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日記・エッセイ

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日々の日記、または過去のエッセイ。
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2022年12月の記事一覧

#23『もうすぐ今年が終わる』

 気が付けば年末である。母親は今日まで仕事らしい。ご苦労様です。  TVerで「ゴールデンラヴィット!」の見逃し配信を観て、ようやく今が年末であることを実感した。今回が初めての試みで、まだまだ毎年恒例というわけでもないのに、なぜか年末感がプンプン漂っていた。恐らく「振り返り」「生放送」「全員集合」「何でもあり」などの要素がそれを醸し出していたのだろう。  何末年始には日記や手帳を購入する方も多いだろう。私は「日記」とか「スケジュール帳」のように、用途が決められていると続け

#22『ベランダの見える生活』

 自室のカーテンがあまりにも汚らしかったので、思い切って取り外してみることにした。汚いと言っても何かの染みが付いているわけでも、破れたり解れたりしているわけでもない。外を向いている面が陽の光を浴びすぎて日焼けをし、その結果白い粉を無限に巻き散らかす仕様になってしまったのだ。  そんなわけで、遮光するものがない生活が始まった。カーテンがないというのは案外良いもので、電気を点けなくとも勝手に朝日で部屋が照らされるため、大変目覚めが良い。日光のお陰だろうか、体調もすこぶる快調である

#21『ほんとにあった夢十夜②』

 こんな夢を見た。  ある夏の日の夜のことである。気が付くと私は肝試しの準備をするために、真っ暗な土手の上を歩いていた。この場にいるのは私だけではない。農道と土手を結ぶコンクリートの階段を、帽子を被った幽霊達が昇り降りしている。どうやらこの肝試しのミッションは、この帽子幽霊に触ることらしい。  私が階段の下見をしていると、いつの間にか本番が始まってしまっていた。早く退かなくでは参加者に迷惑が掛かってしまう。私は急いで階段を降り、田畑の方へと向かった。その最中、すれ違う人々が皆

#20『クリスマスソンング』

 ここ数年で気が付いたことだが、どうやら私はクリスマスソングが苦手らしい。もちろんクリスマスソング自体を否定する気は毛頭ないし、クリスマスというイベントの訪れを感じる上ではこれ以上ないコンテンツであると考えている。それを理解した上で、クリスマスソングがやっぱり苦手なのだ。  それでは一体なぜ苦手か。その理由の大部分を「なんか暗いから」という単純明快な感想が占めている。恐らく小学生の自分に聞いても、全く同じ回答が返ってくることであろう。恋人が来なかったり、去年のようにはいかなか

#19『浮かれたくても』

 街に繰り出してみると、サンタだらけであった。  住宅街に行ってみれば、サンタ(配達員のすがた)がバイクに乗っていたり。駅前に行ってみれば、サンタ(コンビニ店員のすがた)がレジ打ちをしていたり。  もしかして今日はそういう日か、と心臓をバクつかせていたが、私のバイト先にはそもそもそんな文化はなかった。良かった。助かった。

#18『夏』

 寒すぎる。身体が固まって屈むことすらままならない。全然暖房も効かないし。  こんな寒い日には、今年の夏のことでも思い出そう。8月だっただろうか。私は千葉県習志野市の谷津干潟周辺を散歩していた。干潟には大型の鳥類が何羽かいたが、目が悪いのであれが何だったのかは謎のままである。  当初は干潟を1周するつもりでいたが、あまりの暑さに散歩を早々に切り上げ、京成電鉄の谷津駅を目指した。途中、公園で小学生達がスイカ割りをしているのを発見した。20年以上生きてきて、生でスイカ割りを見るの

#17『ほんとにあった夢十夜①』

 こんな夢を見た。  腕組みをして小劇場の座席に座っていると、突如として現れた男性2人組が、サンパチマイクの奥で奇怪な動きの芸を始めた。  片方は顎に髭を蓄えており、もう片方は太い黒縁の眼鏡を掛けている。髭の男はコミカルな動きを交えつつ、何やら面白可笑しな話をしている。一方で眼鏡の男は、持ち前の鼻に掛かった甲高い声で、可笑しな点を訂正している。このことから髭の男が「ボケ」、眼鏡の男が「ツッコミ」であることがわかると同時に、この場がオリエンタルラジオのライブ会場であることが理解

#16『架空の日常』

 『千葉県立海中高校』という小説を読んだ。『浜村渚の計算ノート』シリーズや『むかしむかしあるところに、死体がありました。』シリーズでお馴染みの、青柳碧人氏の作品である。ネット上でこのタイトルを目にした時に、千葉県民として読まざるを得ない!と思ったのだが、調べた限り新品は出回っておらず、文庫化されたものは改題され『東京湾 海中高校』となっているらしい。どうせなら「千葉県」と付いていた方が良いので、私は長らく状態の良い中古を探し求めていた。そして今月、やっとの思いでゲットしたのだ

#15『噂』

 あなたが通っていた学校にも「学校の噂」は存在していただろうか。きっと、昨年創立されたばかりの新設校に通っていなかった限りは、何かしらの話を聞いたことがあるはずだ。そしてその内容は、都市伝説や七不思議のような怪談の類から、過去に在籍していた生徒の武勇伝まで様々だろう。  よく聞く話としては、修学旅行先にまつわる噂だ。小学生の時の話である。私が通っていた小学校は修学旅行で栃木県は日光に行くことになっていた。関東地方の小学生が行く修学旅行先としては妥当な選択である。  しかし、こ

#14『毒』

 上野の国立科学博物館へ、特別展「毒」を観に行く。なんと、特別展「毒」のチケットはオンラインと紙の両方で購入できるようになっていた。選べることは最高である。  ここ数年でチケットの電子化が一気に進んだが、私は可能な限り思い出としてチケットの実物を残しておきたいので、紙で発券出来る場合はそちらを選ぶようにしている。もちろん今回もそうだったのだが、とある問題が発生してしまった。  話は2週間前に遡る。私と友人と後輩の計5人で「毒」を鑑賞しに行くことになり、私が全員分のチケットを予

#13『親戚一同』

 自分の親と他人の親を比較するようなことをしたことはないが、恐く私の親はテキトーだ。両親だけではなく、親族一同でテキトーな性格の人が集まっているような気がする。  念の為言っておくと、この「テキトー」とは「適当」とは違う。適切に当てはめない方のテキトーだ。  今まで私は、至って一般的な父親と母親によって育てられ、20余年を生きてきたつもりでいたが、決してそんなことはなかったようだ。遠い親戚の火葬に参列したことをきっかけに、その事実が明らかになった。  突然の訃報が届いたのは水

#12『献血準備失敗』

 駅前で緑のベストを着用した老人達が、スーツを着た若い女性を取り囲むようにして立っていた。一体、何事か。  真相はすぐにわかった。どうやら、何かを配るために招集された人々らしい。緑の集団は駅前に散らばるや否や、道行く人達に何かしらを差し出していた。しかし誰も受け取ろうとしないため、何を配っているのかは謎に包まれている。そうは言っても、道端で配るものといったら、普通はティッシュかビラである。あと、たまに消しゴムとかカイロとか冷えピタとか。  丁度その時、下校中の小学生の集団が駅

#11『広辞苑』

 電子辞書が壊れた。どれだけコンセントに繫いでも、充電されなくなってしまった。高1の時、つまり6年前に買ったものだから当然と言えば当然である。  卒業論文を執筆するためには広辞苑が必要だ。以前、別の辞書に記載されていた内容を引用したところ、こういうのは広辞苑に限る、との指摘を講師から受けてしまった。素人の私には双方の辞書に一体どのような差があるのかはわからないが、こういうのは従うのに限る。  いざ図書館へ。小学生の時にはだだっ広く感じていた地元の図書館も、大人になってから訪

#10『日本中が注目』

 自分でもビックリするくらいスポーツに興味がない。嫌悪感を抱いているというわけではなく、ただただ興味がない。オリンピックや世界大会はテレビに映っていたら横目では見ているし、日本が勝ったらちゃんと嬉しい。しかし負けても何の感情も湧かない。一喜一憂の「憂」が欠けているのだ。  いったい私はいつからこんなにスポーツに関心を示さない人間になってしまったのか、大学生から幼稚園児まで遡って考えてみた。  まずは大学生、つまりここ数年のことだ。入学してから驚いたこととして、自分の同級生は