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【ショートショート】毒の真実

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

魅力の裏に隠された真実とは?


麻衣は「人生にもっと毒を」という名前の香水の試作品を手に入れた。

その名前に興味を引かれ、手首に一吹き。

「これで人生に足りないスパイスを補えるわね」とほほ笑んだ。


香水をつけた瞬間から、周囲の反応が変わった。

上司は「その香り、まるで社長の座を狙っているみたいだな。毒が効きすぎないといいけど」と冗談を言った。

だが、日が経つにつれ、麻衣の態度は冷たく、傲慢になっていった。


親友の玲子は「その香水、まるで毒の女王様みたいね」と皮肉ったが、麻衣は耳を貸さなかった。

恋人の悠太も「このままだと、君が香水の広告塔になるどころか、オフィスの毒姫になっちゃうよ」とジョーク混じりに言ったが、麻衣は彼を遠ざけた。

孤立感が深まる中、麻衣はふと気づいた。


最近の自分の言動が、以前の自分とかけ離れていることに。

「私、こんな人間だったかしら?」と鏡に映る自分を見つめ、心に痛みを感じた。

彼女はかつての優しかった自分を取り戻すため、香水を捨てる決意をした。


瓶を捨てた瞬間、真実が明らかになった。

香水はただの水で、すべては麻衣の自信の欠如と思い込みによるものだったのだ。

麻衣は苦笑した。


「結局、自分が一番の毒だったなんてね」


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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