安息香酸

控えめに楽しい日常を、エッセイとして綴ります。

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エッセイ#34『古本屋の思い出-前篇-』

まえがき 本日をもって古本屋のアルバイトを辞めた。初出勤は大学1年生の夏のことだったので、もうかれこれ3年半の月日が経過したことになる。  始めた理由は本が好きだからでも、家から近いからでも、時給が良いからでもない。ただただ人との会話が苦手だからだ。居酒屋やコンビニは「見知らぬ相手との会話」が必ず発生する上に、何だか業務内容も大変そうだ。私には絶対に務まらない。「人との会話が少なさそう」を条件に求人サイトを見ていたところ、目に留まったのが古本屋のアルバイト募集だった。  先程

    • エッセイ#70『韓国海苔』

       夏が終わった。  この時期になると、夏季休暇を終えた人々がお土産を配り始める。これは学校だけでなく会社でも同じようだ。  昨日は職場の先輩から、ルマンドとルーベラの中間みたいなお菓子を貰った。信州土産らしい。  今日は職場の先輩から、韓国海苔を貰った。韓国土産だろうか。  本当に韓国土産だろうか。韓国に旅行に行ったとして、職場に配るお土産に韓国海苔を選ぶだろうか。  謎の韓国海苔2パックをリュックに仕舞い、会社を後にした。カバンに入れたことを忘れて後日ボロボロの状態で発見

      • エッセイ#69『地元民と観光客』

         千葉県千葉市の上空には「千葉都市モノレール」という懸垂式のモノレールが飛び交っている。筆者は同じ県内に住みながらも、この珍しい乗り物を見ると「千葉に来たな〜。」と、まるで旅行をしているかのような気分になる。  このモノレールについて地元民はどう思っているのか、千葉市出身千葉市在住の知人から聞き出すことに成功した。  「この辺住んでると、やっぱモノレールって使う?」  「いや、使わないねぇ。」  「千葉駅行く時とかどうしてんの?」  「全然歩ける距離だし。電車使うとしてもJ

        • エッセイ#68『入社式前日に広島へ』

           「じゃあ、広島にしね?」に二つ返事をしたのは今年3月の後半のこと。  大学の卒業旅行の行き先が全く決まらず、友人がした提案に対して無意識にノってしまったのだが、この失敗に気付いたのは出発の1週間である。  出発は3月31日(金)、観光するのは4月1日(土)、そして千葉へと帰ってくるのは4月2日(日)、そしてこの旅行は「大学の卒業旅行」だ。そう、次の日が入社式なのだ。  直後の入社式は億劫だが、旅行自体は大変有意義なものであった。ここ数年、旅行の楽しみ方が今ひとつ思い出せず

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        エッセイ#34『古本屋の思い出-前篇-』

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        記事

          普段写真を撮らない人間がわざわざ撮った写真(令和5年1月)

           ご存知マクドナルドのプチパンケーキ。  そもそもまだあったんだ、という驚きと、こんな穴空いてたか?、という疑問を抱き撮影。公式の写真には、このような穴は見受けられない。 ◇  千葉県の形をした海苔。恐らく一般的な四角い海苔をくり抜いて作られている。ということは、賄いには千葉県型の穴が空いた海苔が乗っているのだろうか。  海苔がこの形になっていることに気付いた時には、既に南部がしなしなになってしまっていた。 ◇  栃木で見掛けた虹色のシマウマ。作品なのか、マスコットか

          普段写真を撮らない人間がわざわざ撮った写真(令和5年1月)

          エッセイ#67『犬と裸/応挙と蘆雪』

           東京は東中野にある東京黎明アートルームへ、「応挙と蘆雪」という展示を観に行った。日本画や焼き物にはそんなに興味がない私が、観に行くことを即決した理由はズバリ「江戸の犬を見たいから」である。  江戸の犬、もちろんこれは作品名ではなく私が勝手につけた愛称だ。正しくは『柳双狗図』という長沢蘆雪の作品で、私はこれをネットニュースでちらっと見た際に一目惚れしてしまった。  普段は日本画にも犬にもほとんど興味を示さないくせに、その2つが合わさった作品にトキメキを覚えてしまうとは。固く閉

          エッセイ#67『犬と裸/応挙と蘆雪』

          エッセイ#66『綺麗な名前』

           大学を卒業するタイミングで、同級生カップルが結婚を発表した。  その時、苗字が変わった側の人が変更後の名前で文章を作っていた。これだけだとイメージしづらいと思うので例を挙げると、もしその人が「賀来賢人」だった場合、「賀び来る賢い人」みたいな感じだ。賀来賢人であることに深い意味はないが、賀来賢人以外に良い例が思い付かなかったので賀来賢人を用いることにした。  いいな〜、と思った。カッケェ〜、と思った。「名前は『世界で一番短い美しい歌』です。」みたいなことを金八が言っていた記憶

          エッセイ#66『綺麗な名前』

          エッセイ#65『血』

           血を流しながら焼肉を頬張ったことはあるだろうか。  中学の「学年会」なるものが催されたのは、今年3月の上旬のことだ。どうやら所謂「同窓会」ではなく、学年全員が参加の対象となる大規模な集いらしい。  正直これには行きたくない。もう少し正確に言うと、友人が誰一人参加していない状態で私だけが参加するようなことは、絶対に避けたい。そこで、どちらに転がっても良いように、日程調整の欄は「△」にしておいた。  そんなセコい私にも勝利の女神が微笑んだようで、学年会の当日は前々から行きたか

          エッセイ#65『血』

          エッセイ#64『顔』

           マイナンバーカードの申請に失敗し続けている。  最初に申請をしたのは昨年の12月のことだ。この時は比較的手間数の少ない恩オンライン申請を試みた。必要項目を記入したり写真をアップロードしたりと、ごくごく普通に申請したはずなのだが、1ヶ月程経っても音沙汰がない。  これは一体どうしたことか、とサイトを確認してみると、なんとそこには不備があるといった内容の一文があるではないか。不備があったのはこちらが悪いとして、なぜそれをメールなり郵送なりで伝えてくれなかったのだ。  オンライン

          エッセイ#64『顔』

          エッセイ#63『晴天東京・雨天千葉』

           物凄く久しぶりに東京タワーへ上った。  思い返すと中2以来、つまり8年ぶりである。  快晴の日に上る東京タワーは格別で、流石は長いこと東京のシンボルという大役を果たしていただけの実力の持ち主である。  東京スカイツリーが出来た今でも、東京タワーが「東京のシンボル」であることは(私の中では)変わらない。よく晴れた日には小学校の音楽室から東京タワーが微かに見え、児童のみならず先生までもがその姿に釘付けになっていたからだ。  晴天の東京タワーからは、お台場や羽田空港も見える。

          エッセイ#63『晴天東京・雨天千葉』

          エッセイ#62『25cm』

           靴がボロボロになったので新しいスニーカーを買いに行った。  向かった先は無印良品。買うのは、私が世界で一番シンプルなスニーカーだと信じて止まない「疲れにくい スニーカー」だ。商品名にもなっている「疲れにくい」が本当かはさておき、世界で一番シンプルなスニーカーであることは、紛れもない事実である。  買ったことがある人ならわかると思うが、「疲れにくい スニーカー」はサイズが全体的に小さい。店舗に並ぶ商品は軒並み23cm台ばかりだ。  私の足のサイズは成人男性にしては小さいもの

          エッセイ#62『25cm』

          エッセイ#61『金ネクタイのおじさん』

           電車にて、目の前の座席に、金色のネクタイを結んだおじさんが座っている。  社長だろうか。  私は、金のネクタイを普段から結んでいる人を現実では初めてみた。『こち亀』のアニメに出た来た気がしないでもないが、所詮はギャグアニメの登場キャラクターである。現実では目の前のおじさん(仮に金剛さんとする)がやはり初めてだ。  その「金色」というのも、本当に「金色」だ。黄色や黄土色なんて言葉で代用できるような色ではなく、正真正銘の「金色」である。そもそもこんな色、どこに売っているんだ。

          エッセイ#61『金ネクタイのおじさん』

          エッセイ#60『天才児』

           天才児という存在に憧れがある。たまにテレビでも「英検1級に一発で合格した天才小学生」みたいな感じで紹介されている子供が出ていることがあるが、漏れなく腹が立つ。腹が立つということは憧れがあるということであり、自分には到底辿り着けない域であることを認めてしまっているということだ。  私は現在、天才でもなければ子供でもないので天才児ではないのだが、母親がよく話す私の幼少期のエピソードを聞くと、もしかすると私は天才児だったのではないかと思えて仕方がない。  例えば幼稚園児の時、私

          エッセイ#60『天才児』

          エッセイ#59『24円』

           クレジットカードの引き落とし日が近付いてきたので、先月の利用履歴を確認していると、身に覚えのない金額が記されていた。使用場所は最寄りのファミリーマート。金額は24円である。  いったいこれは何の代金なのだろう。しばらく考えてみた。  脳内で店内を3分程うろちょろしてみたが、24円で買えそうな商品は見当たらない。それに、もし仮に24円で買えるものがあったとしたら、確実に現金かICで払っているはずだ。当時の私は何故こんな安価な商品をクレジットカードで支払ったのだろう。24円の商

          エッセイ#59『24円』

          エッセイ#58『こだま』

           初めて新幹線「こだま」に乗った。びっくりした。停車駅が多いのは知識として知っていたが、まさかここまでとは。  乗車したのは品川~名古屋の区間だ。「のぞみ」で行けば、品川→新横浜→名古屋の短い旅だが、今回は凄い。同区間の「こだま」の停車駅は、品川→新横浜→小田原→熱海→三島→新富士→静岡→掛川→浜松→豊橋→三河安城→名古屋である。  この間にこんなに駅があったのか。普段は半分も出席していない講義の試験の日に、初めて受講生が全員集合した時のような驚きだった。身を持って経験しない

          エッセイ#58『こだま』

          エッセイ#57『ヤッターペリカン』

           先日、私より年下の唯一の親戚と思われる再従弟氏に会ってきた。  以前彼に会った時、私が幼少期に遊んでいたおもちゃを、母親が勝手にセレクトして彼にプレゼントしていた。そのほとんどはプラレールである。再従弟氏も私同様にプラレールに造詣が深いらしく、その日は大いに喜んでくれた。  気掛かりだったのは、母親が勝手に選別したことである。正直、今後それで遊ぶ予定は全くなかったので、おもちゃが消えたところで私自身への被害は特にないのだが、1点だけ「これはちょっと惜しかったな。」と思ったフ

          エッセイ#57『ヤッターペリカン』