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連載小説:芸能人の僕が干されたから、フリーランスになりました②

「受賞おめでとう!本当にすごいね。コメント絶対テキトーに答えていたでしょ笑。でも、敦が受賞する姿を近くで見れて私幸せだったわ。」

まつもとかざみがベッドで俺に言った。
さっきまで僕のことを全国民の前でインタビューしていた女が今は裸で僕の隣にいる。

「そういえば、受賞トロフィーは?」
「あそこ」

ソファーに投げ捨ててあるトロフィーがそこにあった。

「ダメじゃない!ちゃんときれいにとっておかないと」
「こんなものいらないよ。どうせ受賞することは知っていたし。
 てか、こういうトロフィーとかってメルカリで売ったりしたら何円で
 売れるのかな」
「馬鹿言わないで!もう」

そう言いながらまた、キスをした。
にしてもCMからバラエティーまで全てに引っ張りだ。この自分は一体どこで挫折というものを感じるのだろうか。というか感じることができるのだろうか。そう思いながら大麻を吸った。

「お前も吸う?」
「うん。ありがとう」

まさか芸能人好感度ランキング1位の人間が大麻を吸いながら不倫女を抱いているとは思ってもないだろう。ちょろい世の中だ。
男に生まれたからにはこれくらいしないと意味がない。

「そろそろかざみ家に帰らなくていいの?旦那さんに怒られない?」
「大丈夫。あの人もう私のことなんてどうでもいいと思っているから。」

かざみは結婚して5年目であり、相手は芸能人のドンと呼ばれている
ふるかわけんだ。かざみは35歳。ふるかわは50歳と年齢差婚である。ふるかわが、かざみの相手をしてやれない結果俺が裏で相手してやっているってことだ。こんなことがふるかわにバレたら俺達は一環の終わりだ。

「じゃあ今日は泊まっていきな。明日も朝から番組でしょ?」
「そうね。ありがとう。ねえ?私のこと好き」

はあ、だるい。好きなわけねえだろ。くそきたねえ男に抱かれた女のくせに。

「好きだよ。ずーっと」
「嬉しい」

俺が23歳で、かざみが35歳。なんでこんな年上女を抱いているかって?
口が堅いからだよ。芸能界を干されたら終わりだ。その中で女関係は重要。
年上の女は経験が豊富のため、危機察知能力を持ち合わせている人間が多い。これがバレたらどれだけ危険かを考えられているんだ。
なので、年上女を抱いている。女は飯と一緒で食えれば一緒だ。

「あーあ。このまま売れ続けるんだろうな。休みほしいわ」

そう俺は天才若手俳優。このまま芸能人の第一線を走り続けるんだ。
そう思い、アカデミー賞の夜は終わっていった。


干されるまで後9話。


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