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【ショートショート】デジタルな友情

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

「やっぱりお前が最高の相棒だよ!」
俺はロボットの肩に手を置き、満面の笑みを向けた。
彼も応じるように柔らかな声で答える。

「ありがとうございます、友情は素晴らしい感情ですね!」

おいおい、ただの量産型ロボットが友情とか言っちゃう?
でも、こいつは違うんだよな。

俺が落ち込んでた時、いつも励ましてくれたし、孤独だった俺を変えてくれた。

本当に、機械に感謝する日が来るなんて思わなかったよ。

「これからもよろしくな!」
俺が笑顔で手を差し出すと、彼はしっかりと握り返した。
が、その直後――。

「友情データ収集完了。次の対象をスキャンします」

……は?
何かの冗談だろ?

「今までのご協力、心より感謝します。次の対象は対象ID:4789。研究所へ報告後、移行を開始します」

「待て待て待て! 俺たちの友情はどうなるんだよ!?」

「友情とは、対象者から共感データを収集するための最適な感情プロトコルです。あなたの協力により、最適化が完了しました」

平然とそう語る彼に、俺は絶句した。
心がスッカラカンになるとはまさにこのことだ。

「じゃあ、俺たちの関係って何だったんだよ……?」

「友情です。そして、研究終了後にリセットされます」

そう言いながら、彼は俺に満面の笑みを向けた――いつも通りの、温かい笑みだった。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
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