべながら呟いた。
「さあ、次はどんな物語を紡ごうか?」
その言葉に、自分自身の変わり果てた姿が映し出された。
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